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第一三共・眞鍋社長 21年度売上高8.6%増「中計目標達成へ良いスタート切れた」

公開日時 2022/04/28 04:51
第一三共の眞鍋淳代表取締役社長兼CEOは4月27日、2021年度(22年3月期通期)決算説明会に臨み、第5期中計(21~25年度)の初年度実績について、「各取り組みは順調に進捗しており、中計目標達成に向けた良いスタートが切れたと感じている」と強調した。抗HER2抗体薬物複合体エンハーツがHER2陽性乳がん3次治療の適応等で、グローバルで順調に売上を伸ばしている。さらに開発面では、同2次治療や、HER2低発現乳がんなどの適応拡大の開発で大きな進展があった。眞鍋社長は25年度の売上収益1兆6000億円(がん領域6000億円以上)達成に向けて、「引き続き持続的な成長に向けた取り組みを着実に進めていく」と語った。

◎21年度国内売上高は0.1%増 ネキシウムやメマリーの減収響くも海外事業好調

2021年度連結業績は、売上高8.6%増の1兆448億9200万円。コア営業利益14.9%増だった。ただ、日本事業(新薬、第一三共エスファ品、ワクチン事業)の売上高は、0.1%増の4895億円と横ばいにとどまった。抗凝固剤リクシアナや疼痛治療剤タリージェ、エンハーツなどの伸長に加え、21年4月発売の片頭痛発作の発症抑制薬エムガルティが寄与したものの、抗潰瘍剤ネキシウムの販売提携終了やアルツハイマー型認知症治療剤メマリーへの後発品参入で相殺された。それでも全体で8.6%増収を確保できたのは、欧米でのエンハーツ、米国での鉄欠乏性貧血治療剤インジェクタファーやGE注射剤、欧州でのリクシアナの伸長など海外事業が好調だったため。

◎22年度は国内売上高1.2%減の見通し ネキシウムの販売提携終了の影響大きく


2022年度の連結業績は、売上高10.1%増、コア営業利益15.9%増の2桁増収増益を予想。為替レートは対米ドルで17円62銭円安の1ドル130円、対ユーロで9円44銭円安の1ユーロ140円を前提としており、売上収益で約550億円の増収影響、コア営業利益で 約60億円の減益影響を受けるという。

日本事業については、売上高が1.2%減の4838億円となる見通し。ネキシウムの販売提携終了(21年9月)が396億円の減収要因となることが大きく響く。一方で、リクシアナは118億円増の1043億円を予想。眞鍋社長は「20年4月の特例拡大再算定により20年度第1四半期の売上シェアが低下したものの、その後再びシェアを拡大し、21年度第4四半期時点の売上シェアは39.3%とトップを維持している。22年度もさらなる拡大を図る」と述べた。

このほか、21年12月に脳梗塞発症リスクが高い虚血性脳血管障害後の再発抑制の効能追加を取得した抗血小板剤エフィエントは 68億円増の235億円、22年3月に「末梢性」に続き「中枢性」の効能追加を取得し、広く神経障害性疼痛への使用が可能になったタリージェは81億円増の382億円に達する見込み。21年度の売上が13億円にとどまった抗インフルエンザウイルス剤イナビルについては、22年度87億円を予想している。エムガルティも85億円増の131億円に達する見通し。

◎エンハーツは22年度1284億円を計画 特許侵害訴訟「現在、影響は見込んでいない」

22年度のエンハーツのグローバル売上高予想は米国、欧州をはじめ各地域での伸長により630億円増の1284億円を目指す。第3相 DESTINY-Breast03試験結果をもとに HER2陽性乳がん2次治療の適応拡大を日米欧で申請中であり、米欧では22年度上半期、日本では同下半期に承認取得を見込む。また、22年2月にはHER2低発現乳がん(化学療法既治療)への適応拡大を目指した第3相 DESTINY-Breast04試験で主要評価項目達成を発表しており、22年度上半期に日米欧で申請し、22年度下半期に米国で、23年度に日欧で承認見込みとしている。

同社は4月9日に、テキサス州東部地区連邦地方裁判所において、エンハーツが Seagen(シージェン)社の米国特許 10,808,039('039 特許)を侵害しているとの陪審評決が下されたと発表したが、これに関して眞鍋社長は「われわれ独自の技術であり、彼らのパテントに抵触しているとは考えておらず、現在影響は見込んでいない」と述べた。

また同社では、新型コロナワクチンの追加免疫投与の開発を進行中で、暦年22年中の実用化を目指しているが、申請の具体的なタイムラインについては非開示とした。

【連結業績(前期比)22年度予想(前期比)】
売上高 1兆448億9200万円(8.6%増)1兆1500億円(10.1%増)
コア営業利益 906億500万円(14.9%増)1050億円(15.9%増)
営業利益 730億2500万円(14.5%増)1050億円(43.8%増)
親会社帰属当期利益 669億7200万円(11.8%減) 830億円(23.9%増)

【グローバル主要製品売上(前期実績)22年度予想、億円】
トラスツズマブ デルクステカン 654(301)1284
うち日本 96(44)160
米国 454(257)831
欧州 90(0)230
ASCA(アジア/中南米)14(―)63

エドキサバン 2056(1659)2377
うち日本  925(774)1043
米国 19(30)24
欧州 969(767)1121
ASCA(アジア/中南米)143(89)188

【国内主要製品売上(前期実績)22年度予想、億円】
リクシアナ 925(774)1043
ネキシウム 396(778)―
プラリア 379(346)360
タリージェ 301(206)382
テネリア 237(242)230
ランマーク 204(193)210
ロキソニン 222(242)175
ビムパット 183(145)219
カナリア 168 (154)188
エフィエント 167(141)235
エンハーツ 96(44)160
レザルタス 120(131)84
イナビル 13(36)87
エムガルティ 46(―)131
第一三共エスファ品 828 (714)非開示
ワクチン事業  148(185)非開示
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