IMSジャパン 日本市場10年は1.8%増 14年も世界2位維持と予測
公開日時 2010/07/05 04:02
IMSジャパンは7月2日、メディアブリーフィングを開き、2010年の国内医薬品市場について、前年比1.8%増、市場規模9兆円になるとの見通しを示した。今後5年間(10~14年)については、「薬価引き下げの影響でヨーヨーのように激しく上下する」とし、「世界市場の成長(年平均成長率は5~8%と予測)より若干低調になるものの、市場成長機会は増加し、売上高の年次成長率(恒常度ドルベース)は3~6%で成長するとした。そのうえで「日本は世界の医薬品市場のなかで14年まで第2位を維持し続け、それ以降も第2位であり続けると予想している」とした。
営業部門コーポレート・リレーション&マーケティング・コミュニケーション室のアラン トーマス氏(グローバル キー アカウント ディレクター)によると、日本市場はアンメット・メディカル・ニーズを対象とする専門医向け領域で市場成長が続くと見通した。また、主要な薬効では高齢化により伸長を続け、今後も患者の要望が高まるなどの市場へのプラス要因が市場成長に寄与するとした。
例えば、国内人口の20%を占める65歳以上の患者を対象とした主要な薬効領域別の売上成長率(05~09年)をみると、がんは22.8%、関節リウマチ・変形性関節症は23.9%、認知症・パーキンソン病は24.5%などと2ケタの高成長を遂げている。
一方で、14年には売上の平均3~4%の製品が特許切れとなり、ジェネリック医薬品への代替機会が増加すると分析。「日本の政府がジェネリックの使用を促進しているので、特許切れのインパクトのリスクが高まるが、米国並みにはならず、欧州並みのインパクトになるだろう」と述べた。10~14年の中期的にみた場合、最も特許切れによりジェネリックへの代替の可能性が高いのは13年であり、5000億円弱の市場がジェネリックの切り替えのリスクのさらされる可能性があるとした。14年はジェネリック浸食の可能性があるのは1000~2000億円の市場で、薬効領域別でみると13、14年に影響を受けるのは、糖尿病、ARB、心血管系、中枢神経系、がんなどの市場と解説した。
日本企業の動向については、がん領域が弱かった企業が専門企業を買収してがん領域を強化するなどの買収が相次ぎ、グローバルプレゼンスを高めるとともに、生物製剤などの専門医向け医薬品など、どの国でも成長率の高い領域の薬剤を手に入れようとしていると評価。新しいポートフォリオを入手したり、新しい地域に参入するための買収は今後も続くとの見方を示した。その結果、日本企業はグローバル市場でのランキングを上昇させ、海外市場での売上高のシェアを高めていくとの期待を示した。