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新薬3製品が承認へ ビラフトビの結腸直腸がん1次治療の追加など 薬事審・第二部会が了承

公開日時 2025/10/30 04:50
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は10月29日、小野薬品のBRAF阻害薬・ビラフトビにBRAF遺伝子変異陽性結腸・直腸がんの1次治療を追加するなど新薬3製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。

このほか2製品は、ブリストル・マイヤーズ スクイブのROS1阻害薬・オータイロにがん種横断適応となるNTRK融合遺伝子陽性固形がんの追加、中外製薬の抗CD20/CD3二重特異性抗体・ルンスミオの皮下注製剤の追加となる。

報告品目は3製品。ヤンセンファーマの抗CD38抗体/ヒアルロン酸分解酵素(rHuPH20)配合剤・ダラキューロの「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」の適応追加や、アッヴィのベネクレクスタの慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の1次治療の追加などの承認が了承された。

◎8月部会通過のリブロファズ 体液貯留の有害事象の集計に誤り 安全対策強化のうえ12月にも承認へ

このほか、同日の部会では、2025年8月の第二部会を通過したものの、現時点で承認に至っていないヤンセンファーマの抗EGFR/MET二重特異性抗体/rHuPH20配合剤・リブロファズの審査結果が報告された。厚労省の担当者によると、部会通過後に、体液貯留に関する有害事象の集計に誤りがあったことが分かり、改めて評価を行った。その結果、体液貯留への安全対策を強化する必要があると判断。具体的には、医薬品リスク管理計画(RMP)では、「重要な潜在的リスク」から「重要な特定されたリスク」に変更。添付文書では、「重大な副作用」に位置付ける。

リブロファズの承認時期は、医薬品審査管理課長通知(令和6年4月24日)に基づき、「11月部会品目と同じ日に承認することになると考えている」とした。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ビラフトビカプセル50mg、同カプセル75mg(エンコラフェニブ、小野薬品):「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

BRAF阻害薬。現在、大腸がんに対しては、「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」との適応となっており、2次治療以降での使用が想定されているが、今回、「がん化学療法後に増悪した」が削除され、1次治療が追加される。

その用法・用量は「セツキシマブ(遺伝子組換え)及び他の抗悪性腫瘍剤との併用、又はセツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人には300mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

厚労省の担当者は「ファーストラインで本剤とセツキシマブとFOLFOX療法の併用を念頭に効能と用量を追加するもの」と説明した。

海外では、25年7月時点において、化学療法歴のないBRAF V600E変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに係る効能・効果で8カ国・地域で承認されている。

オータイロカプセル40mg、同カプセル160mg(レポトレクチニブ、ブリストル・マイヤーズ スクイブ):「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

ROS1阻害薬。現在のROS1陽性の非小細胞肺がんの適応に、今回、がん種横断適応となるNTRK陽性固形がんを追加する。

用法・用量は「通常、以下の用量を1日1回14日間経口投与する。その後、同用量を1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」となっており、成人には1回160mg、4歳以上の小児には▽体重30kg以上で1回160mg、▽30kg未満で1回120mg―と規定されている。

海外では、25年7月時点において、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんに係る効能・効果で4つの国又は地域で承認されている。

なお、国内でがん種を問わないNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんの適応を持つ薬剤には、ロズリートレクやヴァイトラックビがある。

ルンスミオ皮下注5mg、同皮下注45mg(モスネツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は残余期間(令和14年12月26日まで)。

抗CD20/CD3二重特異性抗体。静注製剤が24年12月に承認されており、今回、皮下注製剤が承認される。効能・効果は静注製剤と同じ。用法・用量は「通常、成人には21日間を1サイクルとし、1サイクル目は1日目に5mg、8日目及び15日目に45mg、2サイクル目以降は1日目に45mgを8サイクルまで皮下投与する。8サイクル終了時に、完全奏効が得られた患者は投与を終了し、また、病勢安定又は部分奏効が得られた患者は、計17サイクルまで投与を継続する」。

海外では、25年7月時点において、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に係る効能・効果で皮下投与製剤が承認されている国又は地域はない。 
なお、国内では、抗CD20/CD3二重特異性抗体では、エプキンリ皮下注が「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応を持っている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ベネクレクスタ錠10mg、同錠50mg、同錠100mg(ベネトクラクス、アッヴィ):「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和9年9月19日まで)。 

 経口BCL-2阻害薬。現在の「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応から「再発又は難治性の」が削除され、1次治療を追加するもの。1次治療の用法・用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用」となっている。厚労省の担当者は「オビヌツズマブ又はイブルチニブとの併用を念頭に置いた申請になっている」と説明した。

海外では、25年7月時点において、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)に係る効能・効果で米国及びEUを含む86カ国以上で承認されている。

なお、国内では、いずれもBTK阻害剤のイムブルビカ、カルケンス、ブルキンザがCLL/SLLの1次治療の適応を持っている。

ダラキューロ配合皮下注(ダラツムマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(令和11年3月22日まで)。 
抗CD38抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤。現在、ダラキューロは多発性骨髄腫(MM)1次治療の適応を持っており、今回、くすぶり型(無症候性)MMに適応が広がる。

くすぶり型MMは、MMの無症候性の前駆状態であり、異常な形質細胞が骨髄内で検出されるが、無症状との特徴がある。現在はMMに進行するまで治療されておらず、標準的なアプローチとして生化学的な病勢進行及び/又は末端の臓器障害発現まで経過観察とし、症候性となってから治療を開始している。今回、MMへの進行リスクの高い患者に対して、早期からの治療介入を可能とするもの。

用法・用量は単独投与の追加であり、「通常、成人には本剤1回15mL(ダラツムマブ(遺伝子組換え)として1800mg及びボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)として30000単位(2000単位/mL))を皮下投与する。28日間を1サイクルとし、第1及び2サイクルは1週間間隔で4回(1、8、15、22日目)、第3~6サイクルは2週間間隔で2回(1、15日目)、第7サイクル以降は4週間間隔で1回(1日目)皮下投与する。ただし、投与期間は3年間までとする」。

海外では、25年7月時点において、高リスクのくすぶり型MMに係る効能・効果でEUのみで承認されている。

アネメトロ点滴静注液500mg(メトロニダゾール、ファイザー):「○嫌気性菌感染症<適応菌種>本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属、<適応症>敗血症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、肺炎/肺膿瘍/膿胸、骨盤内炎症性疾患、腹膜炎/腹腔内膿瘍、胆嚢炎/肝膿瘍、化膿性髄膜炎、脳膿瘍、○感染性腸炎<適応菌種>本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシル、<適応症>感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)、○アメーバ赤痢(小児用量の追加)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。事前評価済公知申請。

今回、小児用量を追加する。事前評価済み公知申請品目であり、保険適用済み。
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