厚労省 薬剤師へのタスク・シフト PBPMは「処方された範囲内」で解禁
公開日時 2019/11/22 04:50
厚生労働省は11月20日、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」の3回目の会合で、現行制度上での実施が不明確とされた業務について、実施できる行為の範囲や実施するための条件(案)を示した。日本薬剤師会らが要望する「プロトコールに基づいた投薬(医師の包括的指示と同意がある場合には医師の最終確認・再確認を必要とせず実施する)」については、「処方の範囲内」、「専門的な管理が必要でない場合」との条件を提示。ただ、言葉の定義など不明瞭な部分が少なくないため、厚労省はさらに整理して具体像を示していく考えだ。
◎医師からの期待・要望多数 次回以降に具体像提示へ
「プロトコールに基づいた投薬」実施の条件案では、「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更について、処方された範囲内で、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき実施する場合は、必ずしも医師の最終確認・再確認を必要とせずに実施可能である」と明記する。一方で、「病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医師と協働して実施する必要がある。なお、薬剤の患者への投与については、医師や看護師が実施する必要がある」とした。
◎猪口構成員 定型的な行為で「かなりの時短効果」
猪口雄二構成員(全日本病院協会会長)は、「医師と薬剤師の間でも定型的な行為が多くあるので、それらを包括的指示でまとめていくだけでも、かなり(時短)効果が出るのではないか」と期待を寄せた。根岸千晴構成員(埼玉県済生会川口総合病院副院長・麻酔科主任部長兼務)も「当院でもかなりの医師がこのタスク・シフトに関心を持っている」と語った。
◎薬剤師の禁止する「投与」は患者自身の服用などは含まれず
一方、厚労省は、「あくまでも処方された範囲内で投与量の変更などが可能ということ。処方を変更するような行為は医師の確認を必要とする」と指摘した。“処方された範囲内”の定義を問われると、「もう少し細かい整理をして改めて提示する」と述べるにとどめた。
なお、薬剤師が禁じられている「投与」の定義について「患者がご自身でお薬を飲むものは含まれない」と述べ、注射薬や点滴の注入などが該当すると説明した。