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XalkoriとZelborafにみる 個別化医療商業化成功への長い道のり(下)

公開日時 2012/10/03 04:00

 Xalkoriの標的である、ALK遺伝子変異はNSCLC患者の約5%とされている。医師に患者を特定する検査を日常的に多くの患者集団に実施させることは難しく、特に肺がんでは細胞から充分な組織を抽出することが難しいことも指摘されている。

標本は一般的に針吸引で抽出されるが、質・量ともに限界があるケースも少なくない。ペンシルバニア大学医学部のKenneth Algazy教授は、「十分な組織診なしに診断されていることが大半だ」と話している。

一方で、BRAF変異は転移メラノーマ患者の約50%にあるとされる。そのため。BRAF変異検査は腫瘍専門医に急速に普及してきている。市場調査会社ImpactRxが375名の腫瘍専門医に行った調査によると、2012年5~7月の間に半数の患者に検査を実施した割合は、ALK遺伝子変異が40%だったのに対し、BRAF遺伝子変異については80%にのぼる。


患者の80%に検査を実施する、“日常的な検査”として実施している割合は、BRAF遺伝子変異の70%に対し、ALK遺伝子変異では15%にとどまっている。

Xalkoriは、ALK陽性のステージⅢB/Ⅳ期患者の90%、第1選択あるいは新規治療開始患者の90%のシェアを占める。一方、Zelborafは、最近3カ月間では、BRAF変異陽性の転移メラノーマ患者市場の72%のシェアを占めている。

コンサルタント会社Bonifant Insights GroupのBen Bonifant社長は、適正な患者が見極められれば標的治療は確立するとして、「Xalkori、Zelborafのような個別化医療薬剤は全てブロックバスターになりうる」と懸念を払拭する発言をしている。

個別化医療の成功の手本と見られているGleevecは、2001年の承認後、適応拡大により、現在では10の適応症がある。2011年の売上は46億6000万ドルというブロックバスターとなっている。


ファイザーは同様に、Xalkoriの効能拡大を目指し、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞腫および神経芽細胞腫患者を対象とした臨床試験を実施している。もともと、c-MET阻害剤として開発された経緯から、同作用機序の薬剤としての研究も進められている。


新規技術の分野では、マーケットのダイナミズムがフルに展開されるまで数年はかかるとされている。しかし、バイオマーカーに基づく、個別化医療の薬剤の開発はまだ長い旅の最初の行程と言いざるをえない。商業的成功という最終ゴールは別の長い道のりを必要とすると言えそうだ。


(The Pink Sheet 9月10日号より)

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