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薬食審 7月30日に第二部会 新薬4製品を審議 RET融合遺伝子陽性NSCLC治療薬など

公開日時 2021/07/16 21:15
厚生労働省は7月16日、新薬の承認可否の審議などを行う薬食審医薬品第二部会を30日に開催すると発表した。審議品目は4製品。この中には日本イーライリリーが承認申請した経口投与のRET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬レットヴィモカプセル(一般名:セルペルカチニブ)や、ファイザーが申請した梅毒治療薬ステルイズ水性懸濁筋注(同ベンジルペニシリンベンザチン水和物)が含まれる。

報告品目は6製品で、MSDのがん免疫療法薬キイトルーダ点滴静注(同ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))にトリプルネガティブ乳がんの適応を追加することや、小野薬品のがん免疫療法薬オプジーボ点滴静注(同ニボルマブ(遺伝子組換え))と武田薬品の抗がん剤カボメティクス錠(同カボザンチニブリンゴ酸塩)を腎細胞がんに対して併用することが含まれる。

承認が了承された場合、新有効成分含有医薬品は9月に、効能追加などは8月に正式承認される見通し。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ステルイズ水性懸濁筋注60万単位シリンジ、同240万単位シリンジ(ベンジルペニシリンベンザチン水和物、ファイザー):「梅毒」を対象疾患とする新投与経路医薬品。

ペニシリン製剤。有効成分はMSDが持続性経口ペニシリン製剤バイシリンG顆粒として、リンパ管・リンパ節炎、咽頭炎、梅毒、中耳炎などの適応で発売している。ステルイズは筋注製剤となる。

リンヴォック錠7.5mg、同錠15mg、同錠30mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ):「アトピー性皮膚炎」を対象疾患とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。

JAK阻害薬。JAK依存性サイトカインは多くの炎症性及び自己免疫疾患の病因と関連していることが示唆されており、JAK阻害作用により効果を発揮すると考えられている。リンヴォックは今回30mg錠を追加する。承認された場合、経口JAK阻害薬でアトピーの適応を持つのは、オルミエント錠に続く2剤目となる。

コセンティクス皮下注150mgシリンジ、同150mgペン、同75mgシリンジ(セクキヌマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「乾癬」を対象疾患とする新用量・剤形追加に係る医薬品。

ヒト型抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤。今回、乾癬の小児適応を追加し、併せて75mg製剤を追加する。

レットヴィモカプセル40mg、同80mg(セルペルカチニブ、日本イーライリリー):「非小細胞肺がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。

RETキナーゼ阻害薬。RET融合遺伝子又はRET遺伝子変異は、RETを介したシグナル伝達経路を亢進させることにより、腫瘍の生存や増殖に大きく寄与することが報告されている。これまでに、「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)」など複数のがん種で厚労省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。RET融合遺伝子陽性NSCLCの患者数は4000人強とされる。同剤はコンパニオン診断薬を使用して用いる。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))、MSD):「結腸・直腸がん」を対象疾患とする新効能医薬品。また「乳がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

がん免疫療法薬で抗PD-1抗体。結腸・直腸がんの効能追加は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんの1次治療のこと。なお、現在、MSI-Highを有する固形がんに使用できるが、これは2次治療以降の固形がんを対象としたもの。

乳がんに関しては、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がんの効能追加で、いわゆるトリプルネガティブ乳がんの効能追加となる。承認されれば、キイトルーダとしては初の乳がん適応となる。

厚労省によると、トリプルネガティブ乳がんに対して、抗がん剤カルボプラチン点滴静注液(カルボプラチン、マイラン製薬)、または抗がん剤アブラキサン点滴静注用(パクリタキセル、大鵬薬品)それぞれとの2剤併用などで用いる。カルボプラチン、アブラキサンの新用量はこの日の部会で報告される。

カルボプラチン点滴静注液50mg「NK」、同150mg「NK」、同450mg「NK」(カルボプラチン、マイラン製薬):「乳がん」を対象疾患とする新用量医薬品。この日の部会に報告されるキイトルーダのトリプルネガティブ乳がんの適応と併用して用いるための用量追加となる。

アブラキサン点滴静注用100mg(パクリタキセル、大鵬薬品):「乳がん」を対象疾患とする新用量医薬品。この日の部会に報告されるキイトルーダのトリプルネガティブ乳がんの適応と併用して用いるための用量追加となる。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品)
カボメティクス錠20mg(カボザンチニブリンゴ酸塩、武田薬品)
:それぞれ「腎細胞がん」を対象疾患とする新用量医薬品。

オプジーボはがん免疫療法薬の抗PD-1抗体。カボメティクスはキナーゼ阻害薬。今回、根治切除不能または転移性腎細胞がんの1次治療に対する両剤の併用療法を追加する。

両剤とも単剤で、根治切除不能または転移性腎細胞がんの適応を持つが、オプジーボは2次治療から、カボメティクスは1次治療から使える。また、オプジーボはヤーボイ点滴静注液(一般名:イピリムマブ)との併用で、腎細胞がんの1次治療の適応を持つ。

小野薬品はこれまでに、本誌取材に、オプジーボとヤーボイ併用による腎細胞がん1次治療は、IMDC(International Metastatic RCC Database Consortium)リスク分類の中高リスク患者の治療選択肢となっているが、カボメティクスとの併用は低リスクを含むと説明している。

ブスルフェクス点滴静注用60mg(ブスルファン、大塚製薬):「造血幹細胞移植の前治療」を対象疾患とする新用量医薬品。事前評価済公知申請。
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