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初診を含めてオンライン診療は原則解禁へ 河野規制改革・平井デジタル改革・田村厚労3大臣が合意

公開日時 2020/10/12 04:52
河野太郎行政改革・規制改革担当相は10月9日の閣議後会見で、「安全性と信頼性をベースに、オンライン診療について初診を含め原則解禁する」と述べた。電話による診療ではなく、映像を原則とする。河野担当相は平井卓也デジタル改革担当相と関係閣僚を交えた“2プラス1”会合を開いており、8日に行った田村憲久厚労相との会談で合意した。菅政権はデジタル化の推進と規制改革を一丁目一番地に位置付けている。河野担当相は会見で、「規制改革として非常に重要な合意だ」と胸を張った。菅義偉首相は7日の規制改革推進会議で、「行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打ち破って、規制改革を全力で進めるために、各省庁が自ら規制改革を進めることが必要であると思う」と述べており、これまで一種聖域とされてきた“初診”にもメスが入ることになりそうだ。

◎平井デジタル担当相 オンライン資格確認の環境整備を急ぐよう要請

オンライン診療を推進するうえで、医師・患者双方になりすましなどのリスク回避を目的としたオンライン資格確認などの環境整備が重要になる。平井デジタル改革担当相は9日の閣議後会見で、河野担当相と田村厚労相を交えた3大臣会合の内容を報告し、「医師と同様に医療関連30職種についてマイナンバーカードなど、電子的に資格確認できる環境整備を急ぐことを田村厚労相に要請した」ことを明らかにした。健康保険証のオンライン資格確認のスタートをきっかけに、医療機関で顔認証ができる環境整備を早急に進めることも要請した。

◎菅政権カラー一気に浸透へ

オンライン診療・服薬指導をめぐっては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、4月以降、時限的・特例的に初診も解禁されてきた。現在もこの期間が続く。菅首相はかねて「オンライン診療の恒久化」を明言しており、6日の経済財政諮問会議、翌7日の規制改革推進会議を通じ、その実現に強い意欲を示していた。その意味でオンライン診療の恒久化の道筋をつけることが政権基盤の強化と国民へのアピールになることは言うまでもない。今回の“2プラス1”会合も、国民から人気の高い河野担当相と、デジタル社会実現の旗手である平井担当相の2枚看板を前面に押し出し、一気に政権カラーで染める手法は、安倍前政権の手法とは異なるもので、かつての小泉政権を思い起こさせるものでもある。オンライン診療の全面解禁に抵抗感を示す医療関係団体を一気に呑みこみ、菅政権のスタンスを印象づけたことは間違いない。

◎日本医師会、日本薬剤師会など医療関係団体の対応に注目が

一方で、日本医師会や日本薬剤師会は全面解禁に慎重な姿勢を崩していない。日本医師会の中川俊男会長は、「解決困難な要因によって、医療機関へのアクセスが制限されている場合に、適切にオンライン診療で補完する」とのスタンスを示している。勤務先や仕事の都合などで継続した通院が困難なケースなど、「利便性のみ優先するオンライン診療の拡大は、医療の質低下につながりかねないため、容認できない」と主張する。日医の中川会長は8日の定例会見で、かかりつけ医によるオンライン健康相談を提案した。「技術進歩とともに、オンラインのできる範囲を着実に広げていくべきではないか」、「菅首相の方針と我々は全面的に齟齬があるというわけではない。お互いに少しでも、ICT、デジタル化を医療に導入しようという姿勢は同じだ」と述べ、かつてのような強硬路線から一転して歩み寄る一面も覗かせている。

年末の予算編成に向けて全世代型社会保障改革における高齢者の患者窓口負担の引き上げ論議なども想定される。さらに、新型コロナウイルス感染症対策やインフルエンザの同時流行に備えるための施策などの議論も控えている。今回のオンライン診療の原則解禁を電光石火の勢いで打ち出した菅政権に、どう向き合っていくかが問われることになりそうだ。
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