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新薬11製品が承認 ジェノタイプ1型C肝薬ハーボニー、悪性黒色腫の免疫療法薬ヤーボイなど

公開日時 2015/07/06 03:52

厚労省は7月3日、新薬11製品19品目を承認した。この中には、高い奏効率で注目され、5月に発売になったジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬ソバルディに、NS5A阻害薬レジパスビルを配合したギリアド・サイエンシズのハーボニー配合錠も含まれる。同剤の適応は、日本のC型肝炎患者の7割以上といわれるジェノタイプ1型で、治験では、持続的ウイルス学的著効率(SVR12)が100%との結果が得られている。また、悪性黒色腫に対する免疫療法薬でブリストル・マイヤーズのヤーボイも承認となった。今回承認された薬剤は通常どおりなら、8~9月頃に薬価収載となる。

 
承認された医薬品は次のとおり(カッコ内は一般名と申請企業名)
ハーボニー配合錠(レジパスビル・ソホスブビル配合剤、ギリアド・サイエンシズ):「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合薬。再審査期間8年。
 
レジパスビル及びソホスブビルはC型肝炎ウイルスの複製に関わるNS5A及びNS5Bポリメラーゼをそれぞれ阻害することでウイルスの増殖を抑制する。通常、成人には1日1回1錠を経口投与し、投与期間は12週間。
 
ヤーボイ点滴静注液50mg(イピリムマブ遺伝子組換え、ブリストル・マイヤーズ):「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
同剤は免疫反応を活用して効果を発揮する薬剤で、T細胞の活性化を抑制するCTLA-4の働きを抑え込むことで、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促して腫瘍増殖を抑制する作用を持つ。ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体で、CTLA-4免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる。悪性黒色腫の日本の患者数は約4000人、年間約700人が死亡するという。進行期悪性黒色腫の場合5年生存率は10%前後と予後不良。
 
同じ適応症で小野薬品が2014年9月に発売した免疫療法薬オブジーボとは異なる経路を標的にする。
 
プラケニル錠200mg(ヒドロキシクロロキン硫酸塩、サノフィ):「皮膚エリテマトーデス・全身性エリテマトーデス」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
海外では標準薬で、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が開発の必要性を指摘し、同省が10年12月にサノフィに開発要請していた。海外での承認は論文のデータなどに基づいたものだったが、今回はサノフィが世界で初めて治験を日本で実施し、最新のエビデンスデータを作成し、申請となった。 
 
過去にクロロキンを有効成分とする経口薬があったが、高用量での使用によって網膜症を発現することが国内外から報告されたため、日本では1974年に製造中止となった。しかし、同剤を6.5mg/kg/日を超えない用量で投与すると網膜障害を含む眼障害を発現する可能性が低いことが明らかとなり、海外では当該用量で長年使用されている。
 
オフェブカプセル100mg、同カプセル150mg(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「特発性肺線維症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
国内患者数は約1万数千人とされる。肺線維症の発症機序への関与が示唆されている血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的し、細胞内のシグナル伝達を阻害する。この疾患で初めての分子標的治療薬となる。通常、1回150mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与する。
 
特発性肺線維症は慢性かつ進行性の肺線維化疾患。呼吸機能の低下を特徴とし、時間経過と共に肺組織の肥厚や硬化が起こり、主要な臓器に酸素が届きにくくなる。このため、息切れや咳などの症状が続き、日常の身体活動にも支障が生じる。
 
アコアラン静注用600(アンチトロンビンガンマ遺伝子組換え、協和発酵キリン):「先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓形成傾向」「アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
国内初の遺伝子組換えアンチトロンビン(AT)製剤。ATは、血液中の主要な凝固阻害因子のひとつで、トロンビンのほか、血液凝固第X因子、第XII因子、第IX因子と複合体を形成することで、これらの凝固因子群を不活化する。
 
ファリーダックカプセル10mg、同カプセル15mg(パノビノスタット乳酸塩、ノバルティスファーマ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
日本での推定患者数は約1万4000人。人口10万人あたり推計年齢調整罹患率は約2人で、年間死亡数は4066人と報告されている。多発性骨髄腫を含む複数のがんでは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)活性の上昇が見られ、腫瘍の形成や増殖、血管新生などがんを促進するプロセスが生ずる。同剤は、このHDACを阻害することで、細胞死を誘導し、腫瘍の増殖を抑える新たな作用を持つ。
 
ザイヤフレックス注射用(クロストリジウムヒストリチクス菌由来のコラゲナーゼ、旭化成ファーマ):「触知可能な拘縮索を有するデュピュイトラン拘縮」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 
デュピュイトラン拘縮は、手のひら内部の腱膜と呼ばれる線維組織が肥厚し、病態の進行とともに手指の屈曲拘縮が生じる。対象患者数は年間約1800人~2800人。日本での主な治療法は手術療法だが、侵襲性が高く、手術による神経損傷や動脈損傷などの合併症の問題がある。承認されれば、日本での薬物治療に道を開くことになる。
 
ランタスXR注ソロスター(インスリングラルギン遺伝子組換え、サノフィ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。
 
持効型溶解インスリンアナログ製剤。既存のランタス注100単位/mLに対して、製剤中の濃度を300単位/mLに3倍にした薬剤。ランタス注と比較して低血糖の発現が少ないのが特徴。
 
トルリシティ皮下注0.75mgアテオス(デュラグルチド遺伝子組換え、日本イーライリリー):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
 
週1回投与のGLP-1受容体作動薬。シリンジにあらかじめ注射液が充填されているペン型注入器を用いており、注射針も29ゲージと細いことが特徴のひとつ。なお、既存のGLP-1受容体作動薬にはバイエッタ皮下注(一般名:エキセナチド遺伝子組換え、1日2回)、ビデュリオン皮下注(同、週1回)、ビクトーザ皮下注(リラグルチド遺伝子組換え、1日1回)、リキスミア皮下注(リキシセナチド遺伝子組換え、1日1回)――があり、トルリシティ皮下注は同作動薬として4成分目、同作動薬の週1回製剤としては2剤目となる。
 
ストレンジック皮下注12mg/0.3mL、同18mg/0.45mL、同28mg/0.7mL、同40mg/1mL、同80mg/0.8mL(アスホターゼアルファ遺伝子組換え、アレクシオンファーマ):「低ホスファターゼ症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。
 
承認されれば低ホスファターゼ症に対する国内初の治療薬となる。低ホスファターゼ症は、骨石灰化不全を特徴とする遺伝性、慢性の進行性疾患。骨破壊や重度の筋力低下、けいれん発作などの症状を伴い、呼吸不全や早期死亡に至る場合もある。発症はあらゆる年齢層にまたがる。小児期の発症で予後が不良とされる。国内患者数は100~200人と推定されている。
 
同薬は、遺伝的欠損で不足する酵素を補充することでミネラル代謝過程を正常化し、疾患の症状を予防、改善することが期待されている。
 
オラネジン消毒液1.5%、同液1.5%消毒用アプリケータ10mL、同液1.5%消毒用アプリケータ25mL(オラネキシジングルコン酸塩、大塚製薬工場):「手術部位(手術野)の皮膚の消毒」を効能・効果とする新規有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
同剤は、細菌の細胞の膜に結合し、膜構造に対する傷害作用により、殺菌活性を示すと考えられている。他の消毒薬と異なり、手術部位の皮膚の消毒のみに用いる。
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