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GE薬協・澤井会長 長生堂の行政処分で「自主点検が疎かにならないよう厳しい姿勢で取り組む」

公開日時 2021/10/26 04:51
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の澤井光郎会長(沢井製薬会長)は10月25日、「長生堂の処分に恐れをなして自主点検が疎かにならないように、一層の厳しい姿勢で品質の信頼回復に向けた取り組みを進めていかなければならないと覚悟を決めておるところだ」と述べた。会員企業が行政処分を受けるのは今年に入って、小林化工、日医工に続き3社目で、GE薬協が会員企業に求めた自主点検で品質問題が発覚した経緯がある。相次ぐ自主回収や出荷調整で医療現場に打撃を与えるなかで、国の進める供給不安情報提供サイト構築に向けた諸外国の事例を研究し、22年1月にも提案を行うなどの対応を行う方針を示した。一方で、今後半年以上は供給不安が続くとの見通しを示したうえで、「これ以上何ができるのか」(澤井会長)と述べる一幕もあった。

◎澤井会長 供給不安は「いったいいくら足りないのかわからない」


日医工や小林化工の行政処分に端を発した安定供給問題に加え、ジェネリックメーカーの相次ぐ自主回収や供給停止、出荷調整などで、医療現場は現在も混乱が続いている状況にある。これに対し、澤井会長は、「2社の製品が市場からなくなったことがきっかけだと考えている。「会員会社ほとんど10%以上は製造し、供給している。それでも足りていない」と説明。「製造現場はお盆休みを返上し、労働法規ギリギリまで残業してフル回転で増産しているが、供給不足を解消し切れない」、「いますぐできる増産としては残業と人員増、土日を使う手法しかない。すでにやれる手法はほぼやっている。数量ベースで対前年度比130%増近い製造販売をしているが足りない。我々としてはなすすべがない」などと述べた。

「医療機関が複数の卸に発注した注文残があるため、不足量の実態が分からない」と説明。企業同士で話し合うと、独占禁止法(独禁法)に抵触する可能性があることにも触れながら、「いったいいくら足りないのかというのもわからない」と吐露した。

供給再開の目途など、情報開示や情報提供が不十分との指摘も医療現場からはあがっているが、「各社がきちんと情報提供しているという認識だ。これ以上無理だという情報は伝えている」との認識を示した。ただ、日医工や小林化工の事例については、「事案発生時の不適切な対外コミュニケーション、後手後手となった情報開示が社会を混乱させ、さらにその後の供給見通し等の不適切な対応がジェネリック医薬品の信頼を著しく失墜させた」とも述べた。

◎特設HPで情報開示も「認識が会員企業のなかでも違った」


GE薬協では、特設サイト「ジェネリック医薬品に対する信頼の回復に向けた当協会の取組み」の情報で、会員企業の自主回収や供給調整などの情報について公表を開始した。伊東知樹流通適正化委員長(高田製薬)は、「情報開示は、認識が会員企業の中でも違った」との認識を表明。更新頻度は2週に1度にとどまるが、「まずはそう言った情報開示の在り方を各会員企業に認識していただくところから始めている」と述べた。

GE薬協では、安定供給に向けて、国の進める供給不安情報提供サイト構築に向けた諸外国の事例を年内に研究し、22年1月に提案する方針だ。伊東委員長は、また、米FDAで供給不足について医療関係者に周知するサイトがあることを引き合いに、「情報開示をできるように協会側のドラッグショーテージ(供給不足)というものの第一歩を踏み出した。今後ブラッシュアップした情報開示を引き続き、協会、会員会社、それ以外の企業にも訴えていきたい」と述べ、GE薬協加盟社以外への参画にも意欲をみせた。

國廣吉臣総務委員長(沢井製薬)は、「今回の問題は、多品目同時多発に起こっている。こういうことに対して構造的な対応が難しい」との見解を表明。情報提供についても一元的に管理するデータベースがないことに問題意識を示したうえで、「改めてこういう問題に対応することの難しさがあることを共通の認識として持っている段階だ」と述べ、「システムを作っていかないといけない部分、法的規制の部分もある。情報公開と本質的にやらないといけないことをわけてやらないと、根本的には解決しないと考えている」との見解を示した。

◎田中広報委員長「代替品や供給再開時期に極力取り組みを会員企業に呼びかけ」


田中俊幸広報委員長(東和薬品)は、後発医薬品使用促進ロードマップ検証検討事業の結果を踏まえ、「供給停止、供給不安がある場合に医療関係者が一番求めているのは、代替品の情報や再開時期ということが明確に出ていることは各社にフィードバックしている」と説明。「代替品や供給再開時期は非常に難しいと思うが、極力そういうことに取り組んでほしいとお願いしている。供給の再開時期は例えば、1社がやるとそこに集中してしまうという問題が起こりかねない。日薬連の安定確保委員会と一つひとつ確認しながら、法整備をするというとことに協力しながら対応していく」と述べた。

◎澤井会長「信頼回復へ決意表明する」 第三者による監査制度も試行的導入も検討


同日は、小林化工、日医工が行政処分を受けたことによる検証結果を発表した。澤井会長は、「この事項については2社特有の問題だという声が出ないわけではなかったが、断定するには各社で自主点検を行い、第三者の指導をもとに作成したチェックリストを用いて行うように要請した」と説明。この過程で、長生堂の問題が発覚したことも紹介した。

日医工や小林化工の行政処分から半年以上経過してからのタイミングとなったが、澤井会長は「日医工、小林化工の第三者調査会の報告書で、各常設委員会が報告書を読み込み、業界として二度と起こさないためにはどうすべきかしっかり議論して検討し、これまでの取り組みを検討し、取りまとめたのがこのタイミングになった。遅いくらいだが、これから我々が信頼を回復するために決意表明する」と述べた。

取り組みは、①コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化、②品質を最優先する体制の強化、③安定確保への取り組み、④積極的な情報提供と開示-。

経営者自らが法令を厳格に順守する宣言を行い、11月には公表するよう求めたほか、品質を最優先するために、「第三者による監査制度の試行的導入」について検討を進めることも盛り込んだ。

豊田弘品質委員長(沢井製薬)は、「民間同士でやれなかった調査が第三者を使うことでできないだろうかと考えている」と説明。行政による監査もこれまでは性善説に基づいており、GMPは、「人為的な誤りを最小限にすること」が三原則の一つとされている。豊田委員長はこのため、「不正に対しては効力を発揮しない」と説明し、第三者による監査制度の必要性を説明した。また、「協会内で各社が同じ目線で監査しないといけない。その目線をどう合わせるか検討している段階だ」とも述べた。こうした取り組みを通じ、「品質の担保されたジェネリック医薬品のみが安定的に市場に流通する状況を実現する」(澤井会長)考えだ。

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