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英NHSや大手製薬 Brexitの混乱に備える

公開日時 2018/07/06 03:50

2019年3月29日のBrexit(英国のEU離脱)が迫る中、NHS(英国民保健サービス)や大手製薬企業は、離脱後のスムースな医薬品の安定供給確保に向けた対策に追われている。

米医薬専門誌「Fierce Pharma」(7月2日付)によると、NHSのSimon Stevens事務総長は、英BBC放送の取材に応じ、「Brexitまでに英国とEUの適切な貿易協定がされない場合を考慮し、医薬品不足を回避するために重要な計画を練っているところだ」と混乱回避への対応策を打ち出すことを明らかにした。一方、医薬品業界は、国民の生命を危険に晒す可能性のある業界であるということを保健当局から改めて説明され、その準備を進めてきた。

米メルク社は、Brexit前に6か月の在庫を確保する計画で、Brexit時に医薬品が国境を移動する際に、事務作業などで混乱、時間がかかるなどの支障が生じた場合、サプライチェーンにおける「一時的供給停止」を回避するために、別の供給ルートに変更する考えも視野に入れている。

ブルームバーグ通信の報道では、メルク社は、Brexitに伴う新規法規制施行や税関業務で製品デリバリーに少なくとも2日は余分にかかると予測している。このため、オランダのハーレムに規制上などの問題が生じた場合の対応に30人の従業員を配置する考え。オランダのアムステルダムにはEMA(欧州医薬品庁)が移転するため、EMAと緊密な連絡を取りたいとの意向もみえる。

仏サノフィ社は、Brexit後に英国以外のEU諸国に業務の重点が移動するとみて、英国ハーバーにある、EU向け製品のためのQC(品質管理)やラベリングおよび包装など薬事規制関係担当の人員の一部をEU諸国に移すことを決めた。同社は、「我々の責任は、Brexitの初日である2019年3月29日にEUおよび英国の患者に必要とする医薬品を確実に届けることである」とコメントした。NHSや製薬企業のBrexitへの対応がスムースに行くか注目されるところである。

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