予算折衝 長期品2%以上深堀り結論出ず きょう以降にズレ込み
公開日時 2009/12/21 04:02
次期診療報酬改定の改定率を含む2010年度予算編成に関する厚生労働省と財務省の副大臣級の折衝が12月20日に休日返上で開かれた。この日は、長期収載品の薬価の一律2%引き下げの更なる深掘りをめぐり議論が行われたが、2%が限界と主張する厚労省と深掘りを求める財務省との間で折り合いがつかず、きょう21日以降、改めて議論する。
財務省はこの日、製薬産業が他の産業に比べて高い営業利益と営業利益率を確保していることに着目、「更なる深掘りを行うと製薬企業の経営は本当に悪化するのか」との疑念を示したようだ。一方、厚労省の長浜博行副大臣は折衝後、本誌らの取材に対し、長期収載品の一律2%引き下げに関して、「もちろんこれ以上は下げられないし、財務省に説明した」と述べ、厚労省としては2%が限界とのスタンスに変わりはないと強調した。
きょう以降の折衝において厚労省側は、長期収載品の一律2%引き下げや更なる深掘りによる製薬企業への影響を分析した資料などを提示しながら、財務省との議論に臨む考え。厚労省は特に中堅企業への影響を注視している。
これまでの中医協薬価専門部会では、業界代表の長野明専門委員(第一三共常務執行役員信頼性保証本部長)が、薬価通常改定や初めて後発品が上市された先発品の特例引き下げに加え、長期収載品の一律2%引き下げが実施された場合、「概ね10~15%の引き下げを受ける」と指摘。一方で、長期収載品比率が平均70%程度の準大手、中堅企業の営業利益率は5~10%のため、「営業利益が今回の改定で吹き飛ぶことになる」と、一律2%引き下げでも業界への影響が大きいと説明している。
長期収載品の一律2%引き下げは、ドラッグ・ラグや未承認薬・未承認適応問題を解決するための「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行的導入に伴って、その財政影響を緩和するための措置。具体的には、新薬創出加算で830億円の財源が必要になる一方、全ての長期収載品の薬価を一律2%引き下げることで530億円の財源を捻出する。ただ、結果的に差し引き300億円の財源が必要になるため、財務省が一律2%引き下げの更なる深掘りを求めている。