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厚労省 新薬等20製品承認 新型コロナワクチン・ジェコビデン、オルミエントの円形脱毛症の効能追加等

公開日時 2022/06/21 04:50
厚生労働省は6月20日、新医薬品など20製品を承認した。この中には、18歳以上を対象とする1回接種型新型コロナワクチン・ジェコビデン筋注(一般名:遺伝子組換えアデノウイルスベクター、ヤンセンファーマ)や、国内初の寒冷凝集素症治療薬・エジャイモ点滴静注(スチムリマブ、サノフィ)のほか、JAK阻害薬・オルミエント錠(同バリシチニブ、日本イーライリリー)の円形脱毛症の効能追加、SGLT2阻害薬・カナグル錠(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬)の2型糖尿病合併CKDの効能追加が含まれる。エジャイモなど新有効成分含有医薬品は、手続きが順調にいけば8月に薬価収載される見通し。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類順に記載。

ジクトルテープ75mg(ジクロフェナクナトリウム、久光製薬):「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2025年3月22日まで)。薬効分類114。

フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)。久光製薬のTDDS(経皮薬物送達システム)技術を用いて経皮吸収性を向上させ、3枚貼付時のジクロフェナクの全身曝露量が既承認の徐放性カプセル剤(ナボールSRカプセル)と同程度になるよう製剤設計された全身投与型経皮吸収製剤。これまで「各種がんにおける鎮痛」を効能・効果としていた。

ジクアスLX点眼液3%(ジクアホソルナトリウム、参天製薬):「ドライアイ」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間なし。薬効分類131。

同じ成分で既承認のジクアス点眼液3%はドライアイ治療の選択肢として推奨されている。ただ、1回1滴、1日6回点眼と、点眼回数が多い。そこでジクアスを製剤改良し、効果と安全性はそのままに、点眼回数を1回1滴、1日3回点眼に低減させたものがジクアスLX点眼液となる。

ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL(ブロルシズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「糖尿病黄斑浮腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2028年3月24日まで)。薬効分類131。

眼科用VEGF阻害薬。糖尿病性黄斑浮腫(DME)の用法・用量は、「ブロルシズマブ(遺伝子組換え)として6mg(0.05mL)を6週ごとに1回、連続5回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、12週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること」――。既承認の「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」とは導入期の用法・用量が異なるが、維持期は同じ。

糖尿病に伴う高血糖により、眼の中の細い血管が傷つけられ、滲出液が生じる場合がある。この損傷により、血管内皮増殖因子(VEGF)が過剰に産生される。VEGFは血管の成長を促す蛋白質で、DME患者のVEGF濃度が上昇すると、漏出性のある異常な血管の増殖が誘発される。黄斑部における滲出液の蓄積(浮腫)は疾患活動性の重要なマーカーであり、視力喪失の原因になり得る。DMEは先進国における成人の失明原因の第1位。

エパデールEMカプセル2g(イコサペント酸エチル、持田製薬):「高脂血症」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。薬効分類339。

高純度EPA製剤。イコサペント酸エチルに乳化剤を含めて消化管で吸収されやすく工夫したもので、1日1回の食直後の経口投与で用いる。主成分は同社が製造販売するエパデールと同じだが、エパデールは高脂血症に対して1日2回または3回投与で用いる。

イグザレルト錠2.5mg(リバーロキサバン、バイエル薬品):「下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。薬効分類339。

選択的直接作用型第Xa因子阻害薬。今回の末梢動脈疾患(PAD)に係る新効能に合わせて、新たに2.5mg錠を追加された。用法・用量は、「通常、成人にはリバーロキサバンとして2.5mgを1日2回経口投与する」となる。

なお、2.5mg錠は、既承認の10mg製剤、15mg製剤、ドライシロップの効能・効果には使えない。既承認の10mg製剤なども今回のPADに係る適応に使えない。

PADは、下肢動脈の進行性アテローム硬化性閉塞であり、塞栓症や血栓形成リスクを伴う。下肢血行再建術施行後のPAD患者は、進行したアテローム動脈硬化性疾患の病態であることに加え、下肢血行再建術自体が血栓塞栓症リスクの増加に寄与すると考えられており、血栓性血管イベントの発現リスクが高い。

