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厚労省・武田審議官「高齢者の薬を“減らす”かかりつけ薬剤師、かかりつけ医の役割が論点に」

公開日時 2015/05/07 03:51

厚生労働省大臣官房審議官(医療保険担当)の武田俊彦氏は、高齢者で多剤投与が多い現状を指摘し、診療報酬改定を控える中で「かかりつけ医、かかりつけ薬剤師がきちんと管理をし、再評価をし、できるだけ減らす仕組みを作らないとますます高齢者が増える中で大変だろうなと思う。今年大きな論点になる」と述べた。日本在宅医学会(岩手県盛岡市、4月25~26日)で25日に開かれたシンポジウムの講演で明らかにした。


高齢化が進む中で、複数の疾患を合併し、多剤服用(ポリファーマシー)する患者が増加している。武田審議官は、ひとつの市の国保データから65歳以上の患者では10剤以上服用している患者が10%以上いるとのデータを提示。75歳を超えた後期高齢者ではさらにこの割合が増加すると説明した。

一方で、薬剤数の増加に伴い、有害作用の発現頻度は増加することも指摘されている。70歳以上の9.8%に重複投与があるとされる催眠鎮静剤、抗不安薬については、重複投与により認知症の悪化なども指摘されている。

不要な投薬を減らすためには、ひとりの患者をトータルで診るかかりつけ医、かかりつけ薬剤師の担う役割が重要になる。しかし、現状では複数の医療機関を受診する患者は増加しており、75歳以上の後期高齢者では5割近くにまで達する。


武田審議官は、「かかりつけ医、在宅の先生にトータルで診てもらうという観点から必ずしもその方向に進んでいるだけではない。これは薬局でも同じ。複数医療機関、複数薬局にかかり、誰もトータルで患者をみていないのではないか」と疑問を呈した。


その上で、「誰もトータルで処方なり飲んでいる状況を見ていないのであれば、医療の質にもかかわるし、もし無駄なところがあるのであれば、医療費にもかかわるのではないかと思っている」と述べた。


特に、不要な薬を減らす役割を主体的に担うべき薬剤師の役割について、「本来、薬剤師は薬を飲んだ後の薬物体内動態を見ているはず。それにもかかわらず、薬を飲んだ後のことを薬局薬剤師は、まったく見ていない」と指摘。「そういうことでかかりつけ薬局と言えるのかはかなり厳しく問われないといけない。それをやらない医薬分業はそれなりの評価であっても仕方がないと思っている」と述べた。


その上で、今後の方向性として、「かかりつけ医、かかりつけ薬局の、地域包括ケアの中でどう今風に医薬分業を位置付けるのか。それによって、患者のQOLと医療保険財政への貢献のことをどう考えていけるのかというのが論点ではないか」と見通した。
 

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