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厚労省・水谷課長 26年度薬価改定は「カテゴリー別の流通コスト見える化が議論の出発点」

公開日時 2025/07/08 06:50
厚労省医政局総務課長に7月8日付で就任した水谷忠由課長(前・医薬産業振興・医療情報企画課長)は本誌取材に応じ、2026年度薬価改定に向けて、「カテゴリー別の流通コストを見える化することが議論の出発点だ」との認識を示した。低薬価品の流通上の不採算に焦点が当たり、最低薬価の引上げに議論が及ぶことも想定されるが、取引実態を見える化することで、「26年度の薬価改定や流通改善ガイドラインの改訂の中で、どう受け止めることができるのか、という議論が始められると思っている」と話した。水谷課長は7月7日に行った本誌インタビューのなかで、産情課長としての想いも語った。「“令和の時代の旧経済課長の姿”を意識するとき、できる限り旧経済課から持つ機能を仕組化することを念頭に置いてきた」と述べ、枠組みの構築を通じて制度の持続可能性を高めることに注力してきたことも明かした。

創薬力強化、安定供給、流通改善など各種施策については、一問一答形式でMonthlyミクス8月号(8月1日号)に掲載を予定しています。

◎「持続可能な流通」実現へ 薬価と流通改善ガイドラインはセット プロセスの重要性を強調

26年度薬価改定に向けて議論の焦点となるのが流通改善、特に低薬価品目をめぐる流通上の不採算と言える。今年6月に閣議決定された骨太方針では、「持続可能な流通の仕組みの検討」という言葉が刻み込まれた。水谷課長は、卸連がインフレ基調のなかで流通コストの増加への対応を要望したことを踏まえたものとの認識を表明した。水谷課長は、具体的な議論に際しては、「品目のカテゴリー別の流通コストを見える化することが議論の出発点だと思う。そのうえで、26年度の薬価改定や流通改善ガイドラインの改訂の中で、どう受け止めることができるのか、という議論が始められると思っている。ぜひそうしたことをお願いしたい」と訴えた。薬価での手当てを行う場合は「当然ながら、流通改善ガイドラインとセットでやる必要がある。中医協と医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会(流改懇)を連動させながら進めていくということが重要だ」との考えも示した。

政策決定の“プロセス”の重要性も強調。特に、「数字を出して状況を詳らかにすること」の必要性を指摘した。「流通関係者が漠然と思っていた実感が数値化されて出てくることで、議論の環境が整う。そうでなければ、“群盲象を撫でる”ではないが、何もはっきりしない中で、皆それぞれの視点でモノを言うのでは政策の議論はできない。議論のベースとなる数字があってこそ」、「民民取引であるからこそ、皆がおかしいと思っている領域は合意したうえで、アドホックにでも調査し、公表していく必要がある」と指摘し、流通当事者への調査の協力も求めた。また、調査結果を継続して公表する必要性にも言及。流通改善ガイドラインの実効性を高めるうえでも、「数字が出て、次年度以降もウォッチしているということ」が重要との認識を示した。

医薬品流通をめぐっては、中医協や流改懇の場で“逆ザヤ”問題も指摘されている。6月20日に開かれた流改懇では水谷課長自らが、25年度に入り保険薬局や医薬品卸から指摘が増加してきているとして問題提起する形でこの問題に焦点が当たった。この日の議論では、仕切価を含む実態調査の実施に異論は出ず、今後調査が実施される見通しだ。水谷課長は、「個別の話は聞いているが、きちんと数字としてお見せしていくことが必要だと思っている。その上で仕切価をどういう水準にするか、ガイドラインの文言を変える議論をしていくことが重要だと思っている」と話した。

◎先発メーカー「構造改革を求める声を真摯に受け止め自身の立ち位置踏まえたビジネスを」

医薬品業界の構造改革についても語った。今年6月に閣議決定された骨太方針には、「医薬品業界の構造改革を進める」ことが明記された。創薬力強化と医薬品の安定供給が命題となる中で、いわゆる先発メーカーも後発品メーカーも構造改革を迫られている状況にある。

