14年のブロックバスター 抗がん剤20製品ランクイン 売上100億ドル超にヒュミラとソバルディ
公開日時 2015/08/24 03:52
ミクス編集部がこのほど、世界の製薬企業が公表している2014年の製品売上を調査・集計したところ、1年間に100億ドル以上を売り上げた製品が抗リウマチ薬ヒュミラ(アッヴィ)と経口C型肝炎治療薬ソバルディ(ギリアド・サイエンシズ)の2製品あった。このうちソバルディは、米国で13年12月に発売されたことを皮切りに14年末までに世界38か国で承認された製品で、上市1年余りで売上102億8300万ドルと爆発的に売れた。前年の売上が1か月分もないこともあり、伸び率は7000%以上だった。また、売上10億ドル以上のブロックバスターが最も多い疾患領域は「がん」で、その数は20製品。ブロックバスターを最も多く持つ企業はヤンセンで11製品だった。
文末の「関連ファイル」に世界売上トップ30製品の資料を掲載しました(PDFファイル。8月26日まで無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。また、世界売上10億ドル以上の製品リストの資料も掲載しました(Excelファイル、プレミア会員限定)。
集計対象の外資系製薬企業23社と大塚製薬は14年1~12月業績、武田薬品/アステラス製薬/第一三共は14年4月~15年3月業績となる。公表データが米ドル以外の企業は米ドルに換算した(集計企業名及び為替レートは記事末尾に記載)。伸び率は公表通貨における前年との単純比較とした。基本的に同一製品でも公表企業ごとに1製品とカウントしたが、明らかな売上の重複とみられる場合は1社のみ集計。ARBなど一部製品は単剤と配合剤を合算するなどしている。
14年の製品売上第1位のヒュミラは売上125億4300万ドルで、3年連続の首位。14年も18%増と2ケタ成長させ、増収額は18億8400万ドルだった。2位以下は、2位がソバルディ、3位が糖尿病治療薬ランタス(サノフィ)で売上84億ドル(1億ドル未満切捨て)、前年比11%増、4位が抗がん剤マブテラ/リツキサン(ロシュ)で75億ドル、1%減、5位が抗がん剤アバスチン(ロシュ)で70億ドル、3%増――だった。
売上トップ10製品を見ると、ソバルディのランクインに伴い、前年に売上ランク10位だった高脂血症治療薬クレストール(AZ)が今回圏外となった以外、順位の変動はあるものの顔ぶれは変わらない。内資系企業の製品では、大塚製薬が創製した抗精神病薬エビリファイが売上61億ドルで唯一トップ10入りした。売上ランクは前年と同じ9位だった。
■経口C型肝炎治療薬 売上の伸び著しく
売上の伸び率が高い製品を見ると、前述のソバルディのほか、日米で13年12月に発売された経口C型肝炎治療薬ソブリアード/オリシオ(ヤンセン)が売上23億ドル、9900%増だった。ソブリアード/オリシオも前年実績が1か月分もないことが大きな伸び率になった理由。これらに次いで伸び率が高く、前年から売上が2倍以上となった製品は、▽多発性硬化症治療薬テクフィデラ(バイオジェン・アイデック)、29億ドル、232%増 ▽抗がん剤パージェタ(ロシュ)、10億ドル、182%増 ▽抗がん剤イクスタンジ(アステラス)、12億ドル、151%増 ▽加齢黄斑変性治療薬アイリーア(バイエル)、10億ドル、128%増 ▽抗HIV薬スタリビルド(ギリアド)、11億ドル、122%増――だった。
また、ソバルディの主成分を含有する経口C型肝炎治療用配合薬ハーボニ(ギリアド)は14年10月に米国で発売されたため伸び率は計算できないが、上市2か月余りで売上21億ドルと驚異的な立ち上がりをみせた。
■抗がん剤で新たに3製品ランクイン
各製品を疾患領域別に分類してみると、ブロックバスターが最も多かったのは抗がん剤で20製品あった。前年は17製品、前々年は15製品で、抗がん剤のブロックバスターは年々増加している。14年に新たにブロックバスター入りした3製品は、前述のパージェタ、イクスタンジのほか、ヤーボイ(BMS、売上13億ドル)となる。
なお、抗がん剤のブロックバスターの残り17製品は、▽マブテラ/リツキサン(ロシュ、75億ドル)▽アバスチン(ロシュ、70億ドル)▽ハーセプチン(ロシュ、68億ドル)▽レブラミド(セルジーン、49億ドル)▽グリベック(ノバルティス、47億ドル)▽アリムタ(イーライリリー、27億ドル)▽ザイティガ(ヤンセン、22億ドル)▽ベルケイド(ヤンセン、16億ドル)▽アフィニトール(ノバルティス、15億ドル)▽タシグナ(ノバルティス、15億ドル)▽スプリセル(BMS、14億ドル)▽タルセバ(ノバルティス、14億ドル)▽ベルケイド(武田薬品、13億ドル)▽アービタックス(メルクセローノ、12億ドル)▽スーテント(ファイザー、11億ドル)▽リュープリン(武田薬品、11億ドル)▽ネクサバール(バイエル、10億ドル)――。
抗がん剤に次いでブロックバスターが多かったのは、抗HIV薬10製品、抗リウマチ薬9製品、多発性硬化症治療薬、インスリン製剤、喘息・COPD治療薬の各7製品だった。
■企業別集計 ヤンセン11製品 ファイザー、ロシュ、メルクが各10製品
ブロックバスター数を企業別に集計すると、上位5社は、ヤンセン11製品、ファイザー、ロシュ、メルクが各10製品、ノバルティス9製品――となった。トップのヤンセンではブロックバスターが前年より3製品(経口C型肝炎治療薬ソブリアード/オリシオ、抗リウマチ薬シンポニ/シンポニ アリア、抗凝固薬ザレルト)増えた。これら以外の8製品は、抗HIV薬プリジスタ、乾癬治療薬ステラーラ、抗がん剤ベルケイド、抗がん剤ザイティガ、抗リウマチ薬レミケード、統合失調症治療薬リスパダールコンスタ、統合失調症治療薬インヴェガ・サステナ/ゼプリオン、貧血治療薬プロクリート/エピレクス――となる。
内資系企業のブロックバスター数は、武田薬品とアステラスが各3製品、大塚と第一三共が各1製品。具体的には武田薬品はリュープリン、ベルケイド、ARBブロプレス(配合剤含む)、アステラスは免疫抑制薬プログラフ、イクスタンジ、過活動膀胱治療薬ベシケア、大塚はエビリファイ、第一三共はARBオルメテック(配合剤含む)――となる。
<集計企業及び為替レート>
公表データが米ドルベースでの集計企業(15社)
▽アストラゼネカ▽アッヴィ▽アムジェン▽アレクシオン▽イーライリリー▽ギリアド・サイエンシズ▽シャイアー▽セルジーン▽テバ▽ノバルティス▽バイオジェン・アイデック▽ファイザー▽ブリストル・マイヤーズ▽メルク▽ヤンセン
公表データが米ドル以外の集計企業(12社)
【公表通貨:ユーロ】▽サノフィ▽バイエル▽ベーリンガーインゲルハイム▽メルクセローノ▽UCB、為替レート:1ドル=0.7535ユーロ 【スイスフラン】ロシュ、1ドル=0.9151スイスフラン 【英ポンド】GSK、1ドル=0.6073ポンド 【デンマーククローネ】ノボ ノルディスク、1ドル=5.6172デンマーククローネ 【日本円】大塚製薬、1ドル=105.83円、 ▽アステラス▽第一三共▽武田薬品、1ドル=109.92円――。