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JASDIフォーラム RMP施行で求められる情報伝達と収集のバランス

公開日時 2012/10/10 04:02

医薬品医療機器総合機構(PMDA)安全管理監の森和彦氏は10月6日に東京都内で開催された日本医薬品情報学会(JASDI)主催の2012年度第1回JASDIフォーラムで、「医薬品リスクマネジメントプラン(RMP)の概要と求められる医薬品情報活動」をテーマに講演した。


森氏は、新薬が臨床現場で用いられる上で、患者にとってのベネフィットと、リスクのバランスが重要との考えを表明。リスクを最小化する上でも、未知のリスクを早期に発見、迅速に対処することが重要と説明した。


これまでの安全性対策については、問題発生後に注意喚起する“警報発信型”だったと説明した。一方で、治験段階では症例数が限られていることなどから、早期にリスクに気づくのは難しいものの、振り返ってみると、早期からリスクが報告されているケースが少なくないと解説。今後は、安全性対策が、問題発生の可能性のある製品・現場に対する“予測対応型”、問題発生リスクの高い製品や現場での行動を排除する“予防対応型”へと進化を遂げることが必要との考えを示した。


その一環として、来年度からRMPがスタートすると説明。これまでで実施されていた、製造販売後基本計画書(有効性・安全性の確認計画)をより体系化した、“医薬品リスクを最小化計画”へと変更されるとした。


医薬品リスク最小化計画は、安全性パートと有効性パートに分かれ、安全性パートは、①安全性監視計画:リスク評価のための使用成績調査(特定使用成績調査を含む)等②リスク最小化計画:情報提供、アクセス制限 等――からなる。すでに個別製品では、使用成績調査の実施などを条件として承認されている例もあるが、明文化されることとなる。


一方、有効性パートは、有効性に関する調査・試験として、有効性評価のための使用成績調査(特定使用成績調査を含む)、製造販売後臨床試験等とした。森氏はこれにより、サブグループ解析や長期間投与での有効性などが集積されることにも期待感も示した。


その上で、運用については、「医療現場とコミュニケーションしながら、最適な形にする必要がある」との考えも示した。


◎杏林大・若林氏「全例調査実施時はリスクを意識した情報伝達を」


杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林進氏も同日講演し、最近新薬の許認可に際し、製造販売後調査を行う上での条件付き承認が多いと指摘。このような新薬では特に、「“分からないことがまだまだある薬”だということを認識しないといけない」と医師、薬剤師に注意喚起を促した。


若林氏は、RMPが施行されることで、“監視計画やリスク最小化が追加で必要な薬”と、“普通の自発報告レベルで十分な薬”に大別されるようになるとの見方を示した。その上で、監視計画やリスク最小化が求められた薬剤については、「リスクがある薬だということを意識する」ことが重要と指摘。全例調査が必要なケースなどでは、MRも十分にその必要性を認識した上で、医療現場に伝達することが必要との考えを示した。


このような中にあって、「最近、市販後調査(PMS)を外部委託する企業が出てきている」と若林氏は指摘。一方で、MR自身はPMSをMRの義務、使命と捉えている実態があることがアンケート調査から分かったとした。


さらに、MR自身は、「MRの情報活動は、情報の提供と収集のバランスがとれていることが重要」と考えており、情報提供と収集が半々であることを理想としていることも分かったとした。ただ、実態は情報提供:収集の割合は、7:3で情報提供に偏っていると考えていることも紹介した。


その上で、「情報提供する人と情報収集する人を分けているということは、MRという存在そのものを否定しているのではないか」と疑問を投げかけ、「情報提供から情報収集までがMRの仕事」との考えを提示。RMP施行後もPMSにMRがかかわることの重要性を強調した。
 

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