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新薬7製品を8月18日に薬価収載へ 国内初のCAD治療薬・エジャイモなど 中医協総会

公開日時 2022/08/10 17:00
中医協総会は8月10日、新薬7製品の薬価収載を了承した。収載日は8月18日。国内初の寒冷凝集素症(CAD)治療薬・エジャイモ点滴静注(サノフィ)や、日本で約25年ぶりの軟骨無形成症治療薬で世界初のC型ナトリウム利尿ペプチド類縁体であるボックスゾゴ皮下注用(BioMarin Pharmaceutical Japan)のほか、経口新型コロナ治療薬・ラゲブリオカプセル(MSD、詳細記事はこちら)などが収載される。

ピーク時売上が100億円以上と予測されたのは、ボックスゾゴの232億円(5年後)と、ラゲブリオの138億円(初年度)の2製品。

◎ボックスゾゴとエジャイモ 原価開示度50%未満で加算ゼロ

原価計算方式で算定されたが、開示度50%未満ということで加算をゼロとするルールは今回、ボックスゾゴとエジャイモの2製品に適用された。

ボックスゾゴは新規作用機序が評価されるなどして有用性加算(II)(A=5%)、市場性加算(I)(A=10%)と評価されたが、加算係数はゼロとなり、補正加算分が薬価に反映されなかった。エジャイモは、CADに対する既存治療が支持療法のみだったところに6カ月以内の輸血歴を有するCAD患者に対する有効性が期待できることから、有用性加算(II)(A=5%)、市場性加算(I)(A=10%)と評価されたが、加算係数はゼロとなった。

◎鉄欠乏性貧血治療薬・モノヴァーの薬価収載 2回連続でスキップ

一方で、3月28日付で承認された鉄欠乏性貧血治療薬・モノヴァー静注(日本新薬)の薬価収載が5月に続き2回連続でスキップ。メトトレキサート排泄遅延時の解毒に用いるメグルダーゼ静注用(大原薬品)は21年11月、22年4月、5月、8月と4回連続のスキップとなった。

8月18日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)

エパデールEMカプセル2g(イコサペント酸エチル、持田製薬)
薬効分類:218 高脂血症用剤(内用薬)
効能・効果:高脂血症
薬価:2g1包 113.00円(1日薬価:113.00円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数9.6万人、販売金額40億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

高純度EPA製剤。イコサペント酸エチルに乳化剤を含めて消化管で吸収されやすく工夫したもので、1日1回の食直後の経口投与で用いる。主成分は同社が製造販売するエパデールと同じだが、エパデールは高脂血症に対して1日2回または3回投与で用いる。

イグザレルト錠2.5mg(リバーロキサバン、バイエル薬品)
薬効分類:333 血液凝固・血小板凝集阻止剤(内用薬)
効能・効果:下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制
薬価:2.5mg錠1錠 117.80円(1日薬価:235.60円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数11万人、販売金額62億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

選択的直接作用型第Xa因子阻害薬。今回の末梢動脈疾患(PAD)に係る新効能に合わせて、新たに2.5mg錠が追加された。用法・用量は、「通常、成人にはリバーロキサバンとして2.5mgを1日2回経口投与する」となる。なお、2.5mg錠は、既承認の10mg製剤、15mg製剤、ドライシロップの効能・効果には使えない。既承認の10mg製剤なども今回のPADに係る適応に使えない。

ジェセリ錠40mg(ピミテスピブ、大鵬薬品)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍
薬価:40mg1錠 6265.00円(1日薬価:1万7900.00円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数82人、販売金額1.0億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「本剤はHSP90を標的とする新規作用機序医薬品であり、主要評価項目であるPFSを有意に延長した等の臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」 新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬。がん細胞や腫瘍組織に多く発現するタンパク質・HSP90を阻害することで、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示すとされる。

消化管間質腫瘍(GIST)は胃や小腸などの消化管の壁にでき、転移、再発を起こす悪性腫瘍の一種で、国内の年間罹患数は約1500~2500人と推定される希少がんの一つとなっている。多くががんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA遺伝子に変異を有しているとされる。

ラゲブリオカプセル200mg(モルヌピラビル、MSD)
薬効分類:625 抗ウイルス剤(内用薬)
効能・効果:SARS‐CoV‐2による感染症
薬価:200mg1カプセル 2357.80円(1日薬価:1万8862.40円)
市場予測(ピーク時は初年度):投与患者数15万人、販売金額138億円

加算:有用性加算(II)(A=10%):「本剤は「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」で有効性の確立した承認薬として紹介されており標準的治療法になると考えられること、注射剤である比較薬に対し経口剤の本剤は利便性が向上していることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)

経口投与可能なリボヌクレオシドアナログの薬剤で、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2の増殖を阻害する。用法・用量は、「通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する」

ボックスゾゴ皮下注用(ボソリチド(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症
薬価:
0.4mg1瓶(溶解液付) 12万1034円
0.56mg1瓶(溶解液付) 12万4241円
1.2mg1瓶(溶解液付) 12万4994円
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数515人、販売金額232億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は、ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド類縁体であり、ナトリウム利尿ペプチド受容体Bを活性化することで線維芽細胞増殖因子受容体シグナル伝達を抑制し、軟骨内骨化を促進する新規作用機序の薬剤であることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

世界初のC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体。軟骨無形成症(ACH)患者では、線維芽細胞増殖因子受容体3型遺伝子(FGFR3)の機能獲得変異によって、骨組織の形成に欠かせない軟骨内骨化が負の調節を受ける。同剤はCNP類縁体で、FGFR3シグナル伝達を下方制御して正の調節を行った結果として、軟骨内骨化を促進する。日本で約25年ぶりのACH治療薬。

用法・用量は、「通常、ボソリチド(遺伝子組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1日1回、皮下注射する」

ダルビアス点滴静注用135mg(ダリナパルシン、ソレイジア・ファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
薬価:135mg1瓶 3万1692円(1日薬価:2万5152円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数361人、販売金額11億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

抗腫瘍活性を有する有機ヒ素化合物。ミトコンドリア機能の障害、活性酸素種の産生増加、及び細胞内シグナル伝達系への作用が推定されており、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導することで抗腫瘍効果を示すと考えられている。ソレイジア・ファーマは日本化薬と日本国内における商業化等に関するライセンス契約を締結している。

エジャイモ点滴静注1.1g(スチムリマブ(遺伝子組換え)、サノフィ)
薬効分類:639 その他の生物学的製剤(注射薬)
効能・効果:寒冷凝集素症
薬価:1.1g22mL1瓶 24万4074円
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数82人、販売金額22億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「寒冷凝集素症に対する既存治療は支持療法のみであったところ、本剤は6カ月以内の輸血歴を有する寒冷凝集素症患者に対して有効性が示されており、有効性が期待できることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

ヒト化IgG4モノクローナル抗体。古典的補体経路の特異的セリンプロテアーゼである補体第1成分sサブコンポーネント(C1s)と結合することにより、古典的補体経路の活性化を阻害し、寒冷凝集素症(CAD)における溶血を抑制する。同剤は国内初のCAD治療薬。

CADは重篤な慢性希少血液疾患で、補体経路とよばれる体の免疫系の一部が自己の正常な赤血球を誤って破壊する。慢性的な貧血や消耗性疲労があり、溶血性発作や生活の質(QOL)の低下がみられる。また、血栓塞栓症や若年死のリスクが上昇するという。

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