塩野義製薬 変形性膝関節に対する疼痛治療薬候補・Resiniferatoxinの国内販売権獲得 ドイツ社から
公開日時 2022/08/05 04:50
塩野義製薬は8月4日、ドイツのグルネンタール社が開発している変形性膝関節症に対する疼痛治療薬候補・Resiniferatoxin注射剤の国内導入に関するライセンス契約を締結したと発表した。塩野義製薬は契約に基づき、日本における独占的販売権を獲得した。Resiniferatoxin注射剤は現在、グルネンタール社が中等度から重度の変形性膝関節症患者を対象とした日本を含むグローバル第3相臨床試験を実施している。
塩野義製薬は、▽感染症▽精神・神経疾患▽疼痛――を重点疾患に掲げている。今回の製品導入により疼痛領域のラインナップ強化につなげる。
Resiniferatoxin注射剤は、イオンチャネルであるTRPV1に対する強力なアゴニスト作用によって、膝に投射する感覚神経を脱感作させ、痛みを抑制する。これまでの臨床試験では、プラセボ群と比べ有意な鎮痛効果が1回の投与で約半年間持続することが確認されている。
今回締結した契約に基づき、Resiniferatoxin注射剤の国内申請および製造はグルネンタール社が行う。製造販売承認を取得するタイミングでその権利を塩野義製薬に移管するとともに、塩野義製薬が製品の流通、販売、情報提供活動を担う。
塩野義製薬は契約一時金7500万ドルと、今後の開発の進展、承認の取得、製品上市後の販売額に応じたマイルストンの合計として5億ドル超をグルネンタール社に支払う。また、販売が一定額を超えた場合は販売額に応じたロイヤリティーを支払う。
変形性膝関節症は膝の関節にある軟骨が少しずつすり減り、関節内に炎症が生じることによって、次第に膝の関節が変形していく高齢者に多い疾患。変形性膝関節症によって生じる痛みは、運動療法に加えて全身性非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の服用やヒアルロン酸などの関節腔内注射、手術などによって治療される。様々な治療法があるにも関わらず、症状の改善効果や効果の持続性、日常生活の改善には多くの課題が存在し、治療効果とアドヒアランスに優れた新たな治療方法が求められている。