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巨額再算定に業界反対も導入の公算強まる 本体プラス0.3%前後も浮上

公開日時 2015/12/10 03:51

日本製薬団体連合会(日薬連)など製薬3団体は12月9日の中医協薬価専門部会で意見陳述し、次期薬価制度改革の焦点となっている巨額再算定の導入にいずれも反対を表明した。ただ、診療・支払の各委員からはルール化を支持する意見が相次ぎ、「例外的」に実施する公算が強まった。こうした背景には各側とも巨額再算定や、長期収載品の特例引き下げ(Z2)、後発医薬品の初収載時の0.5掛け(10品目を超える内用薬は0.4掛け)導入など、薬価制度改革メニューの断行が一定程度の改定財源を産むとの期待感がある。厚労省としても、薬価の通常改定財源1400億円に加え、巨額再算定などの制度改革財源などでプラス改定まで持ち込みたい考え。巨額再算定で数百億の財源を上積みすると見る向きもあり、プラス0.3%程度引き上げとの声も聞かれ始めた。


次期改定財源については、C型肝炎治療薬などの巨額再算定を通じ、想定を上回る数百億の財源が確保できる見通しとなった。さらに、通常国会で成立した医療保険制度改革法案による協会けんぽへの補助金の減少分を医療の充実に充てることも想定している。この結果、厚労省は財務省との折衝の中で、診療報酬改定本体プラス0.3%前後を主張したい考えだ。診療報酬本体での医科、歯科、調剤のバランスは現状の1:1:0.3を堅持した上で、”抜本的な見直し”を迫られた調剤報酬に切り込みを入れるが、調剤基本料や調剤料への切込みなど制度改正分を合せても、調剤報酬もネットでも微増となる可能性が高まっている。


なお、厚労省は「物価・賃金相当分」と「地域包括ケアなどの充実分」の引き上げで診療報酬本体のプラス改定を求めている。このうち物価・賃金については、「毎月勤労統計調査」をベースに、2013年を100とした指数で2015年までの賃金の伸びを表すと、産業計で103.3、人事院勧告(行政職職員)102.1に対し、医療・福祉は100.7にとどまっている。同省は「アベノミクス効果で民間企業の賃上げは確実に進んでいるが、他産業と比べると、医療分野の賃上げの伸びは鈍い」としている。


◎C肝薬ハーボニー、ソバルディ、アバスチンなど巨額再算定候補品目に



巨額再算定となる可能性がある製品は、C型肝炎治療薬・ハーボニー配合錠、ソバルディ(ともにギリアド・サイエンシズ)、ヴィキラックス配合錠(アッヴィ合同会社)、アバスチン(中外製薬)、プラビックス(サノフィ)など。”巨額”の定義は、年間販売額1000億円超と位置づけ、1500億円以上の製品についてはさらなる引き下げを行う。「年間販売額が1000億円を超え1500億円以下、かつ予想販売額の1.5倍以上」では現行ルールと同様最大25%、「年間販売額が1500億円を超え、かつ予想販売額の1.3倍以上」では最大50%薬価を引き下げる。


特にC型肝炎治療薬では、他に類を見ない急速な立ち上がりで浸透が進み、ハーボニー配合錠、ソバルディともにすでに1か月間で200億円を大きく超える売上高という。なお、収載時のピーク時の年間売上高はハーボニー配合錠1190億円、ソバルディ987億円。市場拡大再算定は、効能追加などで使用実態が著しく変化した場合にとの前提条件があるが、厚労省側は薬価算定時のピーク売上高や患者数などから大きくかい離したこと自体が前提条件に大きな変化があったとみており、”特例”ではあるものの、あくまで市場拡大算定のルール内であり、イノベーションの阻害に当たらないとしている。


◎日薬連「前提条件に大きな変化はない」 イノベーションの阻害も懸念



この日の中医協薬価専門部会では、日薬連、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)が意見陳述した。「薬価算定時の前提条件に大きな変化がないにもかかわらず、市場規模拡大の事実のみをもって薬価を引き下げるというルールの導入には反対する」(日薬連・野木森雅郁会長)、「革新的で成功した新薬に対するペナルティにほかならず、強く反対する」(PhRMA・トニー・アルバレズ在日執行委員会委員長)、「市場での成功を罰することになり、イノベーションを阻害する」(EFPIA・フィリップ フォシェ副会長)といずれも巨額再算定の施行には反対を表明した。