ノイトロジン注50μg、同100μg、同250μg(レノグラスチム(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類339。
グラン注射液75、同シリンジ75、同注射液150、同シリンジ150、同注射液M300、同シリンジM300(フィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類339。
フルダラ静注用50mg(フルダラビンリン酸エステル、サノフィ):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類422。

再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対し、ノイトロジンとフルダラ、グランとフルダラをそれぞれ併用して使えることを追加された。

カナグル錠100mg(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬):「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病。ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。薬効分類396。

SGLT2阻害薬。同じクラスのフォシーガは「慢性腎臓病(CKD)」の適応を有するが、カナグルは2型糖尿病患者のCKDに関する適応となる。用法・用量は、既承認の「2型糖尿病」と同じ。

CKDは何らかの原因によって腎臓の機能が低下する状態で、国内患者数は成人の8人に1人、約1330万人と推定されている。2型糖尿病はCKDの発症、進展の大きなリスク因子で、2型糖尿病を伴うCKDの対策は、患者のQOLや医療経済的な観点からも重要な課題になっている。

オルミエント錠2mg、同4mg(バリシチニブ、日本イーライリリー):「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類399。

選択的JAK1及びJAK2阻害薬。円形脱毛症(AA)は、後天性に類円系の脱毛班を生じる疾患で、重症例では増悪・軽快を繰り返しながら脱毛斑が拡大することが多く、免疫特権を失った毛包を標的とした自己免疫反応による慢性の臓器特異的自己免疫疾患と考えられている。

同剤のAAに対する用法・用量は、「通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与して用いる。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること」となり、既承認の関節リウマチ、アトピー性皮膚炎と同様となる。

AAの治療は現在、重症度や症状に応じてステロイド外用療法、ステロイド局所注射療法、局所免疫療法、ステロイド内服などが用いられているが、局所免疫療法は保険適応外であり接触皮膚炎等の副作用の懸念があること、経口ステロイドは休薬後の再発率が高く長期的な予後の改善に関するエビデンスが限られていることなど、脱毛面積が広範囲な重症AAに対する治療選択肢は限られている。

ボックスゾゴ皮下注用(ボソリチド(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類3999。

C型ナトリウム利尿ペプチド類縁体。軟骨無形成症(ACH)患者では、線維芽細胞増殖因子受容体3型遺伝子(FGFR3)の機能獲得変異によって、骨組織の形成に欠かせない軟骨内骨化が負の調節を受ける。同剤はC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体で、FGFR3シグナル伝達を下方制御して正の調節を行った結果として、軟骨内骨化を促進する。

用法・用量は、「通常、ボソリチド(遺伝子組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1日1回、皮下注射する」

ダルビアス点滴静注用135mg(ダリナパルシン、ソレイジア・ファーマ):「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類429。

抗腫瘍活性を有する有機ヒ素化合物。ミトコンドリア機能の障害、活性酸素種の産生増加、及び細胞内シグナル伝達系への作用が推定されており、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導することで抗腫瘍効果を示すと考えられている。

ソレイジア・ファーマは日本化薬と日本国内における商業化等に関するライセンス契約を締結している。

リツキサン点滴静注100mg、同500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

抗CD20モノクローナル抗体。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、国の指定難病の一つ。国内の患者数は約4300人で、約9割を女性が占めるとされる。

永続的な神経障害により、生涯にわたり著しい生活の質の低下が生じるといわれている。患者の多くは症状を繰り返す再発経過をたどり、神経の損傷や障害が蓄積され、視覚障害や運動機能障害、疼痛などが現れるほか、症状の発生が致死的な結果となる場合もある。

アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL(ベバシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「卵巣がん」を効能・効果とする新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。薬効分類429。

