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日赤医療センター・鈴木部長 レブラミドのファーストラインの使用に期待

公開日時 2010/07/22 04:01

 日本赤十字社医療センター血液内科部の鈴木憲史部長は7月20日、セルジーンが開いた「レブラミド発売 記者発表会」で講演し、同日同社が発売した多発性骨髄腫治療薬レブラミド(一般名:レナリドミド)について、「(既存薬の)サリドマイドやベルケイドで効かなくなった患者さんにもよく効くすごい薬剤」と評価。国内での適応症は「再発または難治性の多発性骨髄腫」とセカンドラインの使用に限定されているが、将来的には「米国では40%の患者がファーストラインで使用されている。日本でも保険が許せば、かなり早期にファースラインで使われるだろう」と期待を寄せた。

同剤は免役調整作用と殺腫瘍作用の2つの作用を有する新規免疫調節薬。鈴木氏は海外のフェーズ3試験で、サリドマイドやベルケイド、自家移植後の再発した難治例における奏効率は60%(うちPRは28%、CRは15%)で、「非常に画期的な薬剤」と説明した。

主要評価項目の無増悪生存期間はレブラミドとデキサメタゾン群、デキサメタゾン単独群を比べると、13.4カ月対4.6カ月で「腫瘍が小さくなるだけでなく、痛みがひくなど、症状を緩和する作用がある」とした。副作用についてはサリドマイドでみられる末梢神経障害、血小板減少症が非常に少ないのが特徴で、「QOLの著しい低下につながる副作用がないことが安全性に関してよい」と解説した。

懸念される催奇形性についてはサリドマイドのようにネズミでは発症しないが、特殊なサルの試験で発症の可能性があるため、胎児への薬剤曝露を防ぐための適正管理手順「RevMate」を作成。サリドマイドと同様に厳格な管理のもとで投与していくという。このシステムは、先行して発売されたサリドマイドの安全管理手順「TERMS」に比べ簡素化されたのが特徴で、同氏は「TERMSに比べ、我々の(患者に薬剤を処方する)手間は半分くらいに減っており、その点は有難いと思っている」と利便性が向上したことを挙げた。

海外ではセカンドラインに加えて、ファーストラインや維持療法の適応取得に向けた開発が進められているが、国内では現時点でそれらの適応追加に向けた臨床開発の計画はない。同社によると同剤の09年度の世界売上高は17億600万ドルだったが、前年比30%増の22~23億ドルを見込む。

国内では血液領域におけるトップカンパニーを目指すことを目標に掲げており、MR70人を配置し、血液学会研修施設650施設を中心に訪問活動を実施。同日付で25施設が処方可能になり、既に数人の患者が投薬を開始したという。また、国内では血液疾患領域で11年に1~2品目の薬剤開発に着手する計画という。
 
多発性骨髄腫は国内では年間4000人が発症し、現在の患者数は推計1万4000人。近い将来、2万人に拡大するといわれている。かつては、症状が出ると生存期間は3年といわれていたが、新薬の登場で現在は5年を超えた。鈴木氏は「今は完全寛解で症状を改善することしかできないが、今後はこれらの薬剤(サリドマイド、ベルケイド、レブラミド)をうまく組み合わせることで将来は治せるのではないか。15年前とは全く違う考えでこの病気を見ている。患者の生存期間を今後7~10年に持っていけないか」と期待を示した。

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