先発メーカーについては、自民党政務調査会社会保障制度調査会創薬力の強化育成等に関するPTの提言にも触れ、業界外部からの目線を「真摯に受け止めてほしい」と訴えた。「自分の立ち位置を踏まえどこを目指すか、改めて考えながらビジネスしていただきたい」と話した。

◎後発品メーカー「再編に向かった動きが見えなければ周りは5年も待たない」

後発品メーカーについては、Meiji Seikaファルマとダイトが品目統合に向けて“新・コンソーシアム構想”実現に向けた協議を開始するなど動きも出始めている。水谷課長は、「業界には環境が整い次第なるべく早く表に出してほしいとお願いしている。大手を含めた具体的な動きが表に出てくれば、今必ずしも真摯に検討していないが、重い腰を上げる企業も出てくると思っている」と話した。「私は、業界には“業界が思ってる以上に業界を見ている目は厳しい”といつも申し上げている。周りの目は厳しい。再編に向かって、業界が具体的に動いてるということが見えてこないと、周りは(集中改革期間の)5年も待ってくれない」と危機感を示した。

医薬品の供給不安が顕在化する中で、自身が課長を務める中でも24年度、25年度薬価改定では2年連続で不採算品再算定の特例的な実施がなされたほか、25年度薬価改定では最低薬価が引き上げられるなど、薬価の下支えの措置もなされてきた。水谷課長は、後発品業界が安定供給するうえで、「規模の経済を活かした事業体」である必要性を指摘。そのうえで、「我々が薬価の下支え等の措置をするのは、そうした努力と並行してやっている話だ。薬価の下支え措置があるから何とか助けてくれるんだという話ではなく、企業間の連携・協力・再編の推進によって業界の基盤となる形を作り上げてもらわなければならない。業界にはよくお願いしたい」と訴えた。

◎“令和の旧経済課長の姿”「旧経済課の機能を仕組化することを念頭に置いてきた」

水谷課長は、産情課長としての想いも語った。「旧経済課長は、医薬品や医療機器業界との窓口が基本的な業務だと言われており、保険局長と医薬局長と医政局長の3局長が上司だと形容された。局や課の所掌を超え、薬価や薬事を含め、広く業界との対話を行う。そういう機能を求められるのが特徴で、それゆえにこの役割に個人差が出るポスト。だからこそ、歴代経済課長を比較するようなことを業界がしたりする」と表明。「柔軟さがあるのが、旧経済課長のポストの持ち味でもあるが、一方で、誰が就くかによって役割が異なるっていうことに対する一定の違和感というのが着任した時からあった」と明かした。

そのうえで、「あえて言えば、“令和の時代の旧経済課長の姿”を意識するとき、できる限り旧経済課から持つ機能を仕組化することを念頭に置いてきた」と語った。創薬力強化に向け、薬価などの施策に産業政策の視点を盛り込む必要性があるなかで、「産業ビジョンを作るなどのやり方もあるが、仕組みとしてビルトインするには、官民協議会の下のワーキンググループという枠組みでインプットしていくことが重要だと考えた」と述べた。医薬品の供給不安をめぐっても、個別品目の行政指導で対応がなされてきたが、改正薬機法で医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置を盛り込むなど、マネジメントシステムを枠組みとして整理した。また、産業構造改革が求められる中で、薬機法改正を通じ、革新的医薬品等実用化支援基金、後発医薬品製造基盤整備基金を創設した。

水谷課長は、「私が行ったことは全て枠組みを作ったっていうだけだ。今後実施していく過程で、私が企図とした通りに事が運ぶかはよくわからないが、旧経済課の業務を引き継ぐ行政も医薬品業界も枠組みの下での対話のあり方を模索していくのが今後の姿なのではと想いながら仕事をしてきた」と熱く語った。
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