厚生労働省は2月15日、後発品として28成分127品目を承認した。後発品として初めて承認されたのは12成分。企業数・品目数ともに高尿酸血症治療薬フェブリク後発品が最多で、14社54品目が承認された。水利尿薬サムスカ後発品には6社6品目、高脂血症治療薬ロトリガ後発品も6社6品目が承認された。AGが参入するのは、フェブリク、サムスカ、ロトリガ、不眠症薬ロゼレム、月経困難症治療薬ディナゲスト0.5mg製剤――の5成分。抗凝固薬イグザレルトについては、バイエル薬品販売の後発品が承認されたが、「(AGかどうかは)戦略上の観点から答えられない」(バイエル薬品広報部)としている。各企業からの薬価収載希望を経て6月に追補収載される予定。
文末の「関連ファイル」に、後発品として初めて承認された12成分の一覧表をまとめました(会員のみダウンロードできます。無料トライアルはこちら)。
◎フェブリク後発品の適応症 第一三共エスファのAGは先発品と同様 他社は“虫食い”に
帝人ファーマの主力品である
フェブリク(一般名:フェブキソスタット)は14社の製品が承認された。第一三共エスファがAGとして参入するほか、▽Meiji Seikaファルマ▽アルフレッサ ファーマ▽キョーリンリメディオ▽ニプロ▽共創未来ファーマ▽沢井製薬▽辰巳化学▽東和薬品▽日新製薬▽日本ケミファ▽日本ジェネリック▽日本薬品工業▽陽進堂―が承認を取得した。
第一三共エスファのAGは、先発品と同様に、「痛風、高尿酸血症」と「がん化学療法に伴う高尿酸血症」の適応を有する。一方で、その他の後発品が取得した適応症は、「痛風、高尿酸血症」のみで、いわゆる“虫食い効能”となった。「がん化学療法に伴う高尿酸血症」の適応で複数の後発品企業が特許無効を主張しているが、厚労省は今回、この適応の特許は有効と判断したとしている。
◎サムスカ後発品の適応症 AGを含めて「肝硬変における体液貯留」のみ
大塚製薬の主力品の
サムスカ(同トルバプタン)には、AGとして大塚製薬工場が参入。そのほか、▽トーアエイヨー▽ニプロ▽大塚製薬工場▽第一三共エスファ▽沢井製薬▽東和薬品――の後発品が承認された。先発品には4つの適応があるが、AGを含むすべての後発品の適応は「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留」のみ。
先発品の有する適応症のうち、▽SIADHにおける低ナトリウム血症の改善▽ADPKDの進行抑制――は再審査期間中。「心不全における体液貯留」は大塚製薬と複数のジェネリックメーカーで特許係争が続いている。
◎抗がん剤 スプリセル、トレアキシン、ビダーザに各4社の後発品
初後発品では、武田薬品の
ロトリガ(同オメガ-3脂肪酸エチル)に、▽ニプロ▽森下仁丹▽沢井製薬▽東和薬品▽武田テバファーマ▽陽進堂――の6社6品目の後発品が承認された。武田テバはAGとして参入する。
ブリストル・マイヤーズスクイブの抗がん剤
スプリセル(同ダサチニブ)は、▽沢井製薬▽東和薬品▽日本ジェネリック▽日本化薬――の4社8品目の後発品が承認された。後発品の適応は「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」のみ。
シンバイオ製薬の抗がん剤
トレアキシン(同ベンダムスチン)は、▽ファイザー▽Meiji Seikaファルマ▽コーアイセイ▽東和薬品――の4社9品目の後発品が承認された。承認されたのは、▽低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫▽腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置――の2つの適応。先発品の有する「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の適応については、後発品の申請から承認の間までに追加されたが、再審査期間が満了している。このため、厚労省はジェネリックメーカーに速やかな効能追加申請を求める方針。
日本新薬の抗がん剤
ビダーザ(同アザシチジン)は、▽シオエ製薬▽大原薬品▽沢井製薬▽日本化薬――の4社6品目の後発品が承認された。承認された適応は、「骨髄異形成症候群」のみ。先発品の有する「急性骨髄性白血病」については、後発品の申請から承認までの間に追加されたが、再審査期間が満了していることから、厚労省は後発品企業に速やかな効能追加申請を求める方針。
大塚製薬のカルニチン欠乏症治療薬
エルカルチンFF(同レボカルニチン)は、▽ニプロ▽東和薬品▽扶桑薬品――の3社5品目の後発品が承認された。
◎イグザレルト後発品 バイエル薬品100%子会社のバイエル薬品販売が承認取得
初後発5成分は1社単独参入となった。不眠症薬
ロゼレム(同ラメルテオン)は武田テバファーマのAGが、月経困難症治療薬
ディナゲスト(同ジエノゲスト)では持田製薬販売のAGが、それぞれ承認を取得した。
バイエル薬品の抗凝固薬
イグザレルト(同リバーロキサバン)は、バイエルホールディング100%子会社のバイエル薬品販売が承認を取得した。承認規格は、OD錠10mg・15mg、細粒分包10mg・15mg、通常錠10mg・15mg――。バイエル薬品広報部は本誌に、「(AGかどうかは)戦略上の観点から答えられない」とコメントした。なお、先発品にある小児適応(静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制)は再審査期間中のため、後発品は小児適応を有していない。
バイエル薬品の更年期障害等治療薬
ジュリナ(同エストラジオール)には富士製薬の後発品、バイエル薬品の月経困難症治療薬
ヤーズ(同ドロスピレノン・エチニルエストラジオール)にあすか製薬の後発品が承認された。ヤーズ後発品の製品名は「ドロエチ配合錠」となる。