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AZ 新型コロナでがん検診受診者の減少に警鐘 がん専門医が検診受診の重要性を訴え

公開日時 2020/12/01 04:51
「新型コロナウイルス感染症でがん検診の受診者が減っている。将来的に、がんによる死亡者数の増加が懸念される」-。アストラゼネカが11月30日に開催したメディアセミナーで、登壇した複数の専門医が口々にがん検診の早期受診の重要性を訴えた。がんによる死亡原因の第1位の肺がんは、Stage1の5年生存率が8割を超えるものの、Stage2以降は5割を切るため、早期診断、早期治療が求められている。一方で新型コロナの感染拡大に伴い、がん検診の受診者が減少している。1~7月実績で前年の約240万人が、今年は約100万人まで半減した。世界肺がん学会の光冨徹哉理事長は、「悪化した状態でがんが見つかると治療法も生存できる期間も限られてしまう」と強調し、早期のがん検診受診の必要性を訴えた。

◎日本対がん協会・小西氏 がん検診受診者はコロナで半減

日本対がん協会・がん検診研究グループマネージャーの小西宏氏は「新型コロナウイルス感染症・がん検診への影響調査(Ver.2)」を報告。がん検診受診者の月別推移(29支部集計)を示しながら、1~7月の受診者合計は108万5630人で、前年実績(2019年)の243万7822人、一昨年実績(2018年)の241万5180人を大幅に下回っていることを明らかにした。特に、政府の緊急事態宣言の発令前後にあたる今年3月、4月、5月は毎月3万人台まで落ち込んでいる。8月以降は回復基調にあるとしながらも、「4月、5月で減少した分を回復できるかは厳しい状況にある」と指摘した。

◎世界肺がん学会 光冨理事長 診断の遅れが生存率に影響を及ぼす

世界肺がん学会理事長の光冨徹哉氏は、がん診断数の減少により、将来のがんによる死亡の増加が懸念されると強調した。特に、肺がんは、死亡者数の多い部位の第1位にランクされる。また、5年生存率も、Stage1で81.6%と高率であるものの、Stage2は46.7%、Stage3は22.6%、スター時4は5.2%と、他の部位と比べてStageの進行に伴う5年生存率の割合が低くなっている。加えて、3か月の診断遅延による10年生存率(UK報告)を年代別にみても、診断の遅れが生存率に影響を及ぼしているとし、早期診断、早期治療が重要になると強調した。

◎日本肺がん学会 弦間理事長 検診施設も感染防止策「安心して受診を」 

日本肺がん学会理事長の弦間昭彦氏は、肺がん検診実施に向けた感染防止策などの施設側の対応について紹介。「3密」の回避やマスクの装着、消毒や換気に加え、検査に用いる採痰容器の取り扱いや運搬などを想定した感染対策などを学会として徹底していると説明し、新型コロナウイルスの感染拡大で検診受診を控えている方に向けて、「安心して受診して欲しい」と呼びかけた。

◎AZは「Lung Ambition Alliance」通じ「つづけよう、がん検診」を啓蒙

メディアセミナーを主催したアストラゼネカは「Lung Ambition Alliance」として、肺がん治療におけるグローバルパートナーシップに参加しており、2025年までに肺がんの5年生存率を2倍に高める活動を展開している。同日のイベントもその取り組みの一つ。新型コロナの世界的拡大を踏まえ、がん検診の延期・中断ががん患者の予後に影響すると警鐘を鳴らしている。同社はさらに、がん治療の継続、がんのスクリーニングの重要性に関する啓発活動を展開しており、12月1日から、がん検診についてのテレビCMを放映すると発表した。



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