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国立がん研究センター 「ATLASプロジェクト」始動 アジア国際共同試験ネットワークを構築へ

公開日時 2020/09/09 04:52
国立がん研究センター中央病院は9月8日、日本が主導し、アジア国際共同試験ネットワークを構築する「ATLAS プロジェクト」を始動させたと発表した。国立がん研究センター中央病院が中心となって、ASEAN諸国との連携を強化し、薬事承認を目指した国際共同治験の恒常的なプラットフォームを構築する。希少がんに対する医師主導治験などを推進し、アジア地域での早期薬剤の開発を目指す。ネットワークでは、常に5試験以上のアジア医師主導治験を実施する体制構築を目指といい、すでに子宮頸がんを対象とした第2相医師主導治験なども計画されている。今後は、製薬企業やCRO、患者団体などのステークホルダーの参画も世界に呼びかける考え。

プロジェクトでは、国立がん研究センター中央病院が中心となり、ASEANの重点国であるマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンの各拠点施設との連携強化を図り、医師主導治験の実施やがんゲノム医療の実装に向けた基盤整備を推進する。

具体的には、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンから10医療機関程度を対象に、ハード面での整備を進める。治験に必要な臨床検査や診断機器、フリーザーなどを設置し、高品質での治験を実施できるような体制を整備するほか、各施設で常勤のCRCを雇用するとともに、治験事務局や臨床研究支援部門の強化を行う。中核施設には、フェーズ1センターの整備なども進める。海外拠点と定期的にミーティングを行うことで、強固なネットワークを構築したい考えだ。

人財が重要になるなかで、教育などソフト面での整備にも注力する。医師や治験コーディネーター(CRC)を対象に、がん領域の治療支援プログラムやがんゲノム医療プログラム、第1相試験プログラムなどの各種教育プログラムを策定。国立がん研究センターでの実地研究を軸に、海外拠点やウエブセミナーを併用する考え。国立がん研究センター中央病院には、ネットワーク事務局を新たに設置し、支援内容の調整や、契約締結、定期的なミーティングなどに対応する。

◎希少がんプラットフォーム「MASTER KEY Project」をアジアに拡大


すでに、ネットワークを活用した国際共同臨床研究や治験の計画もされている。希少がんのレジストリと治験からなるプラットフォーム「MASTER KEY Project」については、アジアに拡大する考え。ATLASで基盤整備を行う海外拠点には、MASTER KEYへの一定数の患者登録を義務化し、臨床試験を可能な限りアジア共同試験として実施する考えだ。プロジェクトは13の製薬企業との共同プロジェクトで、“Common cancer”に対する企業治験と希少がんに対する医師主導治験をパラレルで実施するとともに、病理診断や治療方針の標準化を図り、希少がんの開発基盤としての発展を目指す考えだ。また、日本では保険診療として導入されているがんゲノムプロファイリング検査の流れをアジア各国と共有し、がんゲノム医療実装の基盤としても活用したい考えだ。

このほか、子宮頸がんを対象とした第2相医師主導治験「TEAL」では30例を予定登録症例として(スクリーニングは450例)、マレーシアから3拠点、ベトナムから2拠点が参加予定だ。国立がん研究センター中央病院がスタディースポンサーとなり、研究計画の立案や、データマネジメント、国内の実施施設へのモニタリングを実施する。海外施設へのモニタリングは、CROに委託し、国立がん研究センター中央病院がレビューを行うという。治験コストが比較的安価などのメリットもあり、同様のスキームで別がん種に対して複数の企業と交渉中という。

また、転移性/再発の病変を有する固形がんを対象に血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を網羅的に調べる前向き研究「A-TRAIN」も進行中。アジア各国でのリキッドバイオプシーのデータを蓄積し、遺伝子異常に応じて複数の臨床試験へ導出する考えだ。
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