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厚労省 19製品の効能追加など承認 タグリッソにNSCLC術後補助療法、オノアクトに小児適応を追加

公開日時 2022/08/25 04:51
厚生労働省は8月24日、19製品の効能追加などを承認した。この中には、アストラゼネカの抗がん剤・タグリッソ錠に非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法を追加することや、中外製薬の抗体薬物複合体・ポライビー点滴静注用に未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を追加すること、アレクシオンファーマの抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤・ユルトミリス点滴静注に全身型重症筋無力症を追加することが含まれる。また、小野薬品の短時間作用型β1選択的遮断薬・オノアクト点滴静注用には、小児の頻脈性不整脈が追加された。19製品のうち9製品は不妊治療に係る効能追加等となる。

効能追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元。薬効分類順に記載)

◎未治療DLBCLを追加したポライビー ピーク時売上は300億~600億円 

オノアクト点滴静注用50mg、同150mg(ランジオロール塩酸塩、小野薬品):「心機能低下例における上室頻拍、心房細動、心房粗動の頻脈性不整脈」を効能・効果とし、小児用量を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:212。

短時間作用型β1選択的遮断薬。主に心臓に多く存在するβ1受容体を選択的に遮断することで心拍数を下げる。オノアクト以外の静注用β遮断薬としてインデラル注射液、ブレビブロック注が上市されているが、いずれも小児の頻脈性不整脈の効能及び用法は持っていない。

小児の先天性心疾患に対する開心術後などの循環動態が不安定な心機能低下例において、頻脈性不整脈が持続すると重篤化し、死に至ることがある。このため、ただちに頻脈性不整脈に対する治療が必要になる。しかし、国内で小児適応が認められている抗不整脈薬は少なく、小児患者に対する新しい治療選択肢が必要とされている。

HMG注射用75単位「F」、同150単位「F」(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン、富士製薬):「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新投与経路医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:241。
HMG注用75単位「あすか」、同150単位「あすか」(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン、あすか製薬):「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新投与経路医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:241。
HMG注射用75IU「フェリング」、同150IU「フェリング」(ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン、フェリング・ファーマ):「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新投与経路医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:241。

いずれもヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)。卵胞刺激ホルモン(FSH)活性を有し、卵巣に作用して卵胞の発育を促進する。

ゴナトロピン注用5000単位(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、あすか製薬):「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化並びに一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:241。
HCGモチダ注射用5千単位、同1万単位(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、持田製薬):「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化並びに一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化」を効能・効果とする新投与経路医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:241。
注射用HCG5,000単位「F」、同10,000単位「F」(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、富士製薬):「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化並びに一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化」を効能・効果とする新投与経路医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:241。

いずれも黄体形成ホルモン(LH)様作用を示すことから、本薬の投与により、LH サージと同様の状態とすることで、最終的な卵胞成熟、排卵及び黄体化を誘導する。

ナサニール点鼻液0.2%(ナファレリン酢酸塩水和物、ファイザー):「生殖補助医療における早発排卵の防止」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:249。
スプレキュア点鼻液0.15%(ブセレリン酢酸塩、クリニジェン):「生殖補助医療における早発排卵の防止」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:249。
ブセレリン点鼻液0.15%「F」(ブセレリン酢酸塩、富士製薬):「生殖補助医療における早発排卵の防止」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類:249。

いずれも性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト。下垂体のGnRH 受容体の脱感作によって起きる内因性のゴナドトロピンの分泌を抑制することで、黄体形成ホルモン(LH)サージを抑制し、早発排卵を防止する。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「腎細胞がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和4年10月18日まで)。薬効分類:429。

ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。これまでに「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果として、キナーゼ阻害薬・インライタやマルチキナーゼ阻害薬・レンビマとの併用療法が承認されている。今回、術後補助療法が追加された。術後補助療法での投与期間は12カ月間までとする。

タグリッソ錠40mg、同錠80mg(オシメルチニブメシル酸塩、アストラゼネカ):「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。再審査期間は残余(令和6年3月27日まで)。薬効分類:429。

チロシンキナーゼ阻害薬。これまでの効能・効果は「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」で、今回、術後補助療法が追加された。用法・用量は「80mgを1日1回経口投与する」だが、術後補助療法の場合は、投与期間は36 カ月間までとする。

リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ):「BRCA 遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:429。

PARP阻害薬。卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵がんに係る適応を持つが、このうち乳がん適応は、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」となっていた。今回、乳がん術後薬物療法が追加された。乳がん適応での用法・用量は、「1回300mgを1日2回経口投与する」だが、術後薬物療法では投与期間は1年間までとする。

ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注用140mg(ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え)、中外製薬):「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(令和13年3月22日まで)。薬効分類:429。

抗CD79b抗体薬物複合体。これまでの「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」との効能・効果から、「再発又は難治性の」が削除され、リツキサン及び化学療法(R-CHOP)との併用による1次治療での使用が可能になった。

未治療DLBCLに対し、ポライビーは20年ぶりの新たな治療選択肢となった。中外製薬は、1次治療の適応取得により、同剤のピーク時売上は300億~600億円になると見込んでいる。なお、再発・難治例のみに使用できた21年5月の薬価収載時は、ピーク時売上を120億円と予測していた。

フィラジル皮下注30mgシリンジ(イカチバント酢酸塩、武田薬品):「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(令和10年9月20日まで)。薬効分類:449。

選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー。遺伝性血管性浮腫(HAE)は通常、小児期/青年期に発症し、HAE患者では生涯にわたってHAE発作が繰り返し生じる。これまで国内で小児に対する用法・用量が設定されたHAEの発作治療薬はなかった。

フィラジルは、2018年9月に成人に対して「1回30 mg を皮下注射する」との用法・用量で承認されたが、今回、小児に対して「通常、2歳以上の小児には体重に応じて1回10~30 mgを皮下注射する」との用法・用量が設定された。

エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパタスビル、ギリアド・サイエンシズ):「C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和9年1月7日まで)。薬効分類:625。

直接作用型抗ウイルス剤(DAA)。C 型慢性肝炎又はC 型代償性肝硬変に関して、これまで前治療歴のある患者が投与対象となっていたが、今回、未治療又は前治療歴のない患者に拡大された。

バイクロット配合静注用(乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子、KMバイオロジクス):「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血傾向の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和6年7月3日まで)。薬効分類:634。

血漿分画製剤。これまでの効能・効果は「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制」で、出血後の出血抑制に使用されている。今回、「出血傾向の抑制」に変更され、出血時に投与する場合の用法・用量に加え、定期的に投与する場合の用法・用量が設定された。

ユルトミリス点滴静注300mg、同HI点滴静注300mg/3mL、同HI点滴静注1100mg/11mL(ラブリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:639。

長時間作用型抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤。エクリズマブ(製品名:ソリリス)の重鎖の4個の固有のアミノ酸(Y27H、S57H、M429L、N435S)を置換したヒト化モノクローナル抗体で、ソリリスと同様に補体(C5)に結合してその活性化を阻害する。

重症筋無力症は国の指定難病で、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴。眼の症状だけの場合は眼筋型、全身症状があるものは全身型と呼称する。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難をきたすこともある。

レミフェンタニル静注用2mg「第一三共」、同5mg「第一三共」(レミフェンタニル塩酸塩、丸石製薬):「集中治療における人工呼吸中の鎮痛」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:821。

選択的μ-オピオイド受容体アゴニスト。速やかな作用発現及び作用消失を示し、長期間投与しても作用が遷延しにくく、同剤の代謝は肝機能及び腎機能の影響を受けにくいとの特徴がある。

集中治療室(ICU)などで集中治療を受ける患者は、傷病・手術に起因するものを始めとし、患者管理に伴う様々な処置等を含め、多様な要因により疼痛を生じる。疼痛は、合併症を誘発するだけでなく、ICU滞在時間の延長や生活の質の低下などに影響するため、集中治療における疼痛管理は重要になっている。

集中治療における患者管理では、疼痛対策とともに鎮静管理も重要だが、過度の鎮静が患者の長期アウトカムに悪影響を及ぼすことが報告されており、近年は、鎮痛薬を優先的に使用して十分な疼痛対策を行った上で、鎮静薬は補助的に使用する管理方法(鎮痛優先の鎮静)が推奨されている。
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