エーザイとアルム ICT活用した「認知症エコシステム」構築で資本業務提携契約を締結
公開日時 2019/05/10 03:50
エーザイとアルムは5月9日、ICTを活用したデジタルヘルスソリューションに関する協業に向け、資本業務提携契約を締結したと発表した。アルム(坂野哲平社長)は国内初の保険適用アプリ「Join」を提供するICT系のベンチャー企業。エーザイが強みを発揮する認知症エコシステムにアルムの医療ICTシステムを共有することで、新たな患者価値の創造を目指す方針だ。
エーザイは中期経営計画EWAY2025の中で、ビッグデータ解析やAI(人工知能)の利活用により「Medico Societal innovator(薬とソリューションで社会を変える企業)」を目指す方針を掲げている。特に認知症分野は、エーザイ社内に集積された経験やノウハウ、臨床データのほか、外部のビッグデータやゲノム解析データなどを利用したプラットフォームを確立し、「認知症エコシステム」として患者・家族に便益を届けるビジネススキームを構築したい考え。
国が地域包括ケアシステムの構築に舵を切る中で、2025年に700万人に達する認知症対策は最も重要視すべき課題といえる。地域単位の認知症対策についてエーザイは、行政、医療機関、介護施設、診断薬メーカー、IT企業、保険会社などのパートナーシップによるエコシステムの構築が必須としている。このため、今回の資本業務提携は、すでに地域包括ケアアプリ「Team」や「Join」で実績をあげているアルムと組むことで、ICTを活用したヘルスケアソリューションの開発・提供で連携し、認知症におけるエコシステムの構築を推進する。加えて地域医療や介護の課題解決に積極的に関わり、この分野のリーダー的役割を担う考えだ。
資本業務提携契約の締結に際して両社は、「ヘルスケア分野におけるIoT、ビッグデータ、AIの利活用を深耕し、第4次産業革命における新たな患者価値を提供する」とした。