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諮問会議 骨太方針・素案取りまとめ GE80%達成「18〜20年度の早い時期」 社会保障費伸びは経済・物価動向を踏まえた水準に

公開日時 2015/06/23 03:52

政府の経済財政諮問会議は6月22日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)の素案を取りまとめた。社会保障分野では、後発医薬品(GE)の数量シェア目標80%以上達成を「18〜20年度末までの間のなるべく早い時期」とし、2017年央に70%以上とする中間目標を新たに設ける。2017年央に進捗評価を行い、その結果を踏まえて80%以上の目標達成時期を具体的に決定する。社会保障費の伸びは、上限額の明記を避け、経済・物価動向等を踏まえ、「高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせた行う充実等に相当する水準におさめることを目指す」と明記された。社会保障の伸びをめぐっては、財務省の財政審が今後5年間に高齢化による伸び(2兆円強~2.5兆円)相当の範囲内とすることを求めていた。


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GE80%目標達成時期については、諮問会議の民間議員や財務省が2017年度末への前倒しを求める中で、厚労省は、GEの安定供給や信頼性の向上、情報提供の充実、診療報酬上のインセンティブなどの使用推進策だけでなく、医薬品産業全体の底上げが必須と判断。臨床上の必要性が高く将来にわたり継続的に製造販売されることが求められる基礎的な医薬品(いわゆる、エッセンシャルドラッグ)の安定供給やイノベーションの推進、国際競争力強化に向けた措置を加えた施策を打ち出した。


具体的には、①GEの価格算定ルールの見直し、②長期収載品の保険制度による評価のあり方・保険制度におけるGE使用の原則化、③臨床上の必要性が高く将来にわたり継続的に製造販売されることが求められる基礎的な医薬品の安定供給、④成長戦略に資するイノベーションの推進、真に有効な新薬の適正な評価等を通じた医薬品産業の国際競争力強化に向けた必要な措置—を検討する。GEや長期収載品は実質的な価格低下の検討に着手する一方で、エッセンシャルドラッグの薬価上の下支えによる安定供給などを打ち出した。また、製薬業界が新薬創出加算の制度化を求める中で、イノベーションの推進も盛り込まれることとなった。


◎生活習慣病の費用対効果、市販品類似薬の保険給付の検証も


薬価については、日本の薬価制度が市場での取引き価格(=市場実勢価格)が製品そのものの価値を反映している仕組みとなっていることから、市場実勢価格を踏まえた適正化を推進することの重要性が強調された。医薬品流通の改善に取り組み、単品単価取引きの促進を促す。


薬価改定については、消費税増税を挟んだ2016年度、17年度、18年度の3年連続改定は明記されす、「国民負担の抑制につながるよう、診療報酬本体への影響にも留意しつつ、2018年度までの改定実績も踏まえ、その頻度を含めて検討する」とされた。毎年薬価改定については、単品単価取引きの後退などへの懸念から、製薬業界をあげて一貫して反対の姿勢を貫いたが、議論の決着自体は18年度以降に持ち越された格好となった。財務省の財政審は、「薬価調査に基づく既存薬価のマイナス分は診療報酬本体の財源とならない」とされていたが、今後も同時改定による議論が継続することとなる。そのほか、医療機器についても流通改善の重要性を強調し、適正化を検討することも盛り込まれた。


現在中医協でも議論が進められている費用対効果については、2016年度診療報酬改定で試行的に導入した上で、「速やかな本格的な導入を目指す」とされた。特に、生活習慣病等については費用面も含めた処方のありかたを検討する。貼付剤などの市販品類似薬にかかわる保険給付も見直しを検討する。


◎診療報酬「適正な給付と負担のあり方について検討」


診療報酬については、「2016年度診療報酬改定を含め、適正な給付と負担のあり方について検討を進める」とされるにとどまり、財政健全化の取り組みのためとしての位置付けとの明記は避けた。実質上のマイナス改定の明記を避けたことになる。かかりつけ医の診療報酬上のインセンティブや外来時定額負担についても検討する。高額療養制度の見直しや後期高齢者の窓口負担のあり方の見直しを検討することも明記した。


調剤報酬については、保険薬局の収益状況を踏まえ、調剤技術料・薬学管理料の妥当性、保険薬局の果たしている役割を検証。「服薬管理や在宅医療等への貢献度による評価や適正化を行い、患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う」ことも盛り込まれた。


そのほか、医療提供体制をめぐっては、ナショナルデータベースやレセプトデータなどのデータ分析を通じ、“見える化”を行うことの重要性を強調した。各都道府県が保険者機能を担うとともに、地域医療構想、医療費適正化計画の策定を行う。こうした中で、各都道府県の医療費の水準などについて、2017年度中に標準的な算定方式を示し、それぞれのKPIを各都道府県がベンチマークすることで、一人あたり医療費の都道府県格差半減を目指す。


病床機能では、療養病床について「入院受領率の地域差縮小を行い、地域差の是正を着実に行う」とした。そのため、慢性期の医療・介護ニーズに対応するサービス提供体制について、医療の内容に応じた制度上の見直しを速やかに検討する。外来医療費についても、重複受診、重複投与、重複検査などの適正化を行い、地域差を改善することを目指す。


これらの改革の実施期間については、団塊の世代が後期高齢者になる2020年がひとつの目標期間。すでに厚労省も地域包括ケア実現に向けた施策に取り組んでいるところだが、主要な改革については2018年度までの集中改革期間中に集中的に取り組みを進める。

 


 

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