一方、診療側、支払い側は巨額再算定を支持。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、薬価上の“下限”を決めるルールとして、不採算品再算定、最低薬価に加え、基礎的医薬品という3つのルールができたと指摘し、「すべてセットで薬価を決めている」との考えを表明。「薬価が公定価格であることから、必要不可欠な制度。上限だけはやめてくれという理論の理解は得がたい」と述べた。診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)は、「青天井の利益ではなく、適正な利益をもって新しい良い薬を作っていただきたいので是非ご理解いただきたい」と述べ、いずれも上限を求めることの必要性を強調した。


◎後発医薬品 注射薬、外用薬の現行0.6掛け維持訴える


後発医薬品をめぐる議論も、この日の中医協薬価専門部会でなされた。後発医薬品初収載時0.5掛け(10品目を超える内用薬の場合は0.4掛け)ルールの導入が提案されているところ。日本ジェネリック製薬協会の吉田逸郎会長は、注射薬、外用薬のかい離率が内用薬に比べ小さいことを根拠に、現行の初収載時0.6掛けの例外的な維持を訴えた。喘息治療薬のデバイスなど、外用薬や注射薬では製造設備や開発経費にかかるコストが大きいと説明し、後発医薬品が収載されない医薬品が増加するとの懸念も示した。その上で、「さらなる引き下げを行う根拠はない。内用薬について引下げを行った場合にも注射薬、外用薬については0.6掛けを維持するような例外的な取扱いを検討いただきたい」と述べた。


◎看護配置7対1急性期病棟 重症患者は25%前後まで引き上げ 要件見直しへ


この日の中医協総会では、医科では唯一の切込み項目とみられる看護配置7対1を取得する急性期病棟の入院基本料の見直しをめぐり、議論がなされた。7対1を取得する病床は36万9700床(2015年10月時点)で前回改定の2014年3月時点と比べ、約3万床増加した一方で、4万1000床減少しており、微減にとどまっている。また現行ルールでは、必ずしも急性期医療の必要な患者を適切に抽出できないことも指摘されており、医療資源の適正配分の観点から要件の見直しが提案された。


具体的には、重症者の割合を現行の15%から、重症者の基準を見直した上で25%前後まで引き上げることを提案した。基準は、これまでのA項目(モニタリング及び処置等)、B項目(患者の状況等)に加え、新たにM項目(手術等の医学的状況)を新設する。重症者は、「A項目(モニタリング及び処置等)2点以上かつB項目(患者の状況等)が3点以上の患者」または「A項目が3点以上の患者」または「M項目(手術等の医学的状況)が1点以上」と規定した。A項目は、これまでの創傷処理、呼吸ケア、点滴ライン同時3本以上の管理、心電図モニターの管理などに加え、「無菌治療室での治療」、「救急搬送(搬送日より1~2日間程度)」を追加する。B項目(患者の状況等)には、起き上がり、座位保持を削除し、「危険行動」、「診療・療養上の指示が通じる」を追加する。新設のM項目は、①開胸・開頭の手術(術当日より5~7日間程度)、②開腹・骨の観血的手術(術当日より3~5日間程度)、③胸腔鏡・腹腔鏡手術(術当日より2~3日間程度)、④その他の全身麻酔の手術(術当日より1~3日間程度)--のすべてを満たすと1点となる。厚労省のシミュレーションによると、こうした見直しにより、実際に影響を受ける病床数は全体の9.9%、他病棟から新たに7対1に転棟する病床を5~7%とすると、2.9~4.9%の病床が減少するとしている。


また、7対1入院基本料から10対1入院基本料に変更する場合の一時的な仕組みとして、一部の病棟に限り、複数の病棟を合せた病棟群単位で7対1入院基本料の取得を可能にすることも提案された。

 

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