各ユーザーフィー料金算出基礎は、別々の消費者物価指数
公開日時 2012/02/28 04:00
第4次処方薬ユーザーフィー法(PDUFA IV)は今年9月30日に期限を迎え、PDUFA Vの改定作業が進められているが、米食品医薬品局(FDA)は、PDUFA Vでは、従来の新薬ユーザーフィーに加え、バイオシミラー(Bs)とジェネリック医薬品(GE)のユーザーフィー制度が設置することを提案している。同提案は1月13日に連邦議会に提出された。
提案では、新たなBSとGEのユーザーフィー制度のフィー(料金)の算出基礎が異なった消費者物価指数(CPI)を使うことが明らかになった。
Bs ユーザーフィー(BsUF)は、コロンビア特別区、メリーランド州、バージニア州、ウェストバージニア州などのワシントン-ボルチモア地区の都市住民の消費者物価指数を使用する一方、GEユーザーフィー(GDUF)は米国全都市部の消費者物価指数を使用するという。FDAは、その理由について、Bs ユーザーフィー徴収による資金は主にシルバースプリングにある本部へ通勤する審査官(地理的にワシントン-ボルチモア地区に居住)の給与に充当し、GDUFは、FDA審査官ばかりでなく、全国にいる審査官の給料の支払いに充当するため相違が出るとの見方を示している。FDAはGMPコンプライアンスを重視するための措置としている。
Bs に使用されるCPIを見ると昨年11月までの1年間で3.3%上昇、これに対し、GEに使用されるCPIでは、同時期に3.4%上昇、さほどの差は出ていないが、2001年1月から2011年11月の間では、全都市のCPIは29.2%、ワシントン-ボルチモア地区では、35.5%となり、かなりの差がつくことが分かった。
5年間という時限立法のPDUFAのもとでは毎年ユーザーフィーの調整を行うが、CPIが将来どのように変動するかは明確ではないなか、ワシントン-ボルチモア地区は、米国のなかでも生活費が高い地域だけに、そこのCPIを基準にすると今後、Bs ユーザーフィーはGEユーザーフィーよりも早く上昇していく可能性があり、従来のようにGEの審査の遅れにつながらないか懸念材料となっている。
しかも、景気停滞と連邦予算削減がユーザーフィーの影響を及ぼす可能性もあるという状況で、FDAは短期的にしか計画が立てられず頭の痛いところだ。
2013年度のGDUFA予算は、2012年秋に議会で承認された2012年度予算でFDAジェネリック医薬品部が獲得した予算を5300万ドル上回る9700万ドルとなった。
一方、議会は、Bs UFは2000万ドルを徴収するよう求めると思われる。議会は、2月初めにPDUFA、Bs UFA、GDUFAについてヒアリングを実施する計画だ。PDUFAを担当する「エネルギーおよび商業・保健小委員会」のJoe Pitts委員長(下院、民主党。ペンシルバニア州選出)は、ユーザーフィー法は6月までに議会を通過、オバマ大統領の署名を取得できると見ている。
PDUFA、BsUFA、GDUFAの3つは、医療機器ユーザーフィーとFDA近代化法改正案と一緒にひとつの法案に組み込まれる。