キッセイ薬品は11月9日、2021年度第２四半期決算を発表し、売上高は前年同期比0.3%増と微増収だったものの、営業利益は86.8％減、経常利益は53.9％減の大幅減益となった。製品構成の変化等により売上原価率が50.1→52.3に2.2ポイント上昇したことや、研究開発費が2桁増となったことなどが減益要因。親会社帰属純利益は、投資有価証券売却益の計上により28.9％増の56億6600万円となった。

医薬品事業の売上高は5.0％減の269億6800万円。その内訳は、▽医薬品が6.4％減の229億4700万円▽ヘルスケア食品が1.8％減の18億1300万円▽その他（国内販売提携先供給額、技術料売上、コ・プロモーションフィーの合計額）が8.9％増の22億700万円―。

◎過活動膀胱治療薬ベオーバは出荷調整「解除は22年度中」

医薬品は6.4%の減収だったものの、期初予想の224億円を5億4700万円上回った。個別製品では、18年 11月に発売し、杏林製薬と共同販売している過活動膀胱治療薬ベオーバの同社売上は17.3％増の39億7300万円と、ほぼ期初予想（40億円）通りだった。決算発表会見で同社広報部は「19年12月に投薬期間制限が解除されてから販売計画を大幅に上回る注文を頂戴しており、出荷調整を行っている。出荷調整の解除は22年度中を見込んでいる」と説明した。

20年4月にフェリング・ファーマから販売移管を受けた、19年9月発売の男性における夜間多尿による夜間頻尿治療薬「ミニリンメルトOD錠25µg/50µg」のほか、夜尿症・中枢性尿崩症治療薬「同OD錠60µg/120µg/240µg」や「デスモプレシン製剤」の合計売上は33.8％増の20億2200万円と期初予想（19億円）を上回って着地した。

15年 11月発売の高リン血症治療薬ピートルの売上は、チュアブル錠に加え、18年11月に顆粒剤を投入したが、3.1％減の29億4600万円。期初予想（32億円）を下回った。「透析施設はコロナ対策による訪問規制が厳しい状況が続いており、新規処方の獲得が想定通り伸長していないのが現状」と説明。21年6月には三和化学研究所と二次性副甲状腺機能亢進症治療薬ウパシタのコ・プロモーション契約を締結し、8月に発売されたことから、「ウパシタのプロモーション活動なども生かし、ピートルの新規処方獲得を進めている」とした。

腎性貧血治療薬ネスプのバイオ後続品であり、19年11月に発売したダルベポエチンアルファBS注の売上は33.2％減の17億8700万円。期初予想（15億円）を上回って着地した。「想定を大幅に上回る注文を頂戴し、出荷調整を行っていたが、一定の在庫量を確保することができ、21年8月に出荷調整を解除した」と説明した。

通期業績予想については、売上高を19億円引き上げ654億円とした。医薬品事業のうち、医薬品は7億円引き上げ462億円（前期比4.0％減）としている。個別製品では、ダルベポエチンアルファBS注、エポエチンアルファBS注を各6億円引き上げている。利益面では、原価率の見直し、および販売費・一般管理費の見直しにより、営業損益は26億円の赤字予想から16億円の赤字予想に赤字幅が10億円縮小。親会社帰属純利益は、年度後半において新たに投資有価証券売却益100億円を見込み、期初予想から86億円増額の119億円とした。

【連結実績 （前年同期比）　21年度通期予想（前期比）】
売上高　323億8800万円（0.3%増）　654億円（5.3％減）←修正前635億円
営業利益　2億7000万円（86.8％減）　△16億円←修正前△26億円
経常利益　12億8100万円 （53.9％減）　3億円（91.4％減）←修正前△13億円
親会社帰属純利益　56億6600万円（28.9％増）　119億円（125.2％増）←修正前33億円

【国内主要製品売上（前年同期実績）、通期予想、億円】
ベオーバ　39.73（33.87）　83
ミニリンメルト、他　20.22（15.11）　41←修正前40
ユリーフ　14.76（19.69）　28←修正前29
ピートル　29.46（30.39）　63←修正前66
ダルベポエチンアルファBS注　17.87（26.76）　41←修正前35
エポエチンアルファBS注　19.79（22.80）　35←修正前29
グルベス　19.64（21.81）　40
グルファスト　5.3（6.19）　11←修正前10
マリゼブ　6.41（7.96）　14←修正前17
サラジェン　7.34（7.81）　15←修正前14
レクタブル　4.01（4.12）　8