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22年度診療報酬改定 「改定率」めぐり与党の動き活発化 実質本体のマイナス幅押し戻しも

公開日時 2021/12/13 04:52
2022年度診療報酬改定の「改定率」をめぐる政府・与党間の議論が佳境を迎える。政府は看護職員の処遇改善や不妊治療の保険適用で0.52%程度を確保する方針を固めており、医科・歯科・調剤に実質的にまわる実質的な本体部分の取り扱いが焦点となっている。“絶対プラス改定”を掲げる日本医師会など医療関係団体や自民・公明両党の厚労関係議員の動きが先週末から活発化しており、当初のマイナス幅を押し戻しつつある。日本医師会は12月10日、TKC医業経営指標に基づく経営動態分析を公表。コロナ禍での経営環境の悪化を指摘し、「安全・安心な医療提供体制を持続、向上させるために診療報酬財源によるさらなる下支えが必要」と強調している。

◎日医・医療機関経営動態分析 補助金含まない一般病院の医業利益率1.0% 前年度下回る

日本医師会が10日発表した医療機関経営動態分析によると、2020年度の一般病院における医業利益率(補助金を含まない)は1.0%で、前年度の2.5%を大きく下回った。補助金を含む経常利益率は3.1%だったが、前年度(3.3%)より低下した。診療所では、補助金の有無によらず、利益率が大幅に低下。法人立の無床診療所の小児科、耳鼻咽喉科は赤字だった。経常利益率(補助金含む)は、個人立の有床診療所のみ横ばいであったものの、それ以外ではすべて低下した。このほか、役員報酬は病院、診療所ともに低下傾向だった。

損益分岐率は、一般病院で96.0%、精神科病院95.5%、有床診療所96.1%、無床診療所95.3%と、危険水域とされる95%をいずれも超えていた。

日本医師会は、「今後、コロナ関連の補助金が縮小された後、たちまち医療機関経営が綻びかねない状況にあり、政府が収入の引き上げを決定された看護職員等以外の処遇改善の余地はない。安全・安心な医療提供体制を持続、向上させるために診療報酬財源によるさらなる下支えが必要だ」としている。

◎中医協・公益委員が次期改定で意見書とりまとめ 診療・支払各側の意見を併記

中医協は12月10日に開いた総会で、次期診療報酬改定に向けて、後藤茂之厚労相宛ての意見書を取りまとめた。同日、小塩隆士会長(一橋大経済研究所教授)が厚労省の榎本健太郎大臣官房審議官(医療保険担当)に手渡した。意見書では、「薬価財源は診療報酬に充当したうえで、プラス改定しかあり得ない」とする診療側の意見と、「診療報酬を引き上げる環境になく、国民の負担軽減につなげるべき。配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定とする必要がある」とする支払側の意見の両論を併記した。

そのうえで、新型コロナへの対応をはじめ、医療機能の分化・強化・連携、保健・医療・福祉の更なる連携、医療従事者の働き方改革や処遇改善、地域・職域等における予防・健康づくりの取り組み、費用対効果、新しい医療技術などの課題を解決するうえで、「診療報酬のみならず、補助金、税制、制度改革など、幅広い施策を組み合わせていくことが重要」と指摘した。また、国民一人一人が医療提供施設の機能に応じ、適切に医療を選択し、受けるよう努めることの重要性も強調。仕組みをできるだけわかりやすく説明し、患者の主体的な選択を可能とする情報提供の必要性も指摘した。



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