ノバルティス パーキンソン病用配合薬ELC200 国内承認申請
公開日時 2013/07/01 05:01
ノバルティス ファーマはこのほど、パーキンソン病でwearing-off現象が認められる場合の治療薬として、レボドパ、カルビドパ水和物、エンタカポンの3成分を含有した配合薬「ELC200」(開発コード)を6月27日付で、日本で承認申請したと発表した。
パーキンソン病の治療では、脳内に不足したドパミンを補充するレボドパの経口投与が中心となるが、より効率的にレボドパを脳内移行させるため、カルビドパなどのドパ脱炭酸酵素阻害薬(以下、DCI)を配合した薬剤(以下、レボドパ・DCI配合薬)が広く用いられる。しかし、疾患の進行に伴いレボドパの薬効持続時間が短縮し、次の服薬前に効果が消失するwearing off現象が認められるようになる。そうすると、このoff現象の改善に向け、レボドパを代謝するカテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)を阻害する治療が行われる。このCOMT阻害薬がエンタカポン(製品名:コムタン錠)となる。レボドパ・DCI配合薬とエンタカポンとの併用療法の有効性は、日本神経学会によるパーキンソン病治療ガイドライン2011でも評価されている。
ノバルティスは今回の承認申請にあたり、「wearing off現象の改善効果を得ながら、1回あたりに服用する薬剤数を減らすことで患者さんの服薬時の負担を減らすことにつながる。これら3成分を1剤にすることで、より適切なwearing off治療につながることも期待される」とコメントした。
この3成分配合薬はフィンランドのオリオン・ファーマが創製・開発し、ノバルティスが導入した薬剤。日本ではノバルティス日本法人が開発した。なお、海外では製品名Stalevoとして、03年の米国を皮切りに、今年4月現在で世界90か国で承認されている。
パーキンソン病は50~60歳代に発症することが多い進行性の神経変性疾患。日本の推定患者数は約15万~18万人。発症原因は不明だが、脳内でのドパミンの不足がさまざまな運動障害を引き起こすと考えられている。主な症状は静止時振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害となる。