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【FOCUS 2020年度診療報酬改定の深層に迫る 多職種連携はパワー不足 どう挽回するかがカギ】

公開日時 2020/02/12 04:52
「“医師等の働き方改革の推進”という大きなミッションへの対応という新たな第一歩を踏み出した」-。日本医師会の横倉義武会長は2月7日、2020年度診療報酬改定答申後の会見でこう述べた。高齢化が進む2025年まで残された時間が少ないなかで、14年度改定以降、16年度改定、18年度改定と一貫して地域包括ケアシステム実現への道のりを歩んできた。19年度には地域医療構想が実行されるなかで、今改定では、「地域医療体制確保加算」(入院初日520点)を新設するなど、救急医療に手厚い財源配分を行った。大病院は急性期を担うとのメッセージが強く発せられるなど、病院の横顔を明確化する改定と言えそうだ。ただ、地域包括ケアシステムの根幹でもある、多職種連携のもとで、それぞれの機能を強化、発揮させるという視点で今改定をみるとパワー不足は否めない。答申後の医療現場は早くも安堵感が漂っている。未曽有の高齢化時代を目前に控え、多職種連携こそが直面する医療課題を解決する原動力となる。今回の働き方改革と同様に、現場の意識改革を喚起する議論の継続を求めたい。

◎「医師がピラミッドで後の職種は平たんというイメージ」


「医師がピラミッドの頂点にいて、後の職種は平たんというイメージだ。それぞれの専門家の対応を重視していかないといけない」-。支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は同日に行った支払側の会見で、こう指摘した。患者や地域住民を中心に据えたネットワーク型医療の構築を目指すなかで、患者の意見を重く受け止める必要がある。2016年、18年度と一貫して敷き詰めてきた多職種連携は足踏みしたようにも見える。

◎「医師・院内薬剤師と薬局薬剤師との協働で医薬品の適正使用を推進」は何処へ

「今後の医療保険制度改革に大きな道筋をつけるテーマがなかった。前回大きな改定だったために、改定の修正にとどまった」-。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)はその様をこう指摘した。

高齢化が進展する地域で、ポリファーマシーや残薬などの課題は顕在化し始めている。この流れのなかで、今改定で議論の俎上にあがったのが、フォーミュラリだ。骨太方針には、「診療報酬等について、高齢者への多剤投与対策、生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方については引き続き検討を進める」と明記されていた。改革工程表でも、「生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方について、2020年度診療報酬改定において、必要な見直しを実施≪厚生労働省≫」と明記されていた。20年度改定の基本方針にも、医師・院内薬剤師と薬局薬剤師との協働で医薬品の適正使用を推進。「医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方を推進」することを盛り込んでいた。

幸野委員は、厚労省が特定機能病院への評価として中医協に提案した経緯に触れ、「事務局も特定機能病院でまずは始め、それを評価するということを一旦提案したが、提案したらならばやり抜いてほしかった」と強調した。次期診療報酬改定に向けての附帯意見への導入も、日本医師会の委員などの反発もあり、最終的には導入が見送られた。幸野委員は、「医師の処方権を侵害するということを払しょくしないと入れることはできない。世界では当たり前に行われていることができない。世界と違って日本は、非常に医師の処方権は強固だ」と指摘した。

◎高齢化時代のポリファーマシー問題 これまでの延長線上では解決しない

異なる疾患で複数の医療機関を受診する高齢者が増加するなかで、これまでの医師を頂点としたピラミッド型の医療提供体制では、残薬やポリファーマシーといった課題を克服することは難しい。施設完結型医療から地域完結型医療・介護へとシフトするなかで、医師の一極集中ではなく、多職種によるネットワーク型の医療提供体制構築こそが求められているのだ。その最たるものが、人口構造の変化であることを忘れてはならない。明らかに、これまでの延長線上で語れない時代が目前に迫っているのだ。

こうしたなかで、服用薬を一元的に把握する薬剤師・薬局が地域で職能を発揮することは欠かせない。2019年末には、改正医薬品医療機器等法(改正薬機法)が公布され、「住み慣れた地域で、患者が安心して医薬品を使うことができる」ために薬剤師・薬局のあり方が見直された。法律には、「薬剤師が、調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務」が盛り込まれている。

20年度調剤報酬改定はこうした議論を踏まえ、“対物から対人へ”を掲げた。日本薬剤師会の山本信夫会長は、「答申に至るまでに中医協等で薬局薬剤師に向けられた厳しい論調や指摘もあったが、精力的な議論を経て、薬剤師による業務の必要性は理解され、それが評価された適切な配分になったと受け止めている」と述べた。そのうえで、「薬剤師、薬局がこれまで以上に地域包括ケアシステムの中で活躍するよう、期待が込められた内容と認識している。三師会をはじめ、他職種と連携しながら、今後も地域住民、患者への安全・安心な医薬品の提供のため、より積極的に取り組むとともに、薬剤師業務や薬局機能を見える化し、多くの国民が医薬分業のメリットを実感できるように努力する」と述べた。

◎薬剤師の職能発揮に期待

調剤報酬は、財源的には1:1.1:0.3の配分を堅持することで決着し、調剤基本料や調剤料は見直されたものの、限定的なものとなった。一方で、新設された対人業務である「薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算」や「経管投薬支援料」、「薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算」には、いずれも“医師の求めに応じて”との文言が入った。

フォーミュラリはすでに特定機能病院の2割が導入する。地域の在宅医療の現場では、医師と薬剤師が、看護師やケアマネジャー、ヘルパーと膝を交えてディスカッションする場も増えていると聞く。医薬品の適正使用に向け、実効性を高めるために医療現場の取り組みが問われている。(望月英梨)



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