米リリー 高薬価インスリンのGEを発売
公開日時 2019/05/29 03:50
米イーライリリー社は5月22日、米国で高薬価を理由に社会問題化しているインスリン製剤において、自社品Humalog U-100(インスリンリスプロ)のジェネリック医薬品Insulin Rispro Injectionを発売したと発表した。
同GEのリスト薬価は、1バイアル当たり137.35ドル。同注射器KwikPenは5本1パッケージで265.20ドルとなっており、Humlog U-100の薬価の50%に相当する。リリー社は、今年3月に同GEを近く発売すると発表していた。同社は、同GEの発売により最も恩恵を受けるのは、メディケア(公的高齢者保険)の受給者と無保険者だとみている。
Humalogは現在95%の米国人が月額95ドル以下を支払っており、43%は小売り薬局段階で自己負担ゼロだという。今回のGEの発売により、多くの保険プランでは、慢性疾患の自己負担については、リスト薬価より安価な自己負担分を求めているため、患者に対して薬局で同剤を選択することで自己負担分がより安くなるか訊ねるよう求めている。
リリー社のMike Mason上級副社長(Connected Care and Insulin担当)は、「Insulin Rispro Injectionが利用できるようになったことは、より多数の人々がインスリンを入手するのを助ける大きな進歩である」と指摘。「リリーは、糖尿病患者の誰でもが薬剤を入手できるような永久的な解決策に向けて保険会社、卸業者、従業員および政府とともに協力を続けていきたい」とコメントした。同剤の供給に向けて卸業者との契約を確実に履行するとともに、保険支払者とは同GEについて保険給付を行うよう働きかける考え。
トランプ大統領の高薬価への批判や議会での大手製薬企業幹部の公聴会開催や世論の高薬価批判の高まりとTVCMへの薬価情報を加えることなど業界への圧力に対してリリー社は自らGeneric製品を出すことでひとつの回答を示した格好となった。