公競規運用基準見直しへ 医療者への接遇行為 ゴルフ・二次会など禁止の方向
公開日時 2011/03/03 04:02
医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)が医療用医薬品製造販売業公正競争規約(公競規)の接待関連行為に関する運用基準の見直しに着手していることが明らかになった。これは日本製薬工業協会が3月2日に開いた「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」の発表会見の中で、製薬協透明性タスクフォースの福原庸介委員長(大日本住友製薬執行役員営業本部副本部長、写真)が明らかにしたもの。医療担当者への飲食や娯楽などの提供行為全体の見直しが行われる可能性がある。
福原委員長は会見の中で、取引誘引に関連した質問に対して、「メーカー公取協の規約で取引誘引に関する金銭関係は厳しく規制されているが、更に誤解のないように見直されると聞いている」「タイミング的には(透明性ガイドラインと)同じタイミングで進んでいくと思う」と話した。
透明性ガイドラインの検討の場は製薬協、公競規運用基準の見直しはメーカー公取協と現在は全く別々に検討が進んでいるが、結果的には、透明性ガイドラインで情報公開を求めている「その他の費用 接遇等費用の年間の総額」に公競規運用基準の見直しの内容が密接に関係するものとみられる。透明性ガイドラインによる情報公開が2013年度から事実上スタートするため、公競規運用基準の見直しもそれまでに行われるとみられる。
◎営業・マーケティング部門対象に規制強化
複数の関係者によると、メーカー公取協は公競規に定める接待関連行為(飲食、娯楽などの景品類提供)の運用基準の見直し案を作成し、今年に入ってから会員会社に意見公募などをしている。メーカー公取協でのこれまでの議論では、現行規約にある「接待」「供応」「社会的儀礼」といった各企業で解釈に差が生じるこのような定義を廃止し、娯楽や飲食に関しての考え方や具体的ケースを規定する方向で進められている。
現時点では営業やマーケティング部門を規制の対象として、遊興、カラオケ、ゴルフ、釣り、観劇、スポーツ観戦などの「娯楽」の提供は禁止。飲食提供後に場所を変えて飲食を提供するいわゆる「二次会」も禁止とする方向のようだ。
◎割り勘は規制対象外 ただし証明必要
また、これまでの規約で制限を受けない華美・過大でない飲食の提供についてはポジティブリスト化するとともに、具体的な上限金額も示す方向で調整している。現時点では、▽講演会開催に伴う飲食(立食パーティー、役割者との懇談・慰労のための会)▽会議の開催に伴う飲食(講演会・研究会等の世話人会出席者との懇談・慰労のための飲食、社内研修会開催に伴う講師との懇談・慰労のための飲食)――の上限金額は1万~2万円。食事時間帯における説明会に伴う茶菓や弁当は3000円まで。食事時間帯における商談や打ち合わせに伴う飲食は3000~5000円まで――との内容が議論の俎上に上がっているようだ。更に担当交代時の挨拶・引継ぎの一環としての飲食でも上限金額を設定できるか検討中とされる。
なお、割り勘による飲食等は規定対象外とする方向だが、割り勘を証明できることを課す模様だ。