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政府・新成長戦略実行計画案 医薬品産業のエコシステム確立へ「政府の司令塔機能を強化」

公開日時 2021/06/03 04:52
政府の成長戦略会議は6月2日、新たな成長戦略実行計画案を取りまとめた。「医薬品産業の成長戦略」を重点分野の一つに位置付け、医薬品産業のエコシステム確立に向け、「政府の司令塔機能強化」を図ることを盛り込んだ。革新的医薬品の創出に向けて環境整備の重要性を強調。医療情報の利活用に向けた環境整備や、「薬価制度における新薬のイノベーションの評価や長期収載品等の評価の在り方の検討」、「製薬企業の集約化の支援」なども盛り込んだ。行政処分が相次いだ後発品メーカーについては、製造・品質管理体制を確保する必要性を指摘した。共同開発についても、「承認審査時にデータの信頼性確保に関する確認を行う」と言及した。政府は与党との調整を経て、今月中旬にも新成長戦略を閣議決定する方針。

◎ライフサイエンスは「デジタルやグリーンと並ぶ重要戦略分野」 安全保障上も重要


実行計画案では、「ライフサイエンスは、デジタルやグリーンと並ぶ重要戦略分野であり、安全保障上も重要な分野」とした。革新的新薬創出に向けた環境整備の必要性を指摘。研究開発支援の強化や創薬ベンチャーの支援、国際共同治験の推進、国内バイオ医薬品産業の強化に加え、「全ゲノム解析等実行計画の推進と産官学の関係者が幅広く分析・ 活用できる体制の構築、医療情報を利活用しやすい環境整備」など、データの利活用についても盛り込んだ。感染症領域では国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの連携によるデータバンクの整備などを推進する。検査や治療体制を強化するとともに、治療薬やワクチン開発を抜本的に強化したい考え。

◎安定確保医薬品 優先度の高いものは「継続的な安定供給が可能な薬価設定を検討」

医療上必要不可欠であり、幅広く使用され、安定確保について特に配慮が必要な「安定確保医薬品」については、「優先度の高いものについては、継続的な安定供給が可能となるよう薬価設定を行うことを検討する」とした。安定確保医薬品をめぐっては、日本医学会傘下の58学会の選んだ成分に基づき、厚労省の検討会がリストを今年3月に決定。最も優先度の高いカテゴリAには、ワルファリンやメトトレキサート、セファゾリンなど21成分が指定されている。また、抗菌薬等の安定確保が必要な医薬品の原料等については、「国内での製造支援や備蓄制度の導入を検討する」ことも盛り込んだ。

◎ジェネリックメーカー「製造販売業者による適切な製造・品質管理体制の確保を図る」

一方、ジェネリックメーカーについては、日医工と小林化工が行政処分を受け、製薬業界の信頼失墜を招く事態に陥っている事態を踏まえた施策が明記された。生産部門に加え、研究開発部門での不正も明るみになるなかで、品質確保や安定供給に加え、「データの信頼性確保に責任を持つ体制」を構築する必要性を指摘。「製造販売業者による適切な製造・品質管理体制の確保を図る」と強調した。共同開発の場合でも「承認審査時に信頼性確保に関する確認を行う」ことも明記した。承認審査の段階で、品目数や製造量に見合った管理体制が確保されているか、共同開発会社がいかにデータを確認したか信頼性を確認するなどの方策が検討されており、こうした方策を通じて、承認審査の強化を図る考え。

バイオシミラーについては開発・利用促進のための政府目標について「速やかに結論を得る」とした。

◎医薬品流通 商習慣の改善に向け「流通改善GL見直しを含めた対応策を検討」

医薬品流通についても言及。「医療用医薬品の流通構造には、製薬メーカーが卸売業者に販売する価格が卸売業者から医療機関・薬局に販売する価格を上回る商慣行や、医療機関・薬局が購入する全品目の価格・割引率をまとめて交渉する商慣行が存在することから、これらの改善に向けて、流通改善ガイドラインの見直しを含めた対応策の検討を行う」と明記した。

◎オンライン診療 22年度改定で対象範囲拡大検討を オンライン服薬指導も今夏目途に見直しを

このほか、医療分野でDXを進める必要性も指摘した。オンライン診療については、「安全性と信頼性をベースに、かかりつけ医の場合は初診から原則解禁する」とした。そのうえで、2022年度診療報酬改定に向けて、「オンライン診療の普及状況を調査・検証 し、安全性・有効性が確認された疾患については、オンライン診療料 の対象に追加することを検討する」ことも盛り込んだ。

オンライン服薬指導についても、2021年夏を目途に薬機法に基づくルールの見直しの検討を行うとともに、診療報酬についても、「評価の検証を行い、必要な見直しの検討を行う」とした。また、薬局で市販されるOTC診断薬等の使用推進については、安全性の確保が必要としたうえで、「個別品目ごとにOTC化の検討を進めるなどセルフケア・セルフメデ ィケーションを推進する」とした。

◎プログラム医療機器 承認審査を迅速化 21年度中に結論

このほか、治療用アプリなどのプログラム医療機器については、「プログラム医療機器の特性を踏まえた新たな承認審査制度の導入に向けて検討を進め、2021 年度中を目途に結論を得る」とした。欧米との開きも指摘されるなで、革新的なものについては優先審査とするなど、実用化促進に向けて「承認審査の迅速化を図る」としている。

◎国産ワクチンの開発・生産へ 薬事承認プロセスの迅速化のための体制・基準整備も

コロナ禍で国産の新型コロナワクチンへの国民からの期待が高いなかで、「ワクチンの国内での開発・生産」も重点分野に位置付けた。開発や生産などで、欧米に後れを取ったことも指摘されるなかで政府一丸となった対策の必要性を強調。「世界トップレベルの研究開発拠点の形成、戦略性を持った研究費のファンディング機能の強化、治験環境の整備・拡充、薬事承認プロセスの迅速化のための体制・基準整備、ワクチン製造拠点の整備、ワクチン開発・製造産業の育成・振興等を進める」とした。



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