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【World Topics 短期連載】人工知能と医療・ヘルスケア (第2回)注目集めるスタートアップ

公開日時 2016/08/18 03:50

米国の「人工知能とヘルスケア」分野でのベンチャー投資の最新の話題は、サンフランシスコ基盤のHonorだろう。Honorは、在宅患者向けに介護者のマッチング・サービスを展開するスタートアップだが、8月5日にシリーズBで$42Mを集めた事で大いに注目されている。同社は「アメリカでもっとも遅れている介護分野に最先端技術で切り込み、圧倒的なイノベーションを起こす」ことをめざしているという。(ジャーナリスト 西村由美子)


注目の技術力について、同社共同創業者のSeth Starnbergは「弊社のシステムは時々刻々成長している。3日経ったら3日前とはまったく違うシステムに、いや3時間たったら3時間前とは違うシステムになっている」と断言する。


Honorのシステムでは、紹介に際してのマッチ・メイキングのアルゴリズムに組み込まれた人工知能が、 患者サイドの希望や意見は十分に考慮しつつ、加えて、患者に関わる医学的情報だけでなく、システムに入力されたあらゆる個人情報を学習することで、患者自身や家族が思いもよらなかったようなニーズを掘り起こし、そのニーズ満たせる介護者を厳選してリコメンデーションを生成する。この、時には思いもよらないリコメンデーションが患者や家族の満足度を高めているという。


アバターの看護師モーリーを在宅患者とのコミュニケーション・ツールに使い、慢性疾患のマネジメント・サービスなどを展開しているSense.lyは、モーリーを介した患者との音声コミュニケーションで得られる情報に、モバイル経由で採取されるバイタル情報などを合わせた患者情報を人工知能を組み込んだアルゴリズムで解析。個々の患者に最適なサービスを提供することで、サービスの無駄を省いて質を上げ、医療費コストを削減することをねらう。


モーリーは英語での会話は音声認識も音声合成もなかなかに自然で滑らか。まるで本物の看護師さんと会話しているような気もちにさせられる。


モーリーは会話しながら、内蔵カメラで患者の顔色から表情までを読み取る。また会話で得た音声情報もしっかり蓄積し、リアルタイムで解析。モバイルに測定機器などを接続することで血圧などのバイタル情報も採取できるので、これらの情報ももちろん蓄積・解析されている。


Babylon HealthもSense.lyもHonorもすべてモバイル対応が標準。且つ人工知能を高活用。近未来のトレンドは「モバイルから人工知能へ」ではなく、むしろ「モバイルで人工知能」だろう。


◎質の向上・コストの削減


調査会社Frost & Sullivanが最近発表した試算によれば、人工知能の導入によってケアのアウトカムは30−40%向上し、これにより医療費は従来の50%程度まで削減可能だという。


治験情報の提供から投薬管理・疾病管理などのモニタリングまで、モバイルを活用し、治験分野での患者サービスのイノベーションをめざしているのが、ニューヨーク基盤のスタートアップAiCureである。人工知能の技術力の高さに定評があり、2010年の創業ながら、今年1月のシリーズAで$12.25Mを集めた。


AiCureは、人工知能による解析機能を組み混み、顔の表情認識ソフトやモーション・センサーなどを搭載したモバイル・アプリによって、患者の表情から行動までを精緻に観察・記録。データ解析結果を治験期間の患者のモニタリングや在宅患者の服薬管理・慢性疾患患者の疾病管理などに活用している。


患者から直接採取する正確なデータとすべての周辺・関連データの緻密で高速な解析は、治験の精度を圧倒的に高め、ひいては治験から承認までのプロセスをスピードアップできると期待されている。実現すれば大幅なコスト削減につながり、より安い価格での新薬提供が可能になる。(続く)
 



 

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