23年度薬価改定で製薬団体が声明 改定範囲「遺憾」 不採算品再算定とイノベーション評価「配慮頂いた」
公開日時 2022/12/22 04:51
2023年度薬価改定が12月21日の鈴木財務相と加藤厚労相の大臣折衝で合意したことを受け、製薬団体が相次いでコメントを発表した。日本製薬団体連合会(日薬連)の眞鍋淳会長は、平均乖離率7.0%の0.625 倍である乖離率4.375%を超える品目が改定対象となったことについて、「4大臣合意の趣旨から大きく逸脱したものであり、誠に遺憾」と強調した。一方で、不採算品再算定と新薬創出等加算の加算額を臨時的・特例的に評価したことについては、「製薬業界の主張について配慮いただいたと評価している」と述べた。
◎日薬連・眞鍋会長「薬価改定のあり方を含めた本質的な検討を進めるべき」
眞鍋日薬連会長は、「直近の物価高騰や円安の進行等を踏まえれば、実施の是非も含め慎重に検討すべきであり、実施するのであれば、このような状況を踏まえ薬価引下げ率の緩和などの措置が必要であると主張してきた」と指摘。政府が合意した改定範囲については「誠に遺憾」としながら、「近年の度重なる薬価改定等により、イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保に支障をきたしている状況を踏まえれば、薬価改定のあり方を含めた本質的な検討を進めるべきである」と表明した。その上で、日薬連としては、「我が国の国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立に向け、諸課題について引き続き取り組む」と強調した。
◎日米欧3団体「現行の市場実勢価格に基づく改定について抜本的な見直しが必要」
製薬協、PhRMA、EFPIAの日米欧製薬3団体も同日、共同声明を発表した。声明では、「特許期間中の薬価維持は主要先進国のスタンダードであり、日本市場の魅力度低下により新薬へのアクセスが更に損なわれる恐れがある現状を踏まえ、特許期間中の新薬は中間年改定の対象から除外することを求めてきた」と強調。今回の改定範囲について、「誠に遺憾」としながらも、「新薬創出等加算の特例的適用が加えられたことについては、イノベーションの評価・促進という製薬業界のこれまでの主張を踏まえ、一定程度の配慮をいただいたと認識している」と評価した。また、今後については、「革新的新薬を早期かつ確実に日本に導入することができるよう、イノベーションの適切な評価および特許期間中の薬価が維持される仕組みとあわせて、現行の市場実勢価格に基づく改定について抜本的な見直しが必要」との認識を示し、厚労省の有識者検討会の議論を踏まえた薬価制度改革のこれからに期待を寄せた。
◎GE薬協・高田会長 産業構造の見直しという課題「中医協の総意として真摯に受け止める」
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の高田浩樹会長も同日、23年度薬価改定について意見表明した。高田会長は、「平均乖離率7%の0.625倍(乖離率 4.375%)を超える品目が対象とされる厳しい改定となった」としながらも、「現下の物価高騰の影響を強く受けた品目について不採算品再算定の特例的な適用がなされることになった」と評価した。また、この間の議論の中で、「一連の品質問題に端を発した医薬品の供給不安から産業構造の見直しという課題について、多くの皆さまからご指摘をいただいた」と述べ、「これらのご意見を中医協の総意として真摯に受け止め、当協会として、ジェネリック医薬品の信頼回復に向けた取組みをより一層進め、患者様及び医療関係者の皆様に安心して使用いただけるジェネリック医薬品の安定的な供給に努めてまいります」と強調した。