英MHRA 新型コロナ初の経口薬・モルヌピラビルを承認
公開日時 2021/11/08 04:50
英医薬品庁(MHRA)は11月4日、米大手製薬企業MSDと米ベンチャーRidgeback Biotherapeutics社が共同開発した新型コロナの経口薬Lagevrio(一般名:モルヌピラビル)を承認した。適応は、重症化リスクが1つ以上ある軽症から中等症の新型コロナ患者。重症化リスクとは、肥満、高齢者(60歳以上)、糖尿病あるいは心疾患としている。
モルヌピラビルは、ウイルスの複製を阻害し、増幅を抑制、ウイルス量を低下させ、重症化を防ぐ薬剤。臨床試験データによると、同剤は感染当初に投与することが最も効果が高いと指摘される。MHRAは、新型コロナの検査で陽性が判明したらできるだけ早期の使用、かつ症状発現5日以内の使用開始を推奨している。
Sajid Javid保健相(Health and Social Care Secretary)は、「本日は、英国がいまや新型コロナに対して在宅で服用できる抗ウイルス剤を承認した世界で最初の国になった。この薬剤は、すぐにでも、この画期的な治療を受けられる脆弱かつ免疫が低下した人たちに大変革を与えるだろう」とコメントした。MHRAのJune Raine専務理事は「我々の科学者や臨床家による厳格な審査の結果、我々は、重症化リスクのある患者に安全かつ有効であることを確認し、かつ承認を与えたことに満足している」と話した。
MHRAヒト医薬品委員会のMunir Pirmohamed議長は、「臨床試験では、Lagevrioは、軽度から中等度のCOVID-19非入院患者の入院あるいは死亡を50%減少させることに有効だったことが示された」と同剤の具体的メリットを説明した。
米メルクのロバート・M・デイビスCEO兼社長は、「世界初のモルヌピラビルの承認は、世界最大の課題であるコロナパンデミック解決のために画期的新薬やワクチンを開発しようというレガシーにおける到達点のひとつだ。メルクのゆるぎない使命を追求するうえで、我々は世界中の患者にモルヌピラビルを届けるために厳格さと迅速さを持って取り組んで行く」と語った。