塩野義の新中計 国内営業強化 クレストールなど3品で14年度1000億円
公開日時 2010/03/17 04:02
塩野義製薬は3月16日に発表した10~14年度までの5ヵ年中期経営計画で、国内営業を強化する方針を示した。14年度の国内売上高を09年度(見込み)より445億円増やし2000億円を目指す。約1400人のMR数は維持しながら、営業は新薬8製品に特化、目標売上高の70%超をその8品目で売り上げることを必達目標に掲げ、新薬で成長を図る企業像を描いた。
同日に都内で行った発表会見に臨んだ手代木功社長(写真)は、前中計を振り返る中で国内営業について「継続的に売上目標を達成できない。経費の使い方も大甘だった。最も注力しなければならない」と述べ、新中計で強化に取り組む姿勢を見せた。4月から実施される新薬創出加算は「極めて追い風」とし、「新しい価格の仕組みが始まり、正念場である」との認識を示した。
営業強化の基本は「他社さんがやっていることを地道にやること」としたものの、営業資源は新薬8品目に特化すると表明した。製品は▽高脂血症治療薬クレストール▽ARB降圧薬イルベタン▽抗うつ薬サインバルタ▽特発性肺線維症治療薬ピレスパ▽にきび治療薬ディフェリン▽抗インフルエンザ治療薬ラピアクタ▽抗生物質フィニバックス▽がん疼痛治療薬オキシコンチン錠/オキノーム--で、MRの評価も8品目の成果に基づいて行う考え。
このうちクレストール、イルベタン、サインバルタは「最重要戦略品目」と位置づけ、3品目合計で14年度国内売上高目標の半分にあたる1000億円(クレストール500億円、イルベタン250~300億円、サインバルタ250~300億円)を確保する。イルベタンについては、競合が激しいことから、同じ成分でアバプロの製品名で販売している大日本住友製薬と配合剤などイルべサルタンとしての育成を共同で行うことを話し合っていることを明かした。
一方、海外事業は、既存薬の伸長などで売上高を09年度543億円から14年度870億円(ロイヤリティー抜き)に引き上げを図る。それにより海外売上高比率は24%から29%に高まるという。
研究開発は、「肥満・糖尿病」「ウイルス感染症」に重点を置く。中計中に、抗肥満薬、抗HIV薬など4品目を海外で承認申請し、1品目以上の承認を目指すとした。
手代木社長は、会見で「成長を実感できる5ヵ年にしたい」と抱負を語り、「長期収載品なしでも成長できる収益基盤を構築する」と表明した。
14年度業績目標(09年度業績予測)億円
売上高 3750(2800)
(うちロイヤリティー750、09年度予測520)
営業利益 1100(600)
研究開発費 650(500)
販管費 1020(960)
売上原価 980(740)