【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

HIMSS 26 米HHSがAIの診療導入でRFI 数か月から1年以内に成案 がん領域のAI agent活用でシンポ

公開日時 2026/03/12 04:51
米国ラスベガスで開催中の「HIMSS 26」は3月9日、「AI agentによる腫瘍学ケアと患者体験の革新」をテーマにシンポジウムを行った。米保健福祉省(HHS)技術政策担当次官室のStephen Konya氏は、昨年12月に「臨床診療でのAI導入の使用促進に必要な手順」のドラフトについて情報提供要請(RFI)を行ったと説明。今年2月にパブコメを締め切り、HHS内で現在最終調整に入っていると明かした。その上で同氏は、「すでに臨床的な有効性に関してはFDAの審査を通過しているため、ある程度の結果や性能を信頼できる」と強調。AIの臨床利用に道を開く可能性に言及した。モデレーターを務めたAWS最高医療情報責任者のAshwini Davison氏は、「業界に規制をかけることについて、我々に何ができるか考えていきたい」と応じた。(米ラスベガス発 沼田佳之)

この日のセッションでは、腫瘍学領域に関するAI agentの活用で議論が進められた。HHSのStephen Konya氏が紹介した臨床ケアにおけるAI導入のドラフトは、「AIによって患者と介護者の体験と成果を改善し、医療提供者の負担を軽減してケアの質を向上させ、さらに消費者と政府の医療費を削減する方法を含めて行う」という主旨。2025年12月19日にHHSからRFIが通知された。これに対し、ASCO(米国臨床腫瘍学会)など医療関係学会や団体は2026年2月にRFIへの回答を提示。連邦規制の枠組みの必要性を求めながらも、「AI導入の競争優位性を維持し、潜在的なリスクから保護しながら、より広範でアクセスしやすく、手頃な価格の医療システムを全国的に促進する」との見解を示している。

◎「医療現場でのAIの管理面はまだ未整備で混沌としている」

HHSのStephen Konya氏は、「医療現場でのAIの管理面はまだ未整備で混沌としている。医療へのアクセス格差やケアの質、コストなどに問題が生じる可能性がある」と課題感を表明。「これはAIツールが必ずしも適切なデータや仮定で訓練されていなかったり、データドリフトを適切に監視できていなかったりするためだ」と指摘。一方でAI agentの分野は、「提供者の負担を軽減し、運用効率を向上させ、患者が自分のケアをスムーズに進められるよう支援するために活用できる機会となるなど、非常に期待している」と強調した。

また、がん患者が受診する際の医療システムの問題にも触れ、「患者は少なくとも8つの異なる受診予約が求められる」と指摘し、「患者や家族にとって大変な一日になる。一方で臨床医や事務スタッフなど管理側もシステムに存在する余分な負担や無駄が多い」と述べ、AI導入への期待として、「臨床的な洞察以外の管理目的に活用されるなど可能性は無限だ。コスト削減や成果の向上、家族AIのケア体験の改善といった機会がある」と政府側の立場を説明しながら、「上手くいけば数か月後、あるいは今年後半には、その成果を見ることができる」と述べた。

◎Illumina社のRami Mehio氏 「大規模な学習データセットを解析する段階に進む」

これに対しIllumina社のRami Mehio氏は、「がん領域の(分子・ゲノム)データは今後益々重要な役割を果たしていくだろう。我々はその始まりの段階を見ているのだと思う」と語った。また、「データは画像などもあり、それらが相互に連携する必要がある」と強調。「重要なのはデータを共通のデータベースや標準フォーマットで公開し、AI agentがそれを読み取って実際に行動できるようにすることだ。一般的に言って、非常に強力なのはデータの利用可能性だと思う」と述べた。

AI agentの活用論については、「ゲノミクスデータは大規模なデータベースと比較される。これまでの臨床ケアにおける治療決定は電子カルテ(EHR)データが参考にされてきたが、AI agentの活用に際しては、単一の検査で一つの方法に適応するだけでなく、恐らく単一の医療システムから得られた大規模な学習データセットを解析する段階に進む」と強調した。

◎AWS・Ashwini Davison氏「がん患者のデータ量は高血圧患者の約1万倍にもなる」

モデレーターを務めたAWS最高医療情報責任者のAshwini Davison氏は、「Deloitte Insightsのレポートによると医療分野100人の経営幹部にインタビューしたところ、23%がAI agentへの投資を大幅に増やしていることが報告されていた。また、約63%が投資を中程度に増やしており、彼らは投資に対してリターンがあると信じている」と説明した。またRami Mehio氏が指摘した「膨大なデータ」に関しては、「がん患者の単一の腫瘍タイプだけで1年で少なくとも1テラバイトのデータが生成される。これを高血圧の患者と比べると、がん患者のデータ量は約1万倍にもなる」と強調。「これが他分野よりも難しい点であり、本当に挑戦的な理由だ」と述べた。また小児がんなどは、多岐にわたるデータを施設、地域、全国規模のデータを横串に刺しながらAIを使って解析利用することが、患者の早期診断、早期治療に結び付き、結果的に社会全体にも意義あることになるとの見解を示した。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(3)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

AIに聞く医師の薬剤の選択基準
Kiku塾 菊岡正芳

AIに聞く医師の薬剤の選択基準

2026/03/01
人工知能AIの発展は素晴らしく、生成AIからフィジカルAIへと発展し日常生活に浸透していくことは間違いない。仕事の業種を問わず、ビジネス・プライベートを問わず、AIを活用することは必須である。既に多くの会社がMR活動でのAI活用に取り組んでいるが、医師との対話を促す本連載では、医師の薬剤の選択基準をAIを活用して入手し、対話に繋げることを考える。
MR減少時代のAI、どう使う?

MR減少時代のAI、どう使う?

2026/02/01
弊社のMR数減少に伴って、担当エリアが広がっています。一人の医師に割ける時間が減っていますが、AIを活用して何か克服する方法はありますか?
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー