東邦HD・有働社長 「かなり市場が乱れた」 仕切価と薬価差の拡大で利益は約1%悪化
公開日時 2020/11/13 04:51
東邦ホールディングスの有働敦社長は11月12日、2021年3月期第2四半期決算のオンライン説明会に臨み、営業減益の背景について、「かなり市場が乱れたことが上期の大きな要因だ」と指摘した。続けて、「流通改善GLを3年以上続けてきたが、これまでやってきたものが一瞬にして消えてしまった」とも述べた。下期は、一部取引先との納入価の再交渉もあると見通しながらも、現行水準より値下げを求める得意先については、「覚悟を決めて辞退することもやっていく」と表明した。
同社の連結業績は、売上高5959億9700万円(前年同期比6.0%減)、売上総利益490億7100万円(13.55%)、営業利益12億7900万円(83.85%)の減収減益となった。このうち医薬品卸売事業は売上高5727億800まんえん(6.11%減)、売上総利益327億3100万円(18.72%減)、営業利益18億4400万円(77.28%減)となる。なお、9月末時点の妥結率は金額ベースで95.6%、軒数ベースで80.6%。
◎減収の内訳 コロナ影響△3.45%、薬価改定△2%、卸間競争△0.65%
卸売事業の6.1%減収の内訳について有働社長は、「薬価改定による影響がマイナス2%、薬価差の拡大(卸間競争)がマイナス0.65%、コロナの影響がマイナス3.45%で合計マイナス6%の影響があった」と説明した。一方、利益については、「仕切価がマイナス0.4%悪化、薬価差の拡大が0.6%あり、利益は仕切価と薬価差の拡大で約1%悪化した」と分析した。その上で2021年3月期の業績見通しについて有働社長は、「いま北海道や東京で新型コロナの感染拡大が拡がっている。これからインフルエンザも同時流行する中で、コロナがどうなるのか今後が見通せないことが大きな要因だ」と述べ、現段階で判断することが困難と説明した。
◎エンタッチとのリモートディテーリング 予約先の実施率89%で高評価
有働社長は収益性向上のための事業戦略にも触れた。今年8月に発表したリモートディテーリングサービスを提供するエンタッチ社との資本提携について、予約先でのリモートディテーリングの実施率が89%に達したことを明らかにした。同サービスは6月に首都圏と北関東甲信越エリアで始まり、7月には全国展開を開始した。新型コロナの感染拡大などで製薬企業のMRによるディテール機会が減少する中で、同社のMSが得意先の医療従事者とMRをつなぎ、リモートでの情報提供をサポートしている。有働社長は、「全国のMSが面談予約の取得だけでなく、MRが医療者に行うディテールの同席までの流れができたと実感している」と述べた。また予約先でのリモートディテーリングの実施率89%が評価され、9月に2社から契約を獲得するなど、製薬企業からのフィー獲得にも大きく寄与しているとした。