卵巣がんに対して、他の抗悪性腫瘍剤と併用して、1回10mg/kg(体重)を2週間間隔でも投与できる新用量が追加された。これまでは1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で投与していた。

ジェセリ錠40mg(ピミテスピブ、大鵬薬品):「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類4291。

経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬。がん細胞や腫瘍組織に多く発現するタンパク質・HSP90を阻害することで、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示すとされる。

消化管間質腫瘍(GIST)は胃や小腸などの消化管の壁にでき、転移、再発を起こす悪性腫瘍の一種で、国内の年間罹患数は約1500~2500人と推定される希少がんの一つとなっている。多くががんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA遺伝子に変異を有しているとされる。

キュビシン静注用350mg(ダプトマイシン、MSD):「敗血症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類611。

環状リポペプチド系抗生物質。グラム陽性球菌の細胞膜に結合し、細胞機能不全を引き起こして細菌を死滅させる他の抗MRSA薬とは異なる作用機序で、MRSAに対して有効性を示す。治療薬物モニタリング(TDM)を行なう必要がなく、1日1回の点滴静注で利便性が高い。今回のMRSAに対する小児用量は、1歳以上7歳未満、7歳以上12歳未満、12歳以上18歳未満のそれぞれで体重当たりの投与量などが定められている。

マヴィレット配合錠、同配合顆粒小児用(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル、アッヴィ):「C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は残余期間(2025年9月26日まで)。薬効分類625。

3歳以上12歳未満で45kg以上の小児適応が追加された。これにより、3歳以上12歳未満の小児C型慢性肝炎に適応を有する、国内初の直接作用型抗ウイルス剤(DAA)となった。同剤は17年に成人、19年に12歳以上の小児のC型慢性肝炎治療薬として承認済み。

ジェコビデン筋注(コロナウイルス(SARSCoV-2)ワクチン(遺伝子組換えアデノウイルスベクター)、ヤンセンファーマ):「SARS-CoV-2 による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。優先審査品目。再審査期間は8年。薬効分類631。

ウイルスベクターワクチン。18 歳以上の者を接種対象者に、初回免疫や追加免疫に用いる1回接種型の新型コロナウイルス感染症予防ワクチン。追加免疫に用いる場合は、本剤の初回接種から少なくとも2カ月経過した後に2回目の接種を行うことができる。初回免疫に他のワクチンを接種し、追加免疫にジェコビデンを用いる交互接種に関しては、「有効性及び安全性は確立されていない」と添付文書に記載されている。

コミナティなどの先行して使用されている新型コロナワクチンは、国の買い取りによる全額公費負担で用いられている。ただ、厚労省はこれまでに、「臨時接種に用いるワクチンは確保できている」ため、ジェコビデンの買い取りはせず、全額公費負担の対象にもしない方針を示している。

ヘムライブラ皮下注30mg、同60mg、同90mg、同105mg、同150mg(エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「後天性血友病A 患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類634。

中外独自の抗体エンジニアリング技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体で、インヒビターの影響を受けずに出血抑制効果を発揮するよう設計されている。

後天性血友病Aは国の指定難病で、後天的に血液凝固第VIII因子に対する阻害物質(インヒビター)が出現し、その結果、第VIII因子活性が著しく低下して突発的な皮下出血や筋肉内出血などの出血症状を呈する疾患。重篤な出血も稀ではない。

エジャイモ点滴静注1.1g(スチムリマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「寒冷凝集素症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類639。

ヒト化IgG4モノクローナル抗体。古典的補体経路の特異的セリンプロテアーゼである補体第1成分sサブコンポーネント(C1s)と結合することにより、古典的補体経路の活性化を阻害し、寒冷凝集素症(CAD)における溶血を抑制する。同剤は国内初のCAD治療薬。

CADは重篤な慢性希少血液疾患で、補体経路とよばれる体の免疫系の一部が自己の正常な赤血球を誤って破壊する。慢性的な貧血や消耗性疲労があり、溶血性発作や生活の質(QOL)の低下がみられる。また、血栓塞栓症や若年死のリスクが上昇するという。
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