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日医・横倉会長 ポストコロナで二次医療圏ごとに感染症病床一定数確保を 地域医療構想に反映も

公開日時 2020/05/27 04:50
日本医師会の横倉義武会長は5月26日の緊急会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を政府が全面解除したことを受け、「今後、第2波、第3波の襲来に備えて万全の準備をしておかないといけない」と述べた。感染症病床の不足が指摘されるなかで、「医療現場や日本医師会をはじめとした医師会組織、病院団体、政府、都道府県の役割に応じて、早急に議論し、どういう形が一番いいか議論する場を設けることが必要だ」との見解を表明した。都道府県ごとに議論が進められる地域医療構想についても、「二次医療圏ごとに感染症病床を一定数確保することが必要だ」と述べ、議論を急ぐ必要があるとの考えを示した。

日本医師会は緊急事態宣言発令前の4月1日に、医療危機的状況宣言を発表していたが、この日で解除した。横倉会長は、高齢化が進展しているにもかかわらず、世界的に見ても低い死亡率で食い止めたことを評価。清潔好きなどの日本人の社会的要因や、クラスター対策やICU管理、さらに国民皆保険を維持することの重要性にも言及した。横倉会長は、外出自粛を継続してきた国民に感謝を示すとともに、「医療崩壊を起こすことなく、医療現場でも医師をはじめ看護師、さまざまな医療関係者が懸命な努力をしたおかげで医療提供体制を守ることができた。犠牲者を世界でも稀有なレベルで食い止め、緊急事態宣言の解除に漕ぎつけた」と述べた。

◎地域医療構想「経営効率、経済効率が主体的に考えられてきた」

横倉会長はポストコロナ時代の医療提供体制の課題に言及。現在進められている地域医療構想については、「どうしても、経営効率、経済効率が主体的に考えられてきた」との見解を表明。人口減少時代を見据え、病床機能面で病床削減が議論されたものの、「今回のような感染症が計画に入っていなかった」と指摘。「感染症への対応は常に考えていかないといけない」と述べた。

過去には結核が流行し、市町村には結核療養所があったが、公立病院に吸収合併され、病院経営の観点などから一般病床に転床してきたと現在に至る歴史を振り返り、「そこに感染症が起きた。感染症病床が十分に確保できていなかった。今後も計画のなかで考えていく必要がある」と述べた。

また、「地域医療機関は感染を恐れる患者の受診抑制で極めて経営的に厳しい状況にある」と改めて説明。「医療機関の経営難により、地域医療が崩壊し医療提供体制が壊れていくことにも十分な配慮が必要だ」と強調した。新型コロナウイルス感染症を受け入れている医療機関に加え、それ以外の地域医療を担う病院、診療所の経営が悪化するなかでの補填を改めて訴えた。

◎新型コロナの経験から「医療費総額を少し拡げておかないといけない」


中等度、重症患者を受入れる医療機関の診療報酬を3倍に引上げることが5月25日の中医協総会で決まった。ただ、医療現場からは1人受け入れると空床が発生することから、感染者が減少するなかで病院経営上の懸念がぬぐい切れていない状況にある。横倉会長は、「日本の医療機関は公的医療保険の収入で運営している。ある程度の患者数が受診することを前提にしてコストを決めている。特に重症のICUの管理料などは日ごろあまりにも低く抑えすぎであり、今回大変なことになったと理解している」との見解を表明した。日常診療から、ICUには専門性の高いスタッフの確保が必要であることなどを指摘。医療費は事実上コントロールされている状況を指摘。「総額自体を少し広げておかないといけないということがよくわかった」と述べた。


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