北大・豊嶋教授「いろいろな矛盾点が噴き出している」
CAR-T細胞療法の臨床的価値と医療現場の抱える課題
公開日時 2025/08/01 00:00
大学病院の不採算解消で国は支援をCAR-T細胞療法は、患者自身のT細胞を採取後、がん細胞を認識して攻撃するようにT細胞の遺伝子を改変し、患者に再び投与する治療法で、一度の投与により根治を目指すことができる。すでに白血病やリンパ腫、骨髄腫の治療法として実用化され、日本国内でも年間1000人超の血液がん患者がCAR-T細胞療法の恩恵を受けている。一方で、CAR-T細胞療法は採取した細胞の保管・管理、専門スタッフの確保が必須となる中で、現行の診療報酬点数ではこれらをカバーしきれず、病院の持ち出しで不採算に陥るなど、高度機能を担う大学病院の経営を直撃している。昨今の賃金・物価上昇に伴う病院経営の悪化と相まって、国への支援を求める声が高まっている。本誌は、北海道大学医学研究院血液内科の豊嶋崇徳教授にC...