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アデュカヌマブの承認を了承せず「継続審議」に 有効性の判断が「困難」 薬食審・医薬品第一部会

公開日時 2021/12/22 20:40
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は12月22日、バイオジェン・ジャパンが承認申請したアルツハイマー病治療薬アデュヘルム点滴静注170mg、同300mg(一般名:アデュカヌマブ(遺伝子組換え))の承認を了承せず、「継続審議」とした。申請データなどから同剤の有効性を「明確に判断することは困難」とし、「今後実施される適切なデザインの臨床試験の成績等に基づき、有効性及び安全性について再検討し、その結果に応じて再度審議する必要がある」との結論となった。

◎追加試験データ 「一定程度の年数かかる」

厚労省によると、この日の部会での主な論点は、▽申請の根拠とされた2つの国際共同第3相臨床試験の結果に一貫性がない、▽探索的な評価項目である脳内アミロイドβプラーク低下の臨床的意義が確立していない、▽本剤投与によって脳の浮腫や出血などがみられる――の3つがあがった。いずれも同剤の承認拒否を勧告した欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)と同様の指摘となる(関連記事)

ただ、厚労省は部会後の記者説明会で、「日本は継続審議の形であり、欧州のように承認拒否ではない。(部会では)薬剤としてのポテンシャルはあるのではないかとの意見もあった」とし、追加データなどが提出されれば医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査し、改めて同部会で審議すると説明した。また、追加試験のデータを待つとなると、「一定程度の年数はかかる」との認識も示した。

◎米国で開始する第4相臨床試験「当然視野に入る」

厚労省は、「今後実施される適切なデザインの臨床試験」で、同剤の有効性と安全性を裏付ける必要性を強調した。この臨床試験のイメージとして、「例えばプラセボ対照の二重盲検試験といったものがあり得ると思う。これからの話になる」と指摘。バイオジェンとパートナー企業のエーザイが米国で2022年から実施する第4相臨床試験(国際共同プラセボ対照試験)を想定しているかとの記者からの質問に、「評価できるのであれば、当然視野に入る」と述べた。

この第4相臨床試験は、米FDAによる同剤の迅速承認の市販後要件となったもので、臨床的ベネフィットを明確にするために行われる。試験は国際共同プラセボ対照試験で、早期アルツハイマー病の1300人を登録する。主要評価項目は、投与18か月後の臨床評価とする予定。主要評価項目の完了時期は試験開始から4年後を見込む。試験には、より長期間の治療データを収集するために、最長48か月間の長期継続投与も含まれる予定としている。

同剤の申請をめぐっては、アルツハイマー病の初期段階(軽度認知障害および軽度認知症)の患者3000例以上を対象に有用性が検証された。「EMERGE」、「ENGAGE」の2本の臨床第3相試験が実施されたが、独立データモニタリングコミッティが無益性(Futility)解析により、主要評価項目が達成される可能性が低いと判断したことを踏まえ、2本の臨床第3相試験を中止した。その後、新たな症例を加えた最終解析を行い、EMERGE試験では主要評価項目を達成したが、ENGAGE試験では主要評価項目を達成できなかった。
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