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【JCSリポート】J-HOMECARE 看護師の在宅管理 心不全患者精神症状改善で再入院率も低下

公開日時 2013/03/21 04:01

看護師が心不全患者に、在宅への往診や電話フォローアップなどを行う疾患管理プログラムにより、抑うつや不安などの改善効果や、心不全増悪による再入院率の低下に寄与することが示された。北海道大学を中心に国内3施設で実施された、無作為化比較試験「J-HOMECARE(Randomized Trial of Home-based Disease Management for Patients with Heart Failure)」の結果から明らかになった。3月15日〜17日、横浜で開催された第77回日本循環器学会学術集会で16日に開かれた「Late Breaking Clinical Trials 1」で北里大学看護学部の眞茅みゆき氏が報告した。北里大学看護学部 眞茅みゆき氏


心不全患者のうち、30~40%が、抑うつや不安を合併しているとされている。こうした患者では、身体機能の低下、重症化のほか、日常生活動作、生活の質(QOL)の低下がみられ、疾患の増悪や死亡率の増加も報告されている。また、課題とされる年間35%にものぼるという再入院率の高さは、コンプライアンス欠如、身体的・精神的ストレスなどが原因として指摘されている。一方で、薬物療法による精神症状への治療効果はまだ十分でないことが指摘されている。


こうした中で、1990年代から欧米で注目されているのが、疾病管理プログラムだ。欧米で行われた試験に基づくメタ解析では、心不全外来、心不全外来以外のチーム医療によるフォローアップや、電話フォローアップ、セルフケア向上の教育など、さまざまな介入の再入院率低下への有効性が示唆されている。一方で、国内では、精神症状に対する疾病管理プログラムの効果を検討した試験はまだ実施されていないという。


そこで眞茅氏らは、在宅ベースの疾病管理プログラムが、日本の心不全患者における精神症状、QOLおよび予後の改善に与える影響について、通常ケアと比較、検討した。


登録基準は、慢性心不全(NYHAの心機能クラス分類でⅡ~Ⅳ度)と診断され、入院した18歳以上の心不全患者。終末期心不全患者および疾患にかかわらず、▽過去3ヶ月以内に余命6カ月未満と診断▽認知機能障害▽薬物依存あるいは重篤な精神症状を有する▽すでに訪問看護を受けている▽自宅が遠方――の患者は除外した。
登録された168例を①在宅ベースの疾患管理を行う群(以下、在宅管理群)84例②外来受診のみの通常ケア(以下、通常群)84例――に無作為に割り付けた。両群ともに試験前評価と多面的な退院時の教育を実施した上で、在宅管理群では退院14日以内に看護師が訪問・患者指導を実施。その後、同じ看護師が電話フォローアップを週に1回、6カ月後まで行った。通常群は通常の外来受診のみとした。主要評価項目は、抑うつと不安得点の変化をHospital Anxiety and Depression Scale(HADC尺度)により評価し、repeated measure ANOVA解析(分散分析)を用いて解析した。


訪問管理プログラムは、家庭環境の調査や、心不全の状態、全般的健康状態、治療へのアドヒアランス、生活態度、日常動作等の評価と改善に加え、必要に応じて医師や社会的サポートを手配した。電話フォローアップによる管理プログラムでも、心不全の状態、全般的健康状態、治療へのアドヒアランス、生活態度の把握・改善につとめ、必要に応じて社会的サポートを手配した。解析対象は、在宅管理群79例、通常群84例。


患者背景(以下、在宅管理群対通常群)は、年齢77±11歳、76±12歳で、日本の疫学研究としては、やや高齢の集団だった。女性の割合(37%対33%)、独居の割合(11%対16%)は、両群で差がみられなかった。心不全も、虚血性(28%対27%)、高血圧(35%対26%)、弁の障害(27%対31%)、心筋症(25%対29%)など、いずれも両群に差はみられなかった。既往疾患は、心房細動(42%対68%)が通常群で有意に多かったが、他は両群間で差はみられなかった。臨床状態や、退院時の心血管系疾患に対する投薬内容にも差はみられなかった。また精神症状に対する投薬を受けていた患者の割合も、抗うつ薬(1%対1%)、抗不安薬(5%対4%)ともに両群間に差はみられなかった。


◎疾病管理プログラムで精神症状を改善


主要評価項目について、抑うつ、不安ともに、在宅管理群で通常群と比べて有意に改善する結果となった(p=0.043、0.029)。ただし、介入時と比べ、抑うつは継時的な改善は認められなかった一方で、不安は、ベースラインから6カ月間で有意な改善を認めた。なお、抑うつ、不安ともに、介入終了後の6~12カ月後には、症状の改善が消失した。身体的QOLは、退院後2カ月で両群ともに退院時と比べ、有意に良好になり、その後在宅管理群で良好な傾向はみられたが、有意差は認められなかった(p=0.359)。精神的QOLは、在宅管理群で有意に良好な結果となった(p=0.046)。

全死亡は、両群で有意差は認められなかった(ハザード比(HR):1.02、95%CI 0.37-2.61、p=0.967)が、心不全増悪による再入院は、在宅管理群で有意に抑制されていた(HR:0.52, 95%CI 0.27-0.96、p=0.037)。

眞茅氏は、本試験の限界、今後の課題として、▽欧米では疾患管理プログラムは、効率的であることが求められているが、医療介護コストを解析できていない▽往診以外の、心不全外来やテレモニタリングといったさまざまな介入法との比較が必要▽心不全増悪による再入院減少の原因として、介入による治療アドヒアランス向上が推測され、検証が必要▽試験参加施設が少なく、症例数が少ないため、得られた知見の外的妥当性には限界がある――ことを挙げた。その上で、「看護師による在宅訪問指導および電話フォローアップによる在宅ベースの疾患管理は、心不全患者の心理学的状態や臨床成績を改善する可能性がある効果的なシステム」と説明。医療提供体制が異なる日本でも、欧米と同様に効果的であるとした。

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