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院内がん登録数 前年比4.6%減で初の減少に コロナ禍の検診・受診控えの影響も

公開日時 2021/11/26 04:50
国立がん研究センターは11月26日、2020年に新規にがんの診断や治療を受けた人(以下、登録数)が07年の集計開始以来、初めて減少したと発表した。がん診療連携拠点病院を含む院内がん登録実施病院863施設のうち前年と比較可能な831施設をみると、20年の登録数は前年比4.6%減、約6万件の減少となった。早期がんで減少幅が大きい傾向もみられた。コロナ禍による1回目の緊急事態宣言下に、がん検診の原則実施延期や不要不急の外出・受診を控えるよう求められたことが、今回の登録数の減少につながったとみられる。

国がんは、20年の新型コロナ流行下におけるがん診療の状況を確認するため、20年の院内がん登録実施病院863施設、104万379例のデータを用いて分析した。施設の内訳はがん診療連携拠点病院等450施設、小児がん拠点病院6施設、都道府県推薦病院349施設、任意でデータを提出した病院58施設――。このデータは新規のがんの約72.5%をカバーする規模といい、国がん・がん対策研究所の若尾文彦事業統括は会見で、「非常に実態に近い、全体像に近いデータ」との認識を示した。

◎5大がん 男性は胃と大腸 女性は乳房と胃で登録減少

20年の登録数は594施設で計6万409件減少していた。この施設数は前年と比較可能な831施設の7割超に相当する。施設によって減少幅にバラつきはあるものの、がん診療連携拠点病院等では平均5.3%減となり、全体の4.6%減と比べると減少幅は大きかった。この理由として、新型コロナ患者をより多く受け入れた施設が多かったためと推察されるとしている。

がん診療連携拠点病院等における5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺(男性)/乳房(女性))の登録数をみると、男女とも肝臓はほぼ横ばいだったが、特に男性は胃と大腸、女性は乳房と胃で登録数が減少していた。男性の胃がんは20年4万7220件、19年5万3238件、大腸がんは同6万188件、6万4569件――。女性の乳がんは同7万8954件、8万2445件、胃がんは同2万337件、2万3237件――だった。

◎胃がん発見経緯 自覚症状などでの診断例11%減 検診での発見24%減

16年~20年の5年間全てで院内がん登録に参加した病院735施設を対象に診断月、発見経緯、病期などについて16~19年の「4年平均」と20年を比較した。20年の登録数は4年平均と比較して1.4%減、他施設で診断されて自施設で初回治療を開始した例は1.5%減だった。

がんの発見経緯について、男女とも減少幅が大きかった胃がんを見てみる。20年の胃がんの登録数7万6756件のうち、自覚症状などによる診断例は6万2604件だったが、4年平均と比較すると11.0%(7769件)減少していた。がん検診等での発見例は1万4152件で、4年平均と比較すると24.3%(4538件)の大幅減となっていた。月別では、1回目の緊急事態宣言が発出されていた20年5月の減少幅が特に大きく、自覚症状などによる診断例は4年平均の5月と比べて35.3%減、がん検診等での発見例は同60.3%減だった。

1回目の緊急事態宣言の際は、未知のウイルスということもあり、同宣言下でのがん検診は原則実施延期との政府方針が出され、不要不急の外出・受診を極力控えることも求められた。この影響が今回の結果に反映したとみられる。

◎大腸がんの病期別登録数 0期8.8%減、I期5.9%減、IV期0.4%減

病期別登録数について、18年~20年の大腸がんを見てみると、0期は20年が3万1105件、18年及び19年の2年平均と比較して8.8%(3003件)減、I期は同2万2611件、5.9%(1426件)減、II期は同2万2251件、4.6%(1077件)減、III期は同2万2009件、4.2%(963件)減、IV期は同1万7753件、0.4%(73件)減――だった。比較的早期のがんで登録数の減少幅が大きいことがわかる。なお、全ての病期で5月に大きく落ち込み、その後、登録数の回復傾向がみられた。

国がん・がん対策研究所がん登録センター院内がん登録分析室の奥山絢子室長は会見で、「大きな傾向として、早期がんを中心に登録数の減少幅はやや大きかったといえる」と述べ、大腸がんに限らず、全体的な傾向として早期がんでの登録数が減ったと報告した。

◎早期発見の遅れによる生存率への影響 「現時点ではわからない」

国がん・がん対策研究所がん登録センターの東尚弘センター長は、早期発見が遅れたことによる今後の生存率への影響について、「現時点ではわからない」と強調し、21年以降に進行がんが増えたかどうかなどのデータを確認・分析する必要があるとした。

ただ、一般論として、「診断が遅れれば、早期発見よりは治りにくいとは言える」と指摘。20年に比べて現在は、多くの医療機関で感染対策が十分に取られ、ワクチンも普及しているとして、「エビデンスのあるがん検診の受診や、自覚症状がある場合は早めに医療機関を受診してもらいたい」と述べた。

◎厚労省・岩佐がん対策推進官 「がん検診などの必要な受診は不要不急の外出に当たらない」

会見に同席した厚労省健康局がん・疾病対策課の岩佐景一郎がん対策推進官は、「(登録者の減少は)がん患者そのものの減少に起因するものではなく、コロナ禍に伴う影響で、早期がんを中心にがんの発見数が減少したものである可能性が高いと捉えている」との認識を示した。

厚労省としても現在は、がんの早期発見・早期治療のために、がん検診の受診や症状があった場合の医療機関受診を推奨する立場だと説明。「受診行動への影響を最小化するために、がん検診などの必要な受診は不要不急の外出には当たらないと改めて強調したい。これを明確にした形で、がん検診等の受診勧奨を進めたい」と述べた。
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