厚労省WG がんゲノム医療拠点病院の指定要件まとめる 遺伝子パネル検査保険適用見据え
公開日時 2019/05/28 03:50
厚生労働省のがんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(WG)は5月27日、遺伝子パネル検査の保険適用を見据えて新設する「がんゲノム医療拠点病院」(以下、拠点病院)の要件をまとめた。保険適用によって患者数の増加が見込まれるなか、現在11か所ある「がんゲノム医療中核拠点病院」(以下、中核拠点病院)だけでは十分に対応できない可能性があり、拠点病院を30施設程度、整備することになっている。この日のWGでは、拠点病院であっても、医療提供体制は中核拠点病院と同等レベルとすることなどを正式に決めた。
拠点病院は、中核拠点病院と、全国156か所ある「がんゲノム医療連携病院」(以下、連携病院)の中間的な位置づけとなる。指定要件は、▽医療提供体制は中核拠点病院と同等とする▽人材育成、治験・先進医療等は連携病院と同等とする――の2点を基本的な原則にする。例えば、拠点病院にも、がんゲノム医療について専門家で話し合うエキスパートパネルの実施など高度な医療提供体制を求めることになる。実際の指定では、地域性や小児がん症例などへの対応も考慮したうえで、早ければ19年9月にも指定される見込み。
前回WGで持ち越しの課題となっていた治験・先進医療等の登録件数については、中核拠点病院の要件に近い「3年間で100件以上登録したことが望ましい」とした。中核拠点病院では、「3年間で100件以上登録した実績がある」としているが、地域性を考慮する必要があるため、「望ましい」と要件を緩和した。
◎医療提供体制 連携病院は原則1か所の中核又は拠点病院と連携を
また同日の議論では、がんゲノム医療を提供する病院同士の連携体制のあり方も見直された。基本的には、▽医療提供体制に関し、連携病院は、エキスパートパネルを開催する原則1か所の中核拠点病院又は拠点病院と連携すること。また▽人材育成、治験・先進医療に関しては、中核拠点病院が中心的な役割を担い、中核拠点病院に、拠点病院や連携病院が連携する体制とすることとした。
厚労省ではこれらの検討結果を6月中にも「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」に報告する。その後、指針を改正し、拠点病院の公募を開始する予定だ。