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MR認定センター・認定制度抜本改革案 継続教育「習得主義」に 医療貢献へ行動変容促す

公開日時 2019/04/08 03:52
MR認定センターは4月8日、MR認定制度の抜本改革を検討してきた「事業構造改革検討会議」(座長:田中徳雄・日本製薬工業協会常務理事)の報告書を公表した。MR活動に対する医療現場や厚労省などから強い批判があり、MRの資質を保証してきた認定制度の見直しが迫られていた。検討会議は、「患者中心の医療に貢献できるMRの育成」に向け、「継続教育」を重点的に見直す方針を示した。必須時間を定めた基礎教育科目を履修すれば認定更新する「履修主義」をやめ、「習得主義」へ転換する。必須時間を撤廃し、センターが習得内容を確認する仕組みの導入を提案した。併せて、基礎教育を行ってきた集合教育に対し、医療者や患者の立場を理解し、医療貢献に向けた行動の変容を促す内容に改める必要性を指摘した。
 
検討会議は、MRや認定事業の危機的状況を受けて高久史麿理事長の諮問を受けて立ち上げたもので、2月、3月に集中的に議論を重ねた。高久理事長への答申後、3月25日の理事会で報告書が承認された。同センターは、報告書をホームページで公開、パブリックコメントを経て6月の評議員会で改革内容を正式に決める。2020年度にかけ新制度の具体策を検討し、21年4月の施行を目指す。
 
抜本改革案は、現役MRに対する批判が強いことを踏まえ、「継続教育」の見直しが柱。導入教育の習得内容の維持を目的とした基礎教育4科目40時間の必須時間をクリアすれば更新を認めてきた仕組みを改める。検討会議は、基礎教育の必須時間を撤廃し、MRテキストを活用した個人学習に切り替える。その代わり、センターが学習成果を確認し、一定レベル以上に資質を備えていることを確認できなければ修了認定しない仕組みの導入を提案した。成果確認の手法は今後検討するが、同センターは認定試験のような仕組みではなく、成果確認ができるまで何度でもチェックできる仕組みをあげている。
 
集合教育 「医療関係者から信頼されるパートナー」目指す実践的な内容を
 
基礎教育に充ててきた集合教育では、医療貢献できるMRを育成するため「実践的で行動変容につながる教育を実施する必要がある」と指摘した。同センター「継続教育検討委員会」が示したMRのビジョンである「患者志向に立った医薬情報の提案・収集・伝達活動を通じて、医療関係者から信頼されるパートナー」を目指し、ディスカッションを充実することなどを提案。医療関係者の立場、患者の思いに考えを巡らせた活動ができるよう、ケースに応じたMR自身に必要な行動、ふるまい、言動といった倫理観やスキルの向上が必要だとした。検討会議は「これら教育を充実させ、それをどのように修了認定に反映させるか、教育研修委員会にて十分検討してもらいたい」としている。
 
企業経営者 MR資質向上を「重要な経営戦略」に
 
新たな企業内教育を実施するため企業経営者に対し、MRの資質向上は「重要な経営戦略」に位置付けて取り組むことを求めた。検討会議は、「医薬品の安全管理を徹底し、適正使用することが企業の最大の責務」と指摘し、それを全うするため「MR教育の重要性を理解し、社会体制を強化してほしい」とした。
 
教育研修担当者には、基礎教育の必須時間の撤廃により裁量が広がることから「経営者から付託されてMRの資質向上に取り組むプロフェッショナル」として期待を寄せ、MRやそのマネジャーと連携した取り組みを求めた。

MRへのメッセージを盛り込み、日々の活動でルールとマナーの遵守、正確な情報提供に加え「安全性に最大限注力した活動」を求め、資質向上に励むよう促した。さらに「自覚と責任を促すため」MRバッジの着用と認定証の携行をすることとした。

センターには、履修時間の指導など認定制度管理を重視した運営の反省を迫り、資質向上に向けた教育支援業務に注力するよう求めた。企業任せとしてきた継続教育について、教育研修内容の把握、必用な資材作成、事例紹介や教育担当者同士の意見交換できる場など積極的な企業支援を促した。
 
認定試験受験資格 薬学生などへの拡大検討も
 
検討会議は、「履修主義」から「習得主義」への転換を、導入教育にも適用することも提案した。薬学部出身者とそれ以外の学部生、社内他職種からのMRへの異動など背景が様々であることから、基礎教育科目に定められている必須時間を撤廃し、企業の判断で設定できるようにする。必須時間の撤廃により、薬学部の学生など一般への受験資格の拡大も検討することを提案した。
 
事業構造改革検討会議の設立の背景には、MR認定試験受験者や更新者数の減少による認定センターの財務基盤の悪化もある。検討会議は、認定センターのスリム化、テキスト頒布拡大による適正利益の確保を提案した。

【Interview】MR認定センター・近澤洋平事務局長 MR改革「今からスタートを」 

「MR改革は今すぐやらなければならないことだが、MR認定制度の抜本改革まで2年の猶予を頂いて方向性を示したのは、ここでMR不要論、批判を断ち切りたいという思いからだ。センターは覚悟を持って改革に本気であたることを示した。製薬企業の皆さんにも本気で取り組んで欲しい。既に問題の本質は分かっているのだから、製薬企業が先駆けて教育の中身、あり方を変えてほしい。このままだとMRは医療から締め出されてしまうかもしれない。新たな認定制度ができてからやるのではなく、今からスタートをしてほしい。経営者は、企業関係者のベクトルを一致させるため、MRの資質向上は重要な経営戦略であるとメッセージを発してほしい」。
(酒田浩)
 
※インタビューの詳細はMonthlyミクス5月号に掲載予定
 
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