適応外薬の保険償還を 70のがん患者会が厚労相らに要望
公開日時 2010/07/14 04:02
70のがんの患者会が7月13日、海外で広く使われている薬にもかかわらず、日本には薬はあっても一部の疾患に使うことが承認されておらず、健康保険による償還も認められていない適応外医薬品について、保険償還を認める方向で早期に検討することを求める要望書を長妻昭厚生労働大臣などに提出したと発表した。
抗がん剤には、肺がんや乳がんは承認されているが、海外で使われている卵巣がんは日本では承認されていないといったケースがあり、治療薬の選択肢が限られる患者からは、日本でも使えるようにしてほしいとの声が上がっている。
厚生労働省は有識者会議を設けて、改善へ向け取り組んでいるが、薬事法上の承認の取得を原則としているため、使用できるようになるまでは1年以上待たなければならないとみられる。患者側からすると長年の懸案であり、これ以上待てないという切羽詰った状況にあることから、承認を待たずとも使用できるよう、健康保険上で使用を認めるようにし、問題の解決を図りたい考えだ。
欧米では同様の運用がなされており、要望書では、有効性と安全性が確認されている医薬品で、薬の作用に基づいて、承認がなされていない疾患の治療薬として処方した場合、健康保険からの償還を認めてよいとする旧厚生省の通達(55年通知)の適正な運用をするよう早期の検討を求めた。
要望書は、厚生労働省も有識者会議(医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議)の堀田知光座長や、55年通知の扱いを検討することになった中央社会保険医療協議会の遠藤久夫会長ら各委員にも提出された。