【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

アメリカ版男性の健康診断指針

公開日時 2010/10/08 04:00

米国連邦政府の研究機関であるAgency for the Healthcare Research and Quality(AHRQ)のレポートによれば、男性は女性よりも医師の受診率が低く、逆に、急性症状での緊急入院に至る割合が女性より高いことが分かった。心不全の緊急入院率は女性よりも28%高く、フル―・ショット等の予防的措置をとっていれば防げたとみられる肺炎での入院率は女性よりも24%高い。糖尿病の合併症での入院は女性よりも32%高く、且つ、糖尿病由来で下肢切断にいたる割合は女性の2倍以上である。


米国男性が医師を受診したがらないのは、男性は女性よりも自分に関心が薄いから、些細な症状で医師に行くのは男の沽券にかかわるとのイメージがあるから、あるいは病気だと診断されるのが怖いから、など諸説ある。しかしながら、日本のような集団検診の慣行のないアメリカでは、健康診断の受診はもっぱら個々人の判断にゆだねられているので、自発的に受診しない限り、受診の機会がない。このような男性の意識は、個人の健康にとって問題であるばかりでなく、国の医療費を押し上げる原因として看過できない。というわけで、オバマ政権の医療改革法の全面施行を控え、AHQRが「男性のための健康診断リスト」をまとめて積極的な啓発に乗り出し、話題になっている。


http://www.ahrq.gov/ppip/healthymen.htm


リストによれば、最優先チェック事項は肥満度、コレステロール値(35歳以上は必須)、血圧。コレステロールが高く、あるいは高血圧の場合には糖尿病の検査が、50歳以上では大腸がんの検診が推奨されているほか、「気分がふさいだり、落ち込んだりする状態が2週間以上続くようならうつ病の検査を」とアドバイスしている。おそらくこのあたりまでは日本人には常識以前であろう。


いかにもアメリカらしいのは、以下の項目で、まずはHIV検査を受けるべき条件を詳細に列記していること。複数の性病の名称をあげて健診に組み入れるよう示唆していること。性機能不全の心配がある場合にも積極的に健診をと進めていること。さらに「これまでの人生で100本以上の喫煙経験がある場合には」の明確な条件の下で腹部大動脈瘤の健診を推奨していること。


つい先ごろまで「受診率が高い」ことを理由に女性の医療保険料は男性よりも高く設定され、性差別として医療保険改革の課題となっていたことを考えると隔世の感。アメリカ連邦政府の予防医療への注力は本気のようである。(西村由美子)
 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー