NVIDIA年次調査レポート 製薬・バイオ業界の46%がAI創薬でROI達成 診療支援にAIを組み込む動きも
公開日時 2026/03/05 04:53
米半導体大手のNVIDIAは3月4日、「ヘルスケア・ライフサイエンス分野におけるAIの現状」と題する年次調査レポートを公表した。創薬・開発分野のAI活用は57%に達し、ゲノムアプリケーション(NICU、がん、希少疾患、集団研究、臨床研究)の44%を上回った。一方でAI活用の収益性については、製薬・バイオ業界の46%がAI創薬による医薬品開発で投資収益率(ROI)を達成したと回答。ヘルスケア業界全体では自律型「AIエージェント」によるワークフローの導入が途上にあると予測。具体的なユースケースとして、医用画像処理、ワークフロー最適化、臨床文書作成の自然言語処理をROIトップ3に掲げた。
年次報告書はNVIDIAがグローバルの業界専門家を対象に行った調査結果をまとめたもの。AI活用は、ヘルスケア・ライフサイエンス分野で成長を続け、「成熟度は昨年一つの変曲点に達した」と分析。AIはビジネスに成果をもたらし、組織はトップAIプロジェクトからROIを得ていると強調した。
◎製薬企業は創薬・個別化医療AIソリューションからROIを得ている
特に同社が注力するAI創薬については、46%の製薬企業でROIを達成したと回答。特に製薬企業は創薬・個別化医療AIソリューションからROIを得ていると指摘している。また48%の製薬・バイオテクノロジーセグメントの回答者が創薬・バイオマーカー特定のために自律的に推論、計画、複雑なタスクを実行する「AIエージェント」を使用しているとし、そのユースケースとして、「製薬企業は、知識管理、検索、文献レビューなどのタスクや、創薬などの特定のアプリケーションにAIエージェントを使用している」と報告した。
◎「AIを臨床支援に統合する動きがある」 臨床文書作成のための自然言語処理が50%
また年次報告書では、「AIを臨床支援に統合する動きがある」と指摘。トップユースケースは創薬・開発AIの57%、ゲノムアプリケーションが44%と製薬・バイオ業界関係が目立つが、注目すべきは、「患者と接するデジタルヘルスケア」において、バーチャルヘルスアシスタントとチャットボットのユースケースは52%で、次いで臨床文書作成のための自然言語処理(NLP)が50%だった。一方で保険者や医療提供者によるAIのユースケースは、管理タスク・ワークフローの最適化が52%、臨床文書作成におけるNLPが 40%、臨床意思決定支援が39%となり、「業界セグメントによってAIの使い方は異なるが、臨床意思決定支援がユースケース全体のトップとして挙げられる」と指摘し、AIを臨床支援に統合する動きが今後高まるとの見方を示している。
◎製薬・バイオ業界の「AIエージェント」 文献レビュー55%、創薬・バイオマーカー特定が48%
AI活用の中で、今後の浸透が期待される「AIエージェント」については、47%がすでにAIエージェントを使用または評価中であると回答。うち22%はすでに組織に導入されており、さらに19%は27年中に導入する予定だとした。なお、製薬・バイオ業界における「AIエージェント」のユースケースは、文献レビューが55%、創薬・バイオマーカー特定が48%、知識管理と検索は47%だった。一方でAIエージェントが直面する課題は、AI使用全体の課題を反映しており、データ関連の問題、規制上の懸念、内部スキルの不足がトップの課題として挙げられている。
◎AIによる収益へのインパクト 経営レベルの85% 年間収益の増加に役立った
AIによる収益へのインパクトについても調査した。診断業界セグメントでは57%が医用画像処理AIで投資収益率を確認したと回答。製薬・バイオ業界の46%が創薬・開発AIでROIを達成したとした。業界全体では、医用画像処理、ワークフローの最適化、臨床文書作成のための自然言語処理がROIのトップ3ユースケース。「業界固有のユースケースとバックオフィス最適化の組み合わせを反映しており、これらは業界全体の企業にとって有益であることが証明されている」と報告。経営レベルの回答者の85%が年間収益の増加にAIが役立ったと報告し、80%が年間コストの削減にAIが寄与したと回